今週の指標 No.386 目次   前へ 次へ 2002年11月18日

湾岸危機時における日本経済の動向

<ポイント>
  1. 1990年8月2日のイラクによるクウェート侵攻により、原油価格の急騰、米国株価の下落、円高等、予想外の出来事として市場は大きく反応した。また、日経平均株価も大幅に下落した(図1)。
  2. 原油価格の急騰を受け、石油関連製品を中心に、物価が上昇した(図2)。湾岸危機時における石油関連製品の国内卸売物価、消費者物価への押上げ寄与は、ピーク時にはそれぞれ前年比で約+1.2%ポイント、+0.6%ポイントに達した。
  3. 湾岸危機を契機とする世界経済の減速に伴い、輸出数量の一時的な減速も見られた(図3)。また、貿易収支の黒字幅は縮小した(図4)。原油価格上昇による貿易黒字縮小圧力は、同時期の名目GDP比で約0.5%ポイントに達したと考えられる(備考3)。加えて、物価上昇に伴う実質所得の目減りや、株安により、個人消費も減速した。また、企業の投入コストが増加し、企業収益は下押しされた。
  4. 現在、景気は、引き続き持ち直しに向けた動きがみられるものの、そのテンポはさらに緩やかになっている。今後、景気の下振れリスクとして、イラク情勢と原油価格の動向を注視していく必要がある。なお、当時は、イラクによるクウェート侵攻は全くの予想外だったのに対し、現在は、米国による対イラク攻撃はある程度市場に織り込まれているという違いがあることには注意が必要である。

図1.イラクのクウェート侵攻以降、ボトム(ピーク)までの変化率 図2.湾岸危機前後の国内卸売物価の動向 図3.湾岸危機前後の輸出数量指数の推移 図4.湾岸危機前後の貿易収支の動向

担当:参事官(景気判断・政策分析総括担当)付 新家 義貴  直通 03-3581-9527

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