昭和52年

年次世界経済報告

停滞の克服と新しい国際分業を目指して

昭和52年11月29日

経済企画庁


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昭和52年度年次世界経済報告の刊行にあたって

世界経済にとって景気回復3年目にあたる52年は,持続的な成長過程へと入っていくことが期待されていた年でしたが,実情は,アメリカを除いて期待はずれのまま終りました。こうした中でこれからの課題を考えてみますと,それは依然として,インフレの再燃をもたらさない範囲で,先進国全体が失業を漸減しうる程度の経済成長を達成することであろうかと思います。

現に西ヨーロッパの主要国は,国際収支赤字が縮小に向っていることもありまして,相ついで引締め政策の緩和や新しい景気刺激策の採用に踏み切っております。

このような情勢の申で,世界第三の規模を有するわが国経済の果すべき役割も大きくなっております。経常収支が大幅な黒字を続けているわが国は,国内需要を中心とする景気回復を図り,黒字幅の縮小に努めているところですが,今後においてもこのような努力を続けていくことが,国際通貨情勢の安定や新しい国際分業の形成に貢献することになるものと考えます。

昭和52年11月29日

宮澤 喜一

経済企画庁長官


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