昭和59年

年次経済報告

新たな国際化に対応する日本経済 

昭和59年8月7日

経済企画庁


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むすび

1.世界経済の現状と問題点

(スタグフレーションを脱した世界経済)

1984年央の世界経済は,米国経済の力強い拡大にけん引されて緩やかながら着実に回復している。84年は83年に始まった世界的な景気回復が一層確実なものとなりつつある年である。

振り返れば,世界経済は1970年代の初頭以来世界的なインフレと石油危機に攪乱されてきた。その結果70年代には先進国経済は総じてインフレとゼロ成長・高失業の共存するスタグフレーションに陥った。しかし世界経済は,80年代初頭のインフレと石油危機に対する苦しい戦いを経て,スタグフレーションの克服に成功しつつある。インフレは第一次石油危機以前の水準にまで低下し,70年代を通じて急上昇したOPECの基準原油価格は,83年に史上初めてOPEC諸国全体の合意により大幅に引き下げられた。さらに日本,アメリカを中心にマイクロ・エレクトロニクス,通信技術を中核とする新しい技術革新が急速に進展しつつある。世界経済の回復はこうした中で起こっており,世界経済は「新しい成長の時代」を展望しうる地点に到達しつつある。

(世界経済の新たな諸困難)

しかし,「インフレと石油危機の時代」は我々にいくつかの重大な「後遺症」を残していき,また「新しい時代」が近づく中で世界経済にとって新たな困難も生まれてきた。

その第一はアメリカの高金利とドル高である。アメリカの金利はレーガン政権の登場とともに上昇テンポを早め,81年にはプライム・レートで一時21.5%の高水準に達した。その後82年後半に大幅な低下を見せたが,83年以降はじり高基調をたどり,プライム・レートは84年6月の時点で13%の高水準にある。こうした高金利を背景に,経常収支の赤字幅が急拡大しているにもかかわらずドルは極めて強く,84年5月のドルの実効レートは80年平均を約40%も上回る高水準となっている。

こうした高金利とドル高の背後にはアメリカの財政赤字がある。アメリカの連邦政府赤字(対GNP比)は82年度(81年10月~82年9月)に3.6%に高まった後,83年度には6.1%の高水準になった。これは,他の主要先進国が80年代に入って財政赤字の消減を主要政策目標の一つとして政策運営を行ってきたのに対して,アメリカはレーガン政権の下で,国防支出を増強する一方大規模な減税を行う等の政策を採っているからである。

こうしたアメリカの大幅な財政赤字は,当面アメリカ自身の景気拡大テンポを早め,世界経済の回復にも大きく寄与しているのは第一章でも分析したとおりである。しかし,問題なのは,民間の貯蓄率が極めて低水準な中で大幅な財政赤字が続けられているために,実質金利が高止まりし,それが異常なドル高の主因の一つを成しているのである。

アメリカの高金利は,①発展途上国の債務返済負担を増大させ,ドル高はアメリカの経常収支赤字を拡大してアメリカ国内の保護主義の根因を作り出し,国内的にはインフレが鎮静化しているなど金融緩和の条件が整っている日本,西ドイツ等他の先進国の金融政策を制約するなど,世界経済に様々な問題を生み出している。さらに,この大幅な財政赤字が削減されない限り,景気拡大に伴って実質金利は一層上昇し,遅かれ早かれアメリカの景気拡大自身阻害されるおそれが大きい。

アメリカでは現在,議会と大統領との間で85年度からの三か年について財政赤字削減策として第一段階の計画が論議されている。それが早急に決定されるとともに,引き続きより本格的な財政赤字削減策が決定・実行されることが,アメリカ経済のみならず世界経済の回復を持続的なものとするため強く望まれる。

その第二は,発展途上国の累積債務問題である。非産油途上国の累積債務は1973年末には1,301億ドルにすぎなかったが,1983年末には6,686億ドルに膨張した。これは,非産油途上国が,中進工業国を中心に二回の石油危機で石油輸入金額がふくらむ中でも積極的に資金を借り入そつつ経済開発を進めたのに対して,先進国の民間銀行等貸手側も豊富なオイル・マネー等を背景に積極的にそれに応じたためである。ところが,こうして債務が急増したところへ,アメリカを震源地とする世界的高金利と世界的不況が襲い,1982年夏メキシコ等の外貨資金繰りの悪化が表面化した。これに対してアメリカをはじめとする先進国は,IMF,民間銀行と協力して緊急融資や債務返済の繰延べなどの緊急援助措置を実施し,また破綻に瀕した途上国側でもドラスチックな内需抑制,輸入削減措置等の対策を実施することになった。

こうした対策の効果もあって問題国の貿易収支も改善に向かうなど当面の危機は回避されているが,最近アメリカの金利が上昇するとともに再び問題が緊迫化している。そのため債務問題についての戦略を確認し,これを引き続き柔軟性を持ってケース・バイ・ケースに実施し発展させるほか,金利の引下げ,先進国市場の拡大による債務国の輸出の増大等のより抜本的な解決策が望まれている。

第三の問題は主要先進国,特に西欧諸国の構造調整の遅れである。「インフレと石油危機の10年」を通ずる石油価格の高騰,中進工業国の急速な追い上げ,さらには新しい技術革新の進展は,主要先進国の在来型産業の比較優位を大きく揺さぶった。

これに対して日本,アメリカは先端技術部門への転換等を通じておおむね機敏な対応を遂げつつあるが,西欧諸国の対応には遅れが目立っている。それは,硬直的な実質賃金,労働力の適応力の欠如,政府部門の肥大化等から先端技術の開発や産業構造の転換に必要な設備投資が十分に盛り上がらないためである。そのため国際競争力が張まり,成長力は回復せず,雇用機会も拡大していない。構造的に利潤を圧迫される企業(特に在来型産業の)が合理化を図ろうとしているのも雇用機会減少の一因となっている。

こうしたことから西欧の雇用は,不況期間中はもちろん景気が回復に向かってからも,減少を続けている。そのため失業率もなおじり高となっており,特に若年労働者の失業率が高い。

第四の問題は保護主義的圧力の高まりである。長期にわたった世界不況の間に高まった保護主義的圧力は,世界経済が回復に向かった現在も,なお張まってはいない。日本の乗用車の対米輸出自主規制,アメリカでのローカル・コンテント法案,相互主義法案等の立法の動き,日本のVTR等に対するECからの輸出自粛要求,ECによるデジタル・オーディオ・ディスクの関税引上げ,アメリカ・EC間の特殊鋼,農産物をめぐる対抗措置の応酬,繊維製品国際貿易取決めに基づくアメリカ・ECの繊維輸入の規制等がその例である。最近の保護主義的な動きは輸出自主規制等透明度が低く,二国間で取り決められる等,ガットの枠組を離れて行われるものが多く。また従来のモノだけでなく,先端技術やサービスヘ広がるという特徴がある。

こうして保護主義的圧力が強まってきたのは,長期の不況が各国の産業調整を困難化し失業を増大させたのが基因であるが,そのほか,アメリカの場合は異常ドル高が同国の輸出産業・輸入端争産業の国際競争力を張体化していることが,また西欧の場合は賃金の硬直性,労働の流動性の欠如等の構造要因が働いている。

こうした保護主義が定着すると貿易拡大を抑制するだけでなく比較優位に沿った世界経済の効率的展開を阻害する。特に重大なのは,途上国の輸出の拡大を阻害して,その債務返済を極めて困難にすることである。そのため,各国が協力して現在の保護主義を巻き返し,自由貿易体制を維持・強化することが緊急の課題となっている。

さらに最近,ペルシャ湾岸の緊張が高まり,ペルシャ湾岸からの石油の積出しに支障が生ずることが懸念されている。現在,代替省エネルギーの進展,非OPEC諸国の増産等から世界の石油需給は引き続き緩和基調にあり,我が国をはじめ主要国の石油備蓄も過去の石油危機発生時に比べればかなり高い水準にある。また,ペルシャ湾岸以外の石油生産国の生産力にはかなりの余裕がある。そのため仮にペルシャ湾岸からの石油の積出しが困難になったとしても,消費国の冷静かつ適切な対応によって世界の石油需給がひっ迫し石油価格が再び高騰するような事態は避けられると考えられる。しかしながら,石油情勢がようやく回復に向かいだした世界経済を再び混乱させることのないよう,緊急時対策に関する国際的な協力体制の充実を引き続きはかるとともに,ペルシャ湾岸をはじめとする中東の政治的安定を回復するための国際的努力が望まれる。

そのほか,東西間の緊張の高まりは,軍事費の増嵩を通じて東西両陣営ともに,その経済に大きな影響をもたらしている。

こうした諸困難が世界経済の先行きに不安を投げかけている。これからの時代を真に「新しい成長の時代」とするためには,まず何よりも世界の各国が協力してこれらの諸困難を解釈していくことが必要である。

2.  日本経済の現状と展望

(景気の現局面)

我が国経済に目を転ずると,昭和58年央の日本経済は,回復に向かって一年を越え,引き続き拡大を続けている。これを需要項目別に見ると,個人消費や住宅投資の伸びはなお緩やかであるが,輸出が増加傾向を続けているほか,民間設備投資が中小企業を中心に順調に回復している。在庫投資も全体としては実需の増加に応じて積増しの動きがみられる。一方,公的需要は財政改革下で厳しい歳出抑制が図られていることから,経済成長への寄与は小さなものとなっている。こうした需要の動きを反映して鉱工業生産や輸入が増加傾向を続けており,企業収益も改善している。労働力需給はなお緩和した状態にあるものの,改善の動きが見られる。物価も引き続き安定基調を維持している。

こうした中で需要項目間の回復力の差を反映して,業種別地域別に景気のばらつきがなお残っている。また建設業等を中心に中小企業の倒産がなお多発している。

今回の回復・拡大期における我が国経済の成長パターンを見ると,58年前半の外需(経常海外余剰)依存の高かった姿から,次第に内需の成長寄与度も高まってきている。国際収支面では大幅な経常収支の黒字と資本収支の赤字が続いている。

(中期的展望)

願みると,「インフレと石油危機の10年(1973年~82年)」は我が国経済にも大きな影響をもたらした。1963年~72年の10年間に年平均9.8%の高度成長を成し遂げた我が国経済は,「インフレと石油危機の10年」の間には同4.3%の成長にとどまり,特に1982年~83年の成長は3%台にとどまった。また,第一次石油危機時にはインフレは狂乱物価と言われるほどの先進国中最悪の状態に陥り,戦後初めてマイナス成長を経験した。しかし,後半の第二次石油危機に際しては,インフレを先進国中最低の水準に抑えるなど順調にこれを乗り切った。1982年~83年の3%台の成長もやや低め成長であるが,ゼロ成長に近かった世界経済の中では優れた成果と考えられる。

そして「インフレと石油危機の10年」を過ぎてみると,日本はいつの間にか世界の経済大国の一つに躍り出ていたのである。1970年代の初頭には6%にすぎなかった我が国のGNPの世界経済に占めるシェアは,80年代にはちょうど1割の水準に達した。石油危機への対応に国を挙げて努力する中で,日本は省エネ技術,先端技術面でも世界のリーダーの一つとなった。また,二次にわたる石油危機にもかかわらず世界に対して資本を供給する立場ともなったのである。

また,我が国の位置する太平洋地域は韓国,台湾,香港,シンガポールというアジアの中進国(地域)及びASEANをはじめ成長ポテンシャルの大きい国々が多く,さらには,豪州,ニュージランドという豊かな資源に恵まれた先進国を抱え,今後とも世界経済の成長センターとして期待されている地域である。そうした地域の一員としても日本の世界経済に占める重要性は今後ともますます大きくなっていこう。

もちろん「インフレと石油危機の10年」が終わったからと言って,我が国経済がそれ以前の高度成長時代に戻れるわけではないのはいうまでもない。まず世界経済に前述のような問題がある。なかんずくアメリカ経済の先行きが不透明なのは我が国にとっても大きな不確定要因となっている。また,我が国経済自体についても,基本的に欧米先進国へのキャッチ・アップを完了して技術導入の有利さが少なくなっている分野も多い上,今後に急速な人口の高齢化,社会の成熟化を控えている。さらに世界経済全体の相互依存性が強まった中で我が国経済が一段と大きくなったために,以前に比べ諸外国との問題が発生する可能性が高まっている。

しかし,そうした諸々の制約にもかかわらず,安定的で力強い「新しい成長の時代」を我々の努力で実現し,その中で世界経済の運営により積極的な役割を果たしていくことは必要であり,また可能である。

そのために今我々が成すべきは何か。

3.  日本経済の課題

日本経済の第一の課題は,現下の景気拡大を一層国内民間需要を中心としたインフレなき持続的成長へと結びつけていくことである。

そのためには,まず設備投資,住宅投資等民間投資の持続的拡大が必要である。我が国経済には多くの投資ニーズが残されている。民間設備投資についてはマイクロエレクトロニクス,通信その他の先端技術を導入しつつ産業構造の転換を図っていく必要があり,そのための設備投資の活発化が求められている。住宅投資についても,数の上では住宅数は既に世帯数を上回っているものの,住宅資本ストックは主要先進国と比較してなお極めて低水準である上,最低居住水準に達しない世帯がなお1割を越えているなど,住宅の質の改善のニーズも依存根強く,その増大が望まれている。

また,財政については,財政改革過程においても財政改革と両立する範囲でその景気調整機能を生かしていくとともに,財政制約の下ではあるが,国土と国民の安全を守り,経済社会の活力を維持し快適な国民生活を実現するための基盤となる社会資本の着実な整備を進める必要がある。その際,規制の見直し,民間資金の導入等により民間活力が最大限に発揮されるよう環境を整備することが必要である。さらに民間投資を促進するためには,為替相場の動向等に注意を払いつつ金融政策を機動的に運営することが要請されている。

なお,物価の安定は個人消費の増大をもたらし,国民生活の安定と向上に不可欠であると同時に,設備投資の安定的拡大のための基礎的条件であり,今後とも物価の安定基調を引き続き維持することが重要なのはいうまでもない。

我が国経済が国内民間需要中心の持続的成長を遂げることは,また輸入の拡大等を通じて,調和ある対外経済関係の形成に資するとともに,世界経済の安定成長にも大きく貢献することとなる。

第二の課題は行財政の改革の推進である。本年の年次経済報告は分析の焦点を対外経済関係にからむ一連の問題群にしぼったために,行財政の改革については触れていないがそれが,日本経済の重要な課題であることは言をまたない。そのため,経済社会の発展のための新しいエネルギーを発揮できるよう時代の進展に即応して行政の役割を抜本的に見直し,その簡素化・効率化を図る行政改革,制度面に踏み込んだ見直しを図る財政改革に真剣に取り組んでいかなければならない。財政改革については,昭和65年度までに特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引下げに努め,財政の対応力の回復を図ることが必要である。

我が国経済の第三の課題は,今後とも引き続き我が国市場の開放と輸入の拡大に努めるとともに,自由貿易体制の維持・強化のためのルール作りに積極的な貢献を行うことである。我が国は現在既に世界で最も開放された市場の一つとなっているが,今後とも商品貿易のみならず金融や先端技術等経済の各分野で引き続き自由化・国際化を推進し,我が国の経済社会を世界の中でより一層開かれたものとしていくことが必要である。

金融の国際化とそれに平行する自由化は,先の「金融の国際化及び円の国際化についての現状と展望」に示されているように基本的には我が国の金融システムが我が国経済のニーズの変化に対応してより効率的な役割を果たすために必要であり,同時に,我が国が世界経済に積極的に貢献していくためにも必要である。

先の日米円・ドル委員会での合意・決定事項とそれに基づく諸措置も,こうした方向への大きな前進として高く評価できよう。

こうした市場開放,あるいは自由化・国際化は,国内経済に様々な構造調整を迫るものであり,直接間接の関係当事者に対して経済的のみならず政治的にも「痛み」をもたらす場合もあろう。しかしそれは国民経済全体の効率化,ひいては国民の経済的厚生の増進につながるものである。したがって過渡期の摩擦に適切に対処し,各々の産業のもつ特殊性にも配慮しながら,向前きかつ計画的にこれを推進していかなければならない。

こうした我が国自身の率先した責任ある努力を背景として,これまでの各国の保護主義的圧力に対し巻き返しを行うとともに,ガット体制をより効果的なものとする必要がある。そのために,ガットの「作業計画」,OECDの「ロールバック作業」を引き続き推進するとともに,  「新ラウンド」の準備を早期に開始するよう,関係国と協力していかなければならない。ガットの「作業計画」にはセーフガード,農業,途上国問題,サービス等が含まれており,この他にも先端技術等新ラウンドで取り上げられるとみられる重要な問題がある。

なお,経済の国際化が進展すれば,国民経済の効率が高まる反面,海外における予期せざる変動に国内経済が攪乱される危険が増大するのも事実である。したがって,経済の国際化を後顧の憂いなく進展させるためにも,各種保険制度や備蓄等適切なリスク対策を,国民経済的な費用と便益を考量しつつ推進していくことが引き続き必要とされよう。

我が国経済の第四の課題は,上述の金融の自由化・国際化を通じて我が国の資本輸出が一層円滑に行われるよう環境を整備するとともに,技術協力,産業協力,経済協力等各種の対外協力を推進することである。まず技術協力,産業協力は,先端技術革新でリーダーの一個となり,かつ経営技術にも優れている我が国が,貿易相手国の経済の活性化と雇用の増大に貢献することにより,世界経済の拡大均衡に寄与する道である。直接投資を通ずる協力は,途上国にとっては債務を増やすことなくその経済開発を進められるというメリットがあることも忘れてはならない。

また,経済協力は平和国家日本が世界に貢献する最も重要な手段である。しかも我が国は戦後の経済発展の過程で現在の発展途上国に相当する段階をも経験してきたものであり,経済開発の必要性に対する共惑と経済開発のためのハード・ソフト両面でのノウハウとを併せ持っている。そのため我が国はこれまで政府開発援助の新中期目標の下に経済協力の積極的拡充に努めてきたが,今後とも相手国の経済社会の実態を踏まえ,その経済開発を効果的に促す等によりこれまで以上にその効率的推進に努めつつ,その充実を図っていく必要がある。

特に,近隣の太平洋地域に対しては,我が国との関係の緊密さに加えて,それが大きな発展のポテンシャルを持っていることにかんがみ,その経済社会の発展のために資本,技術,知識,経験等の供給を積極的に行っていくべきである。また,工業化が進展した諸国との間では引き続き水平分業を推進していくことも必要であろう。

さらに,我が国は世界経済に積極的に貢献するという観点から,先に述べた世界経済の諸課題に対してもその解決のため積極的な参加と発言を行っていくべきであるのは言うまでもない。

*                *                *日本経済はその生存・発展のために世界経済の安定的発展を最も必要とする国の一つである。日本が国際国家として世界経済に貢献し,それによって世界経済の安定的発展をより確実なものとし得れば,それはすなわち,日本経済を一層安定・強化することとなる。相互依存の網の目が拡がり,技術革新が地球を覆い,世界は今や運命共同体として結び合わされつつある。「共存共栄」,これこそが「新たな国際化に対応する日本経済」の道である。


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