昭和56年

年次世界経済報告

世界経済の再活性化と拡大均衡を求めて

昭和56年12月15日

経済企画庁


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第3章 先進国経済再活性化のための新たな試み

1970年代にスタグフレーションに陥った欧米先進諸国は,各国とも経済再活性化の努力を重ねているが,最近そのための新たな試みが登場した。それは,イギリスのサッチャー政権とアメリカのレーガン政権の経済政策である。この両者は,従来の政策がおおむね政府の役割を重視する「大きな政府」と「裁量的需要管理政策」に依存していたのに対して,政府の役割よりも市場機能を重視する「小さな政府」と「裁量的需要管理政策の排除」を志向している。これまでの対応と考え方を大きく異にするだけに,スタグフレーション対策としての有効性が注目されている。

一方,フランスでは,イギリス,アメリカ等とは全く異る考え方に基づいて公共部門の拡大と権限の分散化をめざす経済社会政策が打ち出された。

そこで本章では,これらの国の政策を中心に新しい試みが登場してきた背景,そのねらいと問題点,新しい試みを含めた先進国経済再活性化の今後の課題を検討する。


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