今週の指標 No.504 目次   前へ 次へ 2004年3月8日


2003年の日本の国際収支分析-資本収支黒字の背景-

<ポイント>
  1. 03年の国際収支統計をみると経常収支は約16兆円の黒字、資本収支は約8兆円の黒字、外貨準備は約22兆円増となった(図1)。経常黒字が海外で運用されることにより資本収支は通常赤字となるため、資本収支が黒字になったのは69年以来34年ぶり(注)のことである。
  2. 資本収支黒字の大部分を占める投資収支の内訳は、直接投資約3兆円の流出超、株式投資約9兆円の流入超、債券投資約21兆円の流出超、金融派生商品0.6兆円の流入超、その他投資は約22兆円の流入超であった(図2)。円売りドル買い介入に対応するために、金融機関が現先取引によって非居住者からドル資金調達を行ったことなどにより、その他投資は大幅な流入超となった。
  3. 対外証券投資、対内証券投資の推移を見ると、日本の投資家が大量の外債投資を行っている一方で、海外投資家は相対的にリスクの高い株式に対して投資を行っていることがわかる(図3、図4)。海外投資家の積極的な株式投資が昨年の株価上昇に大きな役割を果たしたことは記憶に新しい。
  4. 外貨準備の増加は、円売りドル買い介入による。円売り介入額と日本保有(民間保有分含む)の米国債の増加額は同じような動きを見せており(図5)、介入により獲得された外貨の多くが米国債に投資されているものと考えられる。また5月に日本保有米国債が増加した後、米国債金利が低下するなど、日本から米国債への資金の流入が米国金利にも影響を与えている様子も伺えるが、この点についてはより厳密な検証が必要であろう(図6)。
  5. 03年の国際的な資金の流れをまとめると、為替介入関連の資金の流出入はほぼ相殺され、株式投資の流入超を上回る債券投資の流出超と直接投資の流出超により、ネットでは日本から海外へ約13.4兆円(誤差脱漏含まず)資金が流出したことになる。(図7)



図1:03年の国際収支 図2:投資収支の内訳 図3:03年の対外証券投資  図4:03年の対内証券投資
図5:03年の日本保有米国債の増加額と円売り介入額 図6:03年の日本保有米国債の増加額と米国10年債金利の推移 図7:2003年の国際的な資金の流れ


担当:参事官(経済財政分析-総括担当)付 阿部 健児 直通 03-3581-5854 


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