昭和51年

年次経済報告

新たな発展への基礎がため

昭和51年8月10日

経済企画庁


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終章 新しい発展のための基礎がためのとき

(農業における体質改善)

最近,世界の食糧需給がひつ迫基調に変化し,これに対応して,国内における食糧自給力向上が国民的な課題の1つになつているおりから,農業における生産性の問題が改めて注目される。

近年,高度経済成長のもとで,わが国農業は,労働力や土地等生産資源を,非農業部門に供給しながら,稲作の機械化の進展や畜産,園芸部門等の発展によつて全体として生産を拡大してきた。しかし,若年層を中心とする農業労働力の大量流出とこれに伴う兼業化の著しい進行などにより農業の体質が全体として脆弱化し,このことが農業生産の増強を図るうえで様々な問題を生じていることも事実である。昭和50年においては全農家の62%が農業を従とする第二種兼業農家となつているが,いま,資源の有効利用という観点から専業的農家(専業農家および農業を主とする第一種兼業農家)と第二種兼業農家の両者の農業経営を比較してみると,保有する耕地の利用度や労働生産性,さらには資本生産性に大きな格差がある。

特に他産業勤労者世帯に匹敵あるいはそれを上回る農業所得を実現している自立経営農家においては,高い生産性が示されている。したがつて,今後,資源の有効利用を通じ農業生産の増大を図つていくためには,専業的農家の経営発展の条件を整備し,その育成,確保を図るとともに,これらの農家を中心として土地利用の集積,農業生産の組織化等を推進していくことが必要である。また,一作物だけでは年間の就業期間が限られる場合もあることや自然循環を利用して営まれる農業の特質等を考慮するならば,農業経営の複合化を進めていくことも重要であろう。


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