今週の指標 No.470 目次   前へ 次へ 2003年10月14日


債券投資の動向

<ポイント>
 このところ長期金利が上昇傾向にある。そこで、イールドカーブ(利回り曲線)について主成分分析を行うことにより、この間の債券投資の特徴を調べた。主成分分析とは、多変量の持つ特性を少量の変数に置き換えて内容を把握する解析手法である。

  1. 長期金利の推移
     長期金利(国債10年物流通利回り)は、昨年4月から本年6月にかけて長期的に低下を続けた後、(1)6月半ばから7月上旬にかけて1.0%程度への上昇、(2)8月半ばから9月上旬にかけて1.5%程度への上昇と、二度の金利上昇局面を迎えた。(図表1)
  2. イールドカーブの主成分分析
     イールドカーブの変化を説明する主成分は、第1にパラレルシフト(水準の変化)(寄与率94.3%)、第2に傾きの変化(寄与率4.5%)、第3にたわみ具合の変化(寄与率0.9%)がある。二度の金利上昇局面についてイールドカーブの変化をみると、(1)では、傾きの変化が大きく、10年物金利が先行して上昇する一方、(2)では、たわみ具合が凸となり、中期から長期の金利(5〜9年物)の上昇が大きかったことがわかる。(図表2、3)
  3. 国内銀行の国債保有動向
     国内銀行の国債保有動向をみると、長期金利が上昇に転じた6月以降も、国債残高は増加し買付額にも変化がみられない(図表4)。したがって、イールドカーブの動きは、銀行が二度の長期金利上昇の過程で、長期債(10年物)から中長期債(5〜9年物)、ないしは短中期債(1〜5年物)へと残存期間の短い債券への乗換売買(デュレーションの短期化)を行った可能性を示唆している。

図表1:長期金利の推移 図表2−1:第1主成分の点数 図表2−2:第2主成分の点数 図表2−3:第3主成分の点数 図表3:イールドカーブの変化 図表4:国債保有額と買付額
(注)
  1. 図表4の国債保有額は日本銀行金融経済統計「国内銀行の資産・負債等(銀行勘定)」より作成、公社債買付額は日本証券業協会「公社債投資家別売買動向」の都市銀行(長信銀含む)・地方銀行・信託銀行・第二地銀協加盟行の合計。
  2. 各主成分の点数は、標準化したデータに主成分ベクトルの計数を掛け合わせて算出した。


担当:参事官(景気判断・政策分析総括担当)付 金澤光俊 直通 03-3581-5854


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