<ポイント>
- 政府は、2005年から予定されていた所得税減税を1年前倒しして2004年1月から実施することを決定した。現行の最高税率48.5%、最低税率19.9%をそれぞれ42%、15%に引き下げることとしている(図1)。政府の発表によると、国民一人あたり平均10%程度の所得税負担が軽減される。
- この減税により、消費や投資を拡大させることが期待されるが、所期の効果を実現できるかは不透明である。第一に、2001年に減税を実施したときには、一時的な消費拡大に終わっている。2001年後半以降、景気低迷により可処分所得は伸びが低下しており、民間消費はこのところ弱含みで推移している(図2)。消費者は、家具・家電製品などを買い控え、文化・余暇への支出や外食費を節約する傾向がうかがえる。新規自動車登録台数も減少している(図3)。
- 第二に失業率が高まっているなかで雇用不安も増しており、家計貯蓄率は増加傾向にある(図4)。このため、冷え込んだ消費意欲は早急には回復せず、減税分は貯蓄にまわるおそれがある。
- 消費が持続的に増加するためには、景気回復とともに、労働市場を含む構造改革の実施によって着実に雇用が増加することが必要である。政府は2003年より、個人の起業支援(私企業)やミニジョブ(低所得労働)設定などの労働市場改革に着手しており、改革の成果が期待される。
|