平成2年

年次世界経済報告 各国編

経済企画庁


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I 1989~90年の主要国経済

第6章 イタリア:景気はやや減速へ

1. 概  観

イタリア経済は87年以降,個人消費,設備投資を中心に好調に推移し,実質GDP成長率も88年4.2%,89年3.2%と堅調な伸びを続けた(第6-1表)。しかし90年に入ると個人消費の伸びは,やや鈍化し(90年1~3月期前期比1.1%増,4~6月期同0.5%増,7~9月期同0.5%増),設備投資,建設投資も4~6月期以降不振となり,成長率も90年1~3月期前期比0.6%増,4~6月同マイナス0.2%の後,7~9月期同0.7%増と増勢はやや減速している。90年1~9月期でみた成長率は前期比2.3%となっており,60年の成長率は,政府見通しの2.9%を下回る可能性もでてきている。

生計費指数上昇率は88年5.0%の後,89年は6.6%に高まった。しかしこれは89年1月に従来より非課税であったパン,米,野菜,果実等の基礎食料品や新聞,雑誌に4%の課税を実施したことも影響している。その後89年初に高まりを見せた後,89年7月以降90午前半にかけて上昇率に緩やかな低下がみられ,政府目標の5%の達成圏内に入ったかのようであった。しかし90年8月にはエネルギー価格の上昇から再び6%台に高まっている。

対外面では89年は内需の拡大に支えられ輸入が大きく伸びたことから,前年をさらに上回る貿易赤字を記録した。90年に入ると年初は比較的好調に輸出入とも伸びたものの,国内景気の減速につれて輸入が鈍化し始め,年半ばには自動車輸出の不振等もあり輸出も鈍化したが,これまでのところ貿易赤字は縮小している。


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