平成3年

年次世界経済報告 資料編

経済企画庁


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II 1990~91年の主要国の政策動向

第3章 ドイツ

3. その他の制度改革

(1)  ドイツ連銀の組織改革

91年10月2日,ドイツ政府は,ドイツの州中央銀行を現行の11行から,東独地域を含めたドイツ全体で9行に統合する改革法案を閣議決定した。この結果,連銀理事会のメンバーは,総裁を含め現行の19人から17人に滅少する。これにより,州中央銀行の発言力は相対的に弱められ,ドイツ連銀の政策決定に関して中央の意向が相対的に強化されることになる。この改革法案に対し,連邦参議院(上院,各州の代表で構成)は,91年11月29日,ドイツの16州全部に中央銀行を置くべきであるとして否決した。今後,連邦議会(下院)での審議が待たれるところである。

(参考資料1)ベルリンへの首都移転とその経済的効果

1.首都移転の概要

(1)これまでの経緯

90年9月29日に制定された「両独統一条約」(10月3日発効)の第2条では,「ドイツの首都はベルリンである。議会および政府の所在地に関する問題は統一後に決定する。」とされていた。

当初,①西ドイツの首都として40年以上が経過しているボンの議会,政府施設を一気にベルリンに移すのは,東独地域の再建で財政の倹約や補助金の削減が求められている時だけに適切ではないこと,②官僚がボン,ケルン地域に生活の基盤をもち,ベルリンへの引っ越しに乗り気でないこと等の理由で,議会,政府所在地の決定は91年6月20日までの期限付きで結論を先送りしていた。

(2)91年6月20日の決定

91年6月20日,ドイツ連邦議会は,統一ドイツの政府,議会の所在地をベルリンとする決議案を採択した (注1)。決議案は,ベルリンへの首都機能整備の完了を10年ないし12年後としており,今後暫くの間,ボンが首都機能を代行することになる。また議会移転のための計画を91年12月末までにまとめることも併せて決定しており,4年以内には議会活動がベルリンで行えるようにする意向である。

採択された決議の概要は以下の通りである。

2.経済的効果

(1)直接的効果

① スイスの経済研究機関プログノスによる調査結果〔ボン市が委託〕(91年2月18日)

ベルリンへの首都移転費用 約300億マルク (2兆4,000億円,名目GNP比1.2%)

② 従来,ボン支持派が主張していた移転費用  300~400億マルク

(約2兆4,000億円~3兆2,000億円,名目GNP比1,2%~1.6%)

③ ジェトロの情報〔ワイゲル蔵相の発言として報道〕 (91年6月24日)

首都機能のベルリン移転費用    350~450億マルク

(約2兆8,000億円~3兆6,000億円,名目GNP比1.4%~1.9%)

④ 共同通信の報道(91年6月20日)

ベルリンへの首都移転費用として  400~600億マルク

(約3兆2,000億円~4兆8,000億円,名目GNP比1.6%~2.5%)

(2)間接的効果

移転に伴う建設需要等の高まりは,上記のような直接的効果だけでなく間接的な効果をもたらすと考えられる。

〈参考〉

          ボン       ベルリン

人口        29万人       340万人

引越対象の人数        5.5万人

両都市間の距離        約475km

飛行時間/料金    片道 1時間5分 ファーストクラス  420マルク(約33,600円)

ビジネスクラス   320マルク(約25,600円)

(参考資料2)東独地域の雇用情勢

1.東独地域の雇用情勢の概観

東独地域の雇用情勢の概観

2.失業者数,操短労働者数の推移

①失業者    ②操短労働者   ①+②の合計

90年 7月  27.2万人   65.6万人  92.8万人

91年 1月  75.7     184.1   259.8

   4月  83.7     201.9   285.6(ピーク)

   7月  106.9     161.1   268.0(雇用保護期間終了)

   前月差+226  前月差△288

   8月  106.3     144.8   251.1

   9月  102.9     133.3   236.2

   10月  104.9     120.0   224.9

   11月  103.1     110.3   213.4

3.雇用創出プログラム(Arbeits beschaf fungsmassnahmen,以下ABMと略称)の概要

91年3月8日,ドイツ政府は,東独復興策(AufschuwungOst,総額240億マルク)の一環として,雇用創出プログラム(ABM)を打ち出した。91,92年の両年度で55億マルクがあてられ,40万人の雇用を創出する目的で創設された。ABMは,大別して一般雇用創出措置と高齢者雇用促進措置に分類される。一般雇用創出措置は,失業者に対して継続的な雇用の創出を促進するため,事業所を設置する等により雇用創出を実施した者(または企業)に対して融資または利子補給を行う措置である。一方の高齢者雇用促進措置は,高齢者の雇用に対して賃金助成を行う措置である。

雇用創出プログラム(ABM)の累計実績は以下の通りである。

91年 6月  14.8万人

   7月  21.0

   8月  26.2

   9月  31.3

   10月  34.8

   11月  37.1

(参考資料3)  ドイツ信託庁(トロイハント・アンシュタルト)による旧東独国営企業の売却状況

(1) 総数

(2) 外国企業による東独企業買収件数の推移


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