平成元年

年次経済報告

平成経済の門出と日本経済の新しい潮流

平成元年8月8日

経済企画庁


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平成元年度年次経済報告(経済白書)公表に当たって

本年度の経済白書は,昭和22年の第1回白書以来43回目に当たり,同時に平成時代に入って最初の経済白書ということになります。

61年秋に始まった今回の景気上昇過程は,今や32か月を超え,高度成長末期の「いざなぎ景気」以来,久々の大型景気となっております。本年度版では,日本経済が円高への適応という形で構造変化を遂げ,新しい歴史的段階に入ったという基本的認識にたって,主として昭和63年度及び平成元年度初めの我が国経済について分析しております。

本文では,こうした変化の潮流を,「高度化」,「グローバル化」,「ストック化」という三つの視点から多面的に分析するとともに,新段階の日本経済の姿と問題点を明らかにしております。こうした観点から,副題は「平成経済の門出と日本経済の新しい潮流」と致しました。

新しい段階としての平成経済が目指すべきものは,対外的には地球的環境問題等を含めた世界経済の発展への積極的貢献であり,また対内的には生産力と豊かさのギャップの解消であります。我が国の繁栄とともに,世界の平和と経済発展のため,我が国の経済力を最大限に活用していかなければならないと考えます。そのためには,制度・慣行の徹底した見直しと内需主導型成長の持続が必要です。経済が順調に拡大している今こそ,これらに挑戦する好機ということができるでしよう。

このような我が国経済の課題を解決する上で,本年度の経済白書がいささかでも貢献することができれば幸いであります。

平成元年8月8日

越智 通雄

経済企画庁長官


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