今週の指標 No.247 目次   前へ 次へ 2001年4月2日

銀行の株式売り越し額の増加とその背景

<ポイント>

  1. 1999年度以降、都・長・地銀の株式売り越し額は大きく増加しているが、2001年度からの時価会計導入を前に、銀行が保有株式の売却を急いできたことがその要因の一つと考えられる(図1)。
  2. 保有株式の時価変動が及ぼす銀行経営への影響度をみるために、単純なモデルを用いて都市銀行の保有株式のバリュー・アット・リスク(VAR、一定の保有期間中に一定の確率で発生し得る最大損失額)を推計すると、株式保有期間1年、信頼区間95%とした場合、自己資本額の約2割に相当するという結果が得られた(表1)。
  3. 時価会計の導入により、多額の株式を保有する銀行においては、その保有が経営を不安定化させる一因となる可能性がある。

図1 都・長・地銀の株式売り越し額(三市場一・二部計)の推移

表1 都市銀行保有株式のVARの推計

担当 参事官(景気判断・政策分析総括担当)付 新井 洋司 直通03-3581-5854

<付注:VARの推計方法について>

バリュー・アット・リスク(VAR)とは、ある資産を保有しているとき、その保有期間中に一定の確率で発生し得る最大損失額を統計的に推計したものである。

推計式:VAR=S×V×Φ×数式

  S:リスクファクターに対するセンシティビティ(感応度)

    株価(TOPIX)の変動に対する、都銀保有株式時価額の弾性値。

    具体的には、以下の方法で算出。

    S=(2000年3月決算期末の保有株式時価額−2000年9月中間期末の保有株式推定時価額)/(2000年3月末のTOPIX−2000年9月末のTOPIX)

    2000年9月中間期末の保有株式推定時価額

     =2000年3月決算期末の保有株式簿価額+2000年9月中間期末の保有株式含み益+2000年9月中間期の株式売買損益

  V:リスクファクターのボラティリティ(変動幅)

    株価(TOPIX)の年間(6か月間)変動率の標準偏差に2000年9月末の株価を乗じたもの。

  Φ:信頼区間(VARが予想される発生損失をカバーする範囲、標準偏差の倍数)

    信頼区間を95%及び99%と設定した場合、それぞれ約1.64、約2.33となる。但し、リスクファクターの変動は正規分布に従うものとした。

  t:対象資産の保有期間

    ボラティリティの計測期間(1年、6か月)と一致するものとし、1とした。

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