今週の指標 No.235 目次   前へ 次へ 2001年2月19日

ゼロ金利政策実施期間中に生じた預金利子所得の減少

<ポイント>

  1. 各種預金金利の推移をみると、ゼロ金利政策が実施された期間(99年2月〜2000年7月)において、相当程度低下していたことがわかる(図1)。これにより、家計等の預金保有主体の預金利子所得が著しく減少したのではないかとの指摘がある。
  2. そこで、仮にゼロ金利政策発動直前の預金金利水準が維持された場合の預金利子所得と比較して、実際にゼロ金利政策実施期間中に生じた預金利子所得がどれだけ少なくなっているかを推計すると、総預金利子所得は約▲4,900億円、そのうち個人の預金利子所得は約▲2,600億円との結果が得られた(図2)。この▲2,600億円という金額は、例えば99年度の家計部門利子受取の2.7%に過ぎない。本試算は郵便貯金等を含まない部分的なものではあるが、預金利子所得の減少がそれ程大きくはなかったことの傍証となろう。
  3. そもそも、金利低下には、借入金利負担を低下させたり、企業収益を下支えすることにより、間接的に家計の所得環境を改善させる効果もあると考えられることから、ゼロ金利政策の実施が家計の実質的な所得に悪影響を与えたとは一概に結論付けられない。

 

図1 各種預金金利の推移

図1 各種預金金利の推移

(備考)1.NRI投資環境データベースにより作成。

 

図2 ゼロ金利政策実施期間中に生じた預金利子所得減少額の推計結果

 

定期預金部分

要求払預金部分

合計

総預金利子所得の推計差額
(推計値−実測値)

3,999億円

926億円

4,925億円

個人保有預金利子所得の推計差額
(推計値−実測値

2,069億円

500億円

2,569億円

(備考)

  1. 金融経済統計月報により作成。

  2. 推計値は99年1月時点の金利水準が維持されると仮定した場合の99年2月から2000年7月までの新規受入預金に係る利子所得額、実測値は実際の金利水準を利用する以外は前者と同様の仮定を置いた場合の利子所得額。

  3. 定期預金については、一定の仮定の下に、預入規模毎別に新規受入残高と新規預入分平均金利を用いて、利子額を個々に積算する。要求払預金については、総残高と預金金利の積として求める。

  4. 個人保有預金利子所得について、定期預金分は、総預金利子所得を2000年3月時点における総定期預金に占める個人保有分の割合で按分することにより求め、要求払預金分は、個人保有分に相当する預金残高と預金金利の積として直接求める。

  5. 総預金の保有主体には、家計・企業だけでなく、地方自治体や金融機関も含まれる。また、ここで用いた預金には、郵便貯金等その他の貯蓄性金融商品は含まれないことに留意する必要がある。

担当:参事官(景気判断・政策分析総括担当)付 錦織 功政 直通 03-3581-5854 

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