今週の指標 No.517 目次   前へ 次へ 2004年4月12日


輸出入比率が高い国ほどグローバル化のメリットを認識する傾向


<ポイント>
  1. グローバル化によって経済が悪化するのではないかとの懸念が世界にあるが、その程度は国によって大きな差がある。その違いがどのような要因によるのかを検討してみた。
  2. 経済悪化の懸念は、雇用悪化の懸念と強い相関関係があり、先進国の中ではとりわけ日本・フランス・ドイツが両方に高い懸念を示している(図1)。 そこで、雇用悪化の懸念の強さについて、就業者数変化・輸入比率・輸出比率・GDP成長率との相関関係があるかどうかを調べることによって、経済悪化懸念をもたらす要因を考えることとする。
    (1)就業者数の変化と雇用悪化の懸念の強さには相関関係はほぼなかった(図2)。
    (2)輸入比率と雇用悪化の懸念の強さには弱い相関関係があった(図3)。それは、輸入比率の低い国ほど雇用悪化の懸念が強いという関係であり、予想された関係とは逆であった。
    (3)輸出比率と雇用悪化の懸念にも弱い相関関係がみられた(図4)。輸入と同じく、輸出比率が低い国ほど雇用悪化の懸念が強い傾向がある。換言すれば、輸出が大きいほど雇用への懸念が小さく、グローバル化のメリットが享受されているとみられる。
    (4)成長率の低い国ほど雇用悪化の懸念が強いという弱い相関関係があった(図5)。
  3. こうしたことから、就業者数の変化そのものよりも、輸出入増加というメリットを享受できることや高めの成長率が維持できることが、人々がグローバル化のメリットを認識する上で影響が大きく、雇用悪化の懸念を軽減するものと考えられる。


図1:グローバル化の影響に関する国際比較 図2:就業者数の変化と雇用悪化の懸念の強さとの関係 図3:輸入比率と雇用悪化の懸念の強さとの関係 図4:輸出比率と雇用悪化の懸念の強さとの関係 図5:GDP成長率と雇用悪化の懸念の強さとの関係


(備考)
  • 世界経済フォーラム(通称:ダボス会議)で発表された「グローバル化に関する世界世論調査」は25カ国(1国あたり1,000人、2001年秋実施)を対象としている(図1)。うち、OECD加盟国は13カ国。グローバル化とは、国家間でのモノ・サービスや投資の取引が増加することと定義されている。
  • 図2では、カタール・カザフスタン・インド・ナイジェリア・ブラジルは除く(データ制約による。以下同じ)。
  • 図3、図4では、カタール・中国・インドは除く。輸入比率=財・サービスの輸入/GDP、輸出比率=財・サービスの輸出/GDP
  • 図5では、カタールは除く。
  • 各国の就業者数のデータはILO"LABORSTA"、成長率・輸出入についてはIMF"IFS"(ただし、日本に関しては内閣府「国民経済計算」)。



担当 : 参事官(経済財政分析−総括担当)付  雨宮 良次  直通 03-3581-0767


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