昭和51年

年次経済報告

新たな発展への基礎がため

昭和51年8月10日

経済企画庁


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第3章 根強い物価上昇圧力とその背景

49年度後半からの在庫調整の本格化とともに物価は目立つて鎮静化し,卸売物価は50年1~3月,4~6月には前期比で下落に転じた。その後,50年度後半に入つて上昇に転じているものの,50年度全体としてみれば2.1%の上昇と,前年度の23.4%の上昇に比べると様変りに安定化した。消費者物価も前年度の21.8%の上昇に対し,10.4%の上昇にとどまり51年3月末の対前年同月比上昇率でも政府目標である一桁台の上昇率を達成した。しかしながら,これは年度平均の姿であり,年度中の動きをみると,特に年度後半に入つて卸売物価の上昇が目立つている。この根強い物価上昇は企業行動の変化を背景にしているとみられる。すなわち,49年度から50年度前半にかけての物価の鎮静化の過程で企業収益がかつてないほどの低水準に落ち込んでいるだけに,景気回復が進むなかで企業は従来以上に価格志向を強めている。こうしたなかで,一次産品市場でも国内市場でも根強い物価上昇期待が残つていることに注意しなければならない。

第3-1表 最近の物価動向


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