昭和62年

年次世界経済白書

政策協調と活力ある国際分業を目指して

経済企画庁


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第3章 変化する国際分業体制-米・日・NICs・アセアンの重層構造-

1980年以降の世界経済の動きの中で,日本,アメリカにアジアNICs,アセアンを含めた環太平洋圏の高い成長が目立っている。アジアNICsは急速な工業化と輸出の増加を背景に60年代後半から高い成長を維持しているが,そこには日本から資本財,中間財の多くを輸入し,アメリカという巨大な市場へ輸出するという構図がみられる。またアセアンも着実に工業化がなされており,工業品輸出が増加している。しかし,これにはアメリカの直接投資が大きな役割を果しているなど,環太平洋圏では強い相互依存関係と国際的な分業体制をみることができる。

西ヨーロッパの貿易をみれば,成熟した同質の社会の中で,強い域内志向があり,域外との競争力は低下している。こうしたことから経済は活性化が遅れ,基調的には停滞している。

本章では,アジアNICs,アセアンの発展段階とこれらの国・地域を含めた環太平洋圏における国際分業と相互依存の形態を,西ヨーロッパ,なかんずくE Cとも比較し検討する。


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