今週の指標 No.431 目次   前へ 次へ 2003年5月12日


イギリス:4年ぶりに赤字となった2002年度財政収支


<ポイント>
  1. イギリスの財政収支は98年度から黒字を続けていたが、2002年度は4年ぶりに赤字(GDP比2.3%)に転落した(図1)。主な原因としては、歳入は景気減速に伴う所得税収等が落ち込んだこと、歳出は社会保障費と教育費が増加したことが挙げられる。当初予算(同1.0%)に比べ財政赤字は倍増しているが、そのうち景気減速等経済の前提条件の変化による要因が8割弱、政策的な支出増による要因が2割強を占めた。
  2. また、2003年度の財政赤字は昨年秋の見通し(240億ポンド:GDP比2.2%)からやや増大し270億ポンド(同2.4%)となり、それ以降も財政赤字が続く見通しとなっている(前掲図1)。
  3. ブラウン蔵相は予算演説のなかで、イギリスの財政は他の主要国に比べ健全だとし、長期的には財政節度を維持できると強調した。しかし、こうした見方に対して、(1)政府見通しが楽観的である(図2)、(2)金融・IT部門の業績回復を見込んだ法人税収が期待以下にとどまるのではないか、(3)財政赤字が継続するために長年の課題である医療や教育などの公共サービスの質を改善できず、国民の税・社会保険料負担のみが増加する結果に終わるおそれがある(図3)、などの批判が挙がっている。
  4.  厳しい財政状況のなかで、国民に約束した公共サービスの改善ができるのかどうか、2期目に入ったブレア労働党政権の真価が問われている。


図1 財政収支  図2 実質GDP成長率見通し 政府の見通しは高め  図3 税及び社会保険料負担率


担当:参事官(海外経済担当)付 金沢早智子 03-3581-0056 

目次   前へ 次へ