昭和57年

年次経済報告

経済効率性を活かす道

昭和57年8月20日

経済企画庁


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第II部 政策選択のための構造的基礎条件

第3章 新しい国際分業と産業調整

石油危機以降,先進工業諸国は成長の鈍化と需要構造の変化に直面している。また,中進工業国の追上げもあって,世界の貿易構造は変化し,この面からも産業調整を迫られている。こうした中で,わが国産業の国際競争力が強いことからわが国の輸出が増加した場合に,貿易摩擦を生じるケースがみられる。

しかしながら,日本の産業の生産効率が高く,国際競争力が強いことは,時として海外で誤解があるような政府の補助や構造的な低賃金によってもたらされたものではなく,あくまで民間部門の努力によるものであって,積極的に評価さるべきものであることはいうまでもない。また,一方で,わが国として長期的に国内民間部門および政府部門の均衡化をはかり,国内需要の安定的拡大に努める必要があることは第1,2章でみた通りである。

近年の貿易面での対外摩擦には日本側だけの要因でなく,相手側の特殊利害や当面の世界的不況状況といった事情が反映している。しかしさらに基本的な問題としては,とくに70年代に入ってからの先進工業諸国の硬直化要因の増大や,保護貿易主義の高まりがある。OECDをはじめ,いくつかの場で議論されてきた産業調整問題もこうした背景を有している。第3章ではこうした先進工業諸国の構造的変化と産業調整問題について検討し,今後のわが国の対応の方向について考えてみることにしたい。


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