昭和56年

年次経済報告

日本経済の創造的活力を求めて

昭和56年8月14日

経済企画庁


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第I部 第2次石油危機を乗り越える日本経済

第3章 財政金融政策の展開と課題

第2次石油危機の厳しい影響を受けながらも,わが国経済がインフレの大きな高進を避け,深刻な不況にもならず,ほかの先進工業諸国に比ベ良好なパフォーマンスを維持しうることができた一つの大きな理由は,「物価対策」やいわゆる「総合経済対策」が早期かつ適切に行なわれ,財政金融政策が機動的に運営され,それが効果的だったことである。なかでも金融政策の面では,55年8月以降物価情勢の落着きを背景にわが国は先進国中最も早く金融緩和に転じることができた。現在では,わが国の金利は主要国中最も低い。物価の安定が公定歩合の引下げを可能にしたのである。。この間,財政政策も財政再建という厳しい制約条件下で,公債依存度を低下させつつ,可能な限りの機動的な政策展開を示してきた。こうした政府の経済対策の適切な展開のなかで石油価格上昇のデフレ効果による「景気のかげり」も終わりつつある。以下,政府の政策展開の過程とその効果について検討してみよう( 第I-3-1表 参照)。


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