平成3年

年次世界経済報告 資料編

経済企画庁


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II 1990~91年の主要国の政策動向

第10章 台  湾

1. 財政政策

台湾財政は91年からの「国家建設6か年計画」実施に伴う資金需要増がら,92年度予算より国債増発等による増収政策がとられている。台湾は民間の貯蓄率が高く,また外貨保有高では世界1,2位を争う資金余剰国であり,金融市場の整備等によりこれらの資金を有効活用すべきとの見方がなされている。なお,台湾財政では公債発行による資金受け入れを歳入に計上している。

(1)台湾の財政状況

91年5月末,92年度(91年7月~92年6月)の中央予算案が立法院で可決された。歳入は租税・販売収入が,税収の伸び悩みから前年比3.1%増の微増となったが,公債・借入金収入が前年比219.4%増と大幅に拡大し,全体では同18.6%増の9,812億元となった。歳出は,最大のシェアを占める国防費が前年比6.7%の増加に止まり,経済発展支出,教育・科学・文化支出,社会保障支出等で大きく増加している。これは,91年7月からの「国家6ヵ年計画」の実施に伴う支出増を反映している。歳入面での公債・借入金収入の大幅増もこれらの資金需要を満たすための措置であり,これにより,財政歳入の公債依存度は91年度の9.1%から24.4%へと急速に高まった。

図表 台湾の中央財政の動向

92年度中央予算

また,91年10月末,93年度の中央予算の政府案が審議,確定され,前年比13%増の1兆1,100億元とされた。税収の伸び悩みで歳入増があまり見込めないことから,3,000億元強を公債発行に頼ることとなっており,これにより,財政の公債依存度は更に高まり,30%を超えるとの見方がなされている。

(2)「国家建設6か年計画」にともなう資金需要拡大

91年1月末,行政院は「国家6ヵ年計画」(91~96年)を決定した。同計画では台湾の近代化を更に推進するため,公共投資拡大により,インフラ整備,文化・教育等の発展を目指すことを目標としている。このため,今後6年間で公共建設投資に8.2兆元を投入することが計画されている。

(重要公共建設資金需要金額概要)


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