今週の指標 No.390 目次   前へ 次へ 2002年12月9日

シンガポール:IT製品に代わって化学製品の生産・輸出が増加

<ポイント>

  1. シンガポールでは、今年春以降景気回復局面にあったが、先頃公表された第3四半期の実質GDPは固定投資等内需の不振から前期比年率10.1%減と予想以上の落ち込みを示した(図1)。これを受けて政府は2002年の経済成長率見通しを従来の「3〜4%」から「2〜2.5%」へと下方修正するなど、景気の先行きに懸念がもたれている。
  2. これまでのシンガポールの景気回復は、例えば99年のようにIT製品の生産・輸出が牽引してきたが、今回(2002年)は世界的な需要の回復の遅れを反映してIT製品の伸びは鈍い(図2)。代わって欧州向け薬品等を主力とした化学製品が増加している(図3)。この傾向は最近の製造業投資受入額の動きからもみてとれる(図4)。
  3. ただし化学製品の付加価値生産額(2001年)でみたウエイトは17.0%と、38.0%を占めるIT製品と比べて小さく、これまでも増減の振幅が比較的大きい業種であったので、景気回復の持続的牽引役としての力不足は否めない。また最近の化学製品の生産には鈍化もみられ、第3四半期のGDPが落ち込んだ原因の一つとされている。

図1 実質GDPの動向

図2 ITの生産と輸出の推移(前回と今回の回復時における比較)

図3 化学の生産と輸出の推移図4 製造業投資受入額の推移

(出所)シンガポール統計庁、貿易産業省、経済開発庁
(注)図2及び図3はそれぞれ3か月移動平均値。

担当:参事官(海外経済担当)付  柴本芳郎 直通 03-3581-9537

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