今週の指標 No.525 目次   前へ 次へ 2004年5月10日


貸出金利の上昇が企業収益に与える影響

<ポイント>
  1. 全国銀行の貸出約定平均金利と企業収益の関係をみると、90年代半ばの貸出金利の大幅な低下は、営業外費用の減少を通じて売上高経常利益率の改善に大きく寄与した。その後も、借入返済の動きと相俟って、低金利は企業収益に対して引き続きプラスに寄与しており過剰債務の影響を緩和してきた(図1)。
  2. 現状の景気は着実に回復しており企業の業績も改善している。しかし景気回復が続けば金利が上昇することも考えられる。今後貸出金利が上昇した場合には企業収益にどの程度マイナスの影響を与えるだろうか。仮に既存貸出に対する約定平均金利が1%上昇した場合の影響を業種別・規模別に試算してみる(金利の上昇は支払利息の増加と同時に、受取利息も増加させるが、受取利息の推計については有意な結果が得られなかったため、ここでは支払利息の推計のみを行っている)と、(1)全体では約4兆円の減少となり2003年の経常利益増加額4.2兆円をほぼ相殺してしまう、(2)中小企業の押し下げ幅が相対的に大きい、ことが分かる(図2)。
  3. 日本銀行の金融緩和政策により、現時点においてただちに貸出金利が上昇することはないと思われるものの、先行きの金利上昇による収益圧迫効果を軽減するためにも、調整がまだ済んでいない企業の更なる収益性の向上、過剰債務の削減が必要と考えられる。


図1 貸出金利の推移と売上高経常利益率の要因分解  図2 貸出金利の上昇が企業収益に与える影響 表1 貸出金利の上昇が与える企業収益への影響の推計方法


担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 松見 寛 直通 03-3581-5854 

本レポートの内容や意見は執筆者個人のものであり、内閣府の見解を示すものではない。


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