今週の指標 No.486 目次   前へ 次へ 2003年12月22日

円高の影響で輸入価格が下落

<ポイント>

  1. 輸入価格が下落している。輸入価格を変動させる要因には国際商品市況や為替レートなどがある。国際商品市況は、原油価格が高水準で推移していることに加え、アジア、アメリカでの景気回復を背景にした素材市況の上昇などにより、02年初以降上昇基調にある。一方、為替レート(対米ドル名目為替レート)は、02年III期以降おおむね120円/ドル前後で推移してきたが、足下で円高(ドル安)となっており、この円高が輸入価格下落の要因の一つになっていると考えられる(図1)。
  2. そこで、輸入価格に対する国際商品市況や為替レートの影響を定量的に分析したところ、市況要因が若干下支えとなっているものの、円高による為替要因が大幅にマイナス寄与となっており、足下の輸入価格の下落に関しては、円高が強く影響していることが分かる(図2)。     
  3. 輸入価格の下落は、企業の交易条件改善に資するという面があるものの、一方では、国内物価に対しての下押し圧力となるため、デフレの状況においては必ずしも望ましいものとはいえない。今後については、12月の為替レートは特に大幅な円高とはなっておらず、かつ国際商品市況も上昇を続けている(前掲:図1)ため、輸入価格への下落圧力は和らぐものと予想される。    

図1 輸入価格指数と対米ドル名目為替レート、国際商品市況の推移 図2 輸入価格指数変動の要因分解

(備考)

1.財務省「貿易統計」、日本銀行「輸入物価指数」、日経国際商品指数により作成。
2.03年のIVは10月、11月の平均値を使用。図1の12月は、12/1〜12/15の平均値を使用。
3.対米ドル名目為替レートは期中平均値を使用。
4.国際商品市況は日経国際商品指数(期中平均値)を2000年平均=100として使用。
5.図2の要因分解は以下。

図2の要因分解

6.各要因の説明
  • 品目高級化要因
    同一品目分類内で見られる高品質・高性能化の傾向を指す。ラスパイレス方式により作成された財務省輸入価格指数を同じくラスパイレス方式により作成された日銀輸入物価指数で除することで得られる。両者ともにラスパイレス方式であることから、その差異はおおむね品目分類内での銘柄構成の変化に帰する。
  • 構成高度化要因
    品目分類間の構成比が高付加価値のものへシフトしていく傾向を指す。構成変化のみの影響をみるためには、価格を固定した上での基準時点と比較時点での数量の変化に着目すればよい。これは価格指数の作成方法の違いから、財務省輸入価格指数におけるパーシェ価格指数とラスパイレス価格指数の比を計算することによりとらえることができる。

  • 為替要因
    円ベースの日銀輸入物価指数と契約通貨ベースの日銀輸入物価指数の比をとることにより得られる。

  • 市況要因
    契約通貨ベースの日銀輸入物価を国際価格と見なすことにより、その伸び率が「市況要因」となる。

担当:参事官(経済財政分析−総括担当)付 山本洋男 直通 03-3581-0806 



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