今週の指標 No.534 目次   前へ 次へ 2004年5月31日


歩みが遅い円の国際化

<ポイント>
  1. 米国に次ぐ世界第2位の経済大国である我が国の経済規模に比べて、金融部門の資産保有で見た場合、「円の国際化」は十分に進んだとは言いにくい(図1)。
  2. 先進主要国の銀行や邦銀の対外資産残高についてみると、99年の流通開始よりユーロ建て資産のシェアが上昇している一方で、円建て資産のシェアは漸減傾向にある(図2)。国外市場で発行される債券の流通残高でみても同様である(図3)。我が国の輸出入の円建て比率は、00年以降アジアとの貿易拡大に伴い上昇が見られるが、緩やかな伸びにとどまっている(図4)。
  3. このように資産保有で「円の国際化」がなかなか進まない背景には、ドルが決済通貨として依然として利便性を保っていること以外にも、我が国の経済が90年代以降に低迷したため、企業活動に伴う円建てでの取引需要や保有需要が低下したこと、国際的に円金利が低位で推移していたため、債券利回りで優位でなかったことなどが影響している。
  4. もっとも、円の潜在的なニーズが低いわけではない。サムライ債(非居住者発行の国内円債)の発行は低迷しているものの、より低コストで発行できる非居住者発行のユーロ円債は90年代半ばから高水準で推移している(図5)。このように、円建て金融取引の利便性が高くなることが、「円の国際化」を促進すると思われる。



図1(1):日米欧の経済貿易規模 図1(2)ドル・円・ユーロの資産別の通貨内訳
図2(1):主要国銀行の対外資産の通貨別割合 図2(2):邦銀対外資産の通貨別割合
図3:国外市場で発行される債券の流通残高と通貨割合 図4:日本の貿易取引における円建て比率推移 図5:非居住者の円建て債券発行額の推移



担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 林 厚志 直通 03-3581-5854

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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