昭和52年

年次世界経済報告

停滞の克服と新しい国際分業を目指して

昭和52年11月29日

経済企画庁


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はじめに

先進国の景気は,1975年なかばから回復に向かったが,拡大テンポは76年春以後緩慢になっており,とくに77年に入ってからは,アメリカが好調な拡大をつづけているのに対して,西欧諸国の停滞傾向が目立っている。

このように,74~75年の戦後最大の不況からの回復は,必ずしも順調に進まず,先進諸国では,民間設備投資の停滞,高水準の失業,依然高いインフレ,多くの西欧諸国における経常収支赤字の継続,など多くの問題をかかえており, 一部には,保護主義的な動きもみられる。

このような情勢を考慮して,本年の年次世界経済報告では,以下の三点に重点をおいて検討する。

第一に,77年に入ってからの先進国の景気動向の特徴を検討し,景気上昇が緩慢化している原因とその影響を明らかにするとともに,第二に,74~75年不況からの世界経済の回復が行き悩んでいる背景と,このような状況から脱出するための条件を検討する。

第三に,70年代前半にみられる世界の生産・貿易構造の変化‐発展途上国の工業品輸出の増大,産油国パワーの台頭,東西貿易の拡大など‐を検討し,先進国経済が,産油国,非産油発展途上国,さらに共産圏をも包含する新しい工業品の国際分業関係への対応を迫られている状況を明らかにする。


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