平成2年

年次世界経済報告 本編

拡がる市場経済,深まる相互依存

平成2年11月27日

経済企画庁


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第4章 一体化進む世界経済の課題

本章では,各国間の制度的な障壁の除去,あるいは貿易・直接投資の進展,さらには,ソ連・東欧の市場経済への移行等により各国経済の相互依存,相互連関が深まり世界経済の一体化が進むことは,世界経済の効率化を進め,成長を高める上で重要であるとの認識の下,各国がそれぞれにあるいは協力して取り組むべき課題を以下の3つに絞って論じる。

第1に,貿易,直接投資の拡大が世界経済の一体化を一層進展させている実態を踏まえ,貿易の拡大,直接投資の推進の意義,その必要性を述べる。次にアジアNIEs,アセアン,アメリカ,ヨーロッパにおいて貿易,直接投資がそれぞれの構造調整とどのように結びついているかをみる。最後に,世界経済の一体化が進むなかで,日・米・欧主要国の経済構造の相違に関心が集まっているが,相互比較により各々の特徴,今後の課題を整理する。

第2に,世界経済の一体化を進めていく上で,83年に始まる世界経済の長期拡大を持続させることが基本的に重要である。そのため,主に,主要国について,今回の長期拡大の特徴を分析し,今後も拡大・を持続していく上でどのようなプラス,マイナス要因があるか整理する。また,東アジア諸国を除く多くの途上国にとって,80年代は成長鈍化の時代であったが,今後持込的成長を果たしていくためにどのような政策をとるべきか,過去の成功事例,失敗事例をひきながら分析する。

第3に,エネルギー・地球環境問題をとりあげる。これらは持続的成長の重要な要素であるとともに,相互に密接に関連している。それぞれ地球上の有限な資源であり,今後世界経済が持続的成長を果たしていくためには,省エネルギー・環境に対する負荷の軽減が必要である。その際,南北間の協力,市場メカニズムの活用の必要性等について述べる。


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