今週の指標 No.510 目次   前へ 次へ 2004年3月22日


国際商品市況の企業物価への波及―価格転嫁の遅れが企業収益を圧迫―


<ポイント>
1.国際商品市況の上昇を反映して、国内商品市況も、鉄鋼、非鉄、スクラップ類などを中心に上昇している。これは、中国を始めとした世界経済の回復により需要が旺盛なためと考えられる。
2.これが企業物価において、需要段階別にどのように波及しつつあるかをみてみると(図1)、素原材料(スクラップ、銅、原油など)の上昇と、それを反映した中間財(鋼材、ナフサなど)の上昇によって、国内需要財全体も上昇し始めている。この間、最終財(資本財(工作機械、トラックなど)、消費財(衣服、家電など))は、技術革新や合理化による生産性上昇によって、従来から上昇しにくい傾向が続いていたため、まだ本格的に上昇はしていない。
3.次に、産出物価(=販売価格)と投入物価(=仕入価格)を比較することによって、交易条件(=収益動向)をみてみると、投入物価の上昇により製造業全体の交易条件は悪化している(図2)。
4.さらに、業種毎にみてみると、鉄鋼、非鉄金属、食料品では、投入物価の上昇に産出物価への転嫁が追いついていないため交易条件が悪化している(図3)。金属製品、繊維製品では、産出物価が弱含んでおり、交易条件の悪化が続いている(図4)。他方、石油・石炭製品、パルプ・紙・木製品、化学製品では、価格転嫁により交易条件は横ばいで推移している(図5)。電気機械、一般機械、精密機械でも交易条件は悪化しているが、投入物価は上昇していないものの、製品競争の激化により産出物価の低下が続いているためと考えられる(図6)。
5.国際商品市況の上昇は価格転嫁を通じて、徐々に企業物価全体に波及しつつある。しかし、価格転嫁が遅れている業種(特に、鉄鋼、金属製品など)では企業収益が悪化する可能性もある点には今後注意が必要である。


図1.国内需要財への寄与度図2.製造業全体の交易条件
図3.鉄鋼の交易条件図4.金属製品の交易条件
図5.石炭・石油製品の交易条件図6.電気機器の交易条件


   (備考)1.日本銀行「国内企業物価」、「製造業部門別投入・産出物価指数」より作成。



担当:参事官(景気判断・政策分析総括担当)付 岡崎 敏彦  直通 03-3581-9516


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