今週の指標 No.263 目次   前へ 次へ 2001年6月11日

円安局面における「Jカーブ効果」

<ポイント>

  1. 貿易収支の黒字幅が縮小している(図1)。
  2. 貿易収支の増減を要因分解すると、輸出の減少を主因とする数量要因に加え、2000年末以降は鉱物性燃料を除いたベースでの価格要因が黒字幅縮小に寄与している(図2)。
  3. 貿易取引通貨比率を用いて、取引通貨別での純輸出(輸出―輸入)金額を推計すると、価格面で為替変動の影響を受ける外貨建てでの純輸出金額が減少しており、足元では輸入超過ともなっている(図3)。
  4. 一般的に、輸入の外貨建て比率や為替変動に対する価格弾力性が輸出に比べて高いことから、円安局面では輸入価格の上昇が輸出価格の上昇よりも大きくなり、一方で、為替変動による数量調整(円安による輸出数量増、輸入数量減)には時間が掛かるため、最終的な効果(円安による黒字幅拡大)とは逆に円安初期段階では、一旦黒字幅が縮小する場合がある(いわゆる「Jカーブ効果」)。足元での黒字幅縮小には数量要因に加え、この円安局面における「Jカーブ効果」の影響がみられる。

図1 貿易収支(季節調整値)と為替相場(円ドルレート) 図2 貿易収支の要因分解(前年同期差) 図3 円建て・外貨建て輸出入金額(季節調整値)

(備考)
1.日本関税協会「外国貿易概況」、財務省「貿易統計」、「貿易取引通貨別比率(H12年下半期)」、
  経済産業省「輸出入決済通貨動向調査(H10年3月)」により作成。
2.円ドルレートは、東京市場平均値。
3.ここでの貿易収支とは、通関収支差(財務省「貿易統計」における輸出金額-輸入金額)のことをいう。

担当:景気判断・政策分析総括担当参事官付 木村佳人 直通 03-3581-9527

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