今週の指標 No.532 目次   前へ 次へ 2004年5月24日

中国:景気過熱と引締め措置について


<ポイント>
  1.  中国経済は一部で景気過熱がみられる。設備投資を見ると鉄鋼、セメント、アルミといった業種で前年比で2倍近い伸び(図1)を示した結果、2004年第1-4月期の固定資産投資は前年比で4割を超える増加となった。また一部の都市地域では不動産販売価格の高騰(図2)もみられる。
  2.  こうした状況に対応して中国政府当局は、本年3月より中国人民銀行基準金利や預金準備金の引き上げなどの金融引締め措置を講じている。特定業種の投資抑制のための措置が発表されるとともに、個別の投資プロジェクトに対する抑制的な介入の事例もみられる。こうした動きを反映して4月に入り株価や国際商品市況が下落するなど調整の動きも出ている。他方、マネーサプライ及び銀行貸出の伸びは依然として高く(図3)、金融引締め効果が顕在化するにはタイムラグがあると思われる。
  3.  過熱に対応した引締め措置による中国経済の減速が、中国向け輸出の減少を通じて世界経済に与える直接的な影響は限定的とみられる。地域別のGDPに占める対中輸出シェアはアジアで3.3%(日本1.0%、日本以外8.9%)程度、アメリカで0.2%程度、EUで0.4%程度であり、これら地域全体の平均では0.9%程度となる(図4)。また、過熱解消による、原材料価格の低下などの好ましい影響も存在する。むしろ、過熱が解消された後に残る価格競争力の弱い過剰資本ストックや不良債権の増加などの構造的な問題の影響が懸念される。


図1:固定資産投資の伸び 図2:不動産販売価格指数の伸び 図3:マネーサプライ及び銀行貸出の伸び 図4:GDPに占める対中輸出のシェア


担当:海外担当参事官付 茂野 正史  直通 03-3581-9537

* 本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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