今週の指標 No.287 目次   前へ 次へ 2001年9月25日

上場企業倒産における連鎖倒産の実態

<ポイント>

  1. 9月14日には東証1部小売業大手マイカルが民事再生法適用を申請したが、特に90年代後半以降、上場企業の倒産が増加している(図1)。また、その1件当りの負債金額も増加傾向にあり、その大型化がみられる(注1)。
  2. 上場企業の倒産により、取引先等の連鎖倒産が多数発生する可能性が懸念される。しかし最近の主な上場企業倒産10社(注2)の例で、倒産企業本体の負債額・従業員数に対する連鎖倒産企業(グループ企業含む)の負債額・従業員数をみてみると、ともに約4割程度の規模となっている(図2)。しかも実際には、本体のグループ企業の連鎖倒産が多く、純粋な取引先だけでみると負債額で3%、従業員数でも約1割程度の規模に留まっている(注3)。また業種別にみても、負債額・従業員数ともにそれほど顕著な業種間の差はみられない。
  3. これには、(1)ほとんどがいわゆる再建型(会社更生法、民事再生法等)の倒産であり、再生手続きの過程で取引関係の継続性を重視する措置がとられることが多いこと(注4)、(2)中小企業庁を中心とした各種の連鎖倒産防止対策の効果(注5)、等がその理由として考えられる。
  4. しかし、最近は景気が引き続き悪化しているため、大型倒産が相次いだ場合には相乗効果で連鎖倒産が増加する可能性もある。大型倒産が関連企業に及ぼす影響を最小限に留めるために、引き続き必要な措置を講じていくことが重要であると思われる。

図1 上場企業倒産件数と1件当り負債金額の推移

図2-1 連鎖倒産企業の負債金額 図2-2 連鎖倒産企業の従業員数

(注)

  1. 1件当り負債額が急増している85年は三光汽船(外航海運業、負債額5,200億円)、91年はマルコー(不動産売買業、同2,858億円)、96年は日榮ファイナンス(信用保証業、同1兆円)が倒産した影響。
  2. 対象とした上場企業10社とは、卸売業2社(東食、大倉商事)、小売業3社(そごう、長崎屋、ヤオハンジャパン)、建設業4社(東海興業、多田建設、大都工業、日本国土開発)、サービス業1社(第一ホテル)。うち、大倉商事のみいわゆる消滅型(破産)での処理であり、他はいずれも再建型。また、倒産企業本体に対する連鎖倒産企業の負債額・従業員数の割合は、上記10社の値の平均値。
  3. 連鎖倒産企業、グループ企業の認定などは、帝国データバンク資料による。
  4. 小口債権者については、倒産企業本体の再建を前提に、特例として全額弁済が認められるケースが多い。
  5. 主なものとしては、政府系中小企業金融機関等の中小企業倒産対策資金融資制度(倒産債権等を事由に、別枠として長期運転資金融資が受けられる)、中小企業総合事業団の中小企業倒産防止共済制度(掛金の10倍まで無利子・無担保で借入が可能)、信用保証協会の経済安定関連保証制度(経済産業大臣の大型倒産指定により保険の特例が受けられる)、など。
  6. 2001年の上場企業倒産は、1月から9月25日までの件数。
  7. 連鎖倒産とは、概ね本体倒産後数ヶ月までのものを集計しているが、それ以降に連鎖倒産している企業がある可能性や、直接の影響ではないため連鎖倒産とカウントされていないが、遠因となって倒産している企業がある可能性もある。

担当:景気判断・政策分析総括担当参事官付 光谷 健 直通 03-3581-0806

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