平成元年

年次世界経済報告 本編

自由な経済・貿易が開く長期拡大の道

経済企画庁


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第2章 長期拡大のミクロ的要因

第1章でみたように83年以降世界経済は7年間の長期にわたって拡大を続けている。その特徴としては,①先進工業国においてインフレは89年初に一時高まったものの総じて緩やかな上昇にとどまっている,②88年以降アメリカをはじめ各国で設備投資が成長に大きく寄与している,③国によってスピードの相違こそあるものの雇用状況が全般に改善している,④主要国の対外不均衡縮小のテンポは緩やかとなっているが,国際資金フローに大きな滞り,混乱が生じていない等があげられる。

このように世界経済のマクロのパフォーマンスが良好であったことの要因として,家計や企業の行動変化があったこと,労働市場,財・サービス市場及び金融市場がより自由に機能するようになったこと,公的部門の介入の縮小により市場機能の活用が図られる分野が拡がったこと等のミクロ的要因があげられよう。本章ではこれらの要因が世界経済のパフォーマンスの改善に積極的に寄与したと見られる面を中心に分析するとともに残る問題点も明らかにする。


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