今週の指標 No.507 目次   前へ 次へ 2004年3月15日


製造業は「リストラによる増益」から「増収による増益」へ
輸送用機械では、人件費にも改善の動きが波及


<ポイント>
  1. 製造業の経常利益は、6四半期連続で改善が続いている。一方、人件費の動きをみると、2000年頃から削減の動きが進み、企業の採算ラインとなる「損益分岐点売上高」が大きく低下した。売上高の増加と相俟って「損益分岐点比率」(=採算ラインと実際の売上高の比)も低下し、最近では人件費削減の動きは落ち着きをみせ始めている。(図1) 以下では、製造業の中でも売上高のウェイトが大きい輸送用機械(製造業全体の約13%)と電気機械(同約18%)についてさらに分析を行った。
  2. 輸送用機械(図2)と電気機械(図3)を比較すると、経常利益はどちらも改善している。しかし、人件費は輸送用機械では増加の動きがみられるが、電気機械ではそのような動きはみられない。さらに二つの産業をみると、輸送用機械では売上高が増加しているが、電気機械ではようやく下げ止まった程度であることが分かる。輸送用機械では、売上高の増加にともなって人件費を増やしているため、損益分岐点比率は90年代以降で最も低い水準を維持している。このことから、企業収益改善の動きが今後、人件費の増加、つまり雇用に波及するには、売上高の増加が必要であると考えられる。
  3. 製造業全体をみると、これまでのリストラにより損益構造が大きく改善し、相対的に少ない売上高でも利益を上げることができる体質になっている。製造業は「リストラによる増益」から「増収による増益」への転換点にさしかかっているとみられる。



(図1)製造業全体
(図2)輸送用機械
(図3)電気機械
(備考)2000年=100、4四半期移動平均
    固定費:人件費、減価償却費、支払利息割引料
    変動費:固定費以外の売上原価・販管費
    損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)



担当:参事官(景気判断・政策分析総括担当)付 鈴木 英介 直通 03-3581-0806


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