今週の指標 No.515 目次   前へ 次へ 2004年4月5日


交易条件の悪化が懸念される理由

<ポイント>
  1. 素材価格の上昇等により、製造業の交易条件(産出物価/投入物価)が悪化している(図1)。交易条件の悪化は、一般に企業収益の悪化につながると考えられている。しかし、95年以降の実績を見ても分かるように、むしろ経常利益や生産が交易条件の動きに先行し、かつ逆相関する関係にある(図2、図3)。
  2. これは、投入品の大半を占める「素原材料」や「中間財」の価格は景気に敏感に反応する一方、産出品の大半を占める「最終財」の価格感応度は低いためである(図4)。したがって、企業収益は交易条件の動向に先行するとともに、景気回復(後退)期に交易条件は悪化(好転)する傾向がある。今回の交易条件の悪化が景気回復期に共通する現象であるならば、交易条件の悪化は経済の内生変数として製造業全体の企業収益や生産活動に悪影響を及ぼすことはない。
  3. ただし、投機や供給量の制約等によって投入品の価格が急激に上昇する場合は、外生的なショックとして経済にマイナスの影響が生じることになる。
  4. 製造業の企業収益改善の動きがやや緩やかになっているなかで、昨年後半以降、交易条件が悪化しており(図2)、このことが、最近の素材価格の上昇が懸念されている背景にあると考えられる。このため、今後の素材価格等の動きには十分注視していく必要があろう。


図1 交易条件の推移 図2 経常利益(製造業)と交易条件(前年比) 図3 生産と交易条件(前年比) 図4 国内企業物価の推移(前年比)

担当:参事官(経済財政分析総括担当)付 五十棲 浩二  直通 03-3581-0806


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