昭和48年

年次経済報告

インフレなき福祉をめざして

昭和48年8月10日

経済企画庁


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第3章 物価の高騰とその背景

国際収支が均衡への動きをみせるなかで,わが国経済は異常な物価上昇との対決に迫られることとなつた。物価は47年度後半からにわかに騰勢を強め,48年春には卸売物価と消費者物価とがともに前年同期比11%以上の異常な高騰となつている。

今回の物価上昇は平時としては異例の速度であり,しかもそれが,全面的であるという点で,これまでの物価上昇とは様相を異にしている。こうした物価急騰は基本的には需給のひつ迫によつてもたらされたものであるが,その過程で所得やコストの水準も大幅に上昇しており,海外インフレーションの影響もあつてそれが先行き物価の騰勢を鈍化させにくくするであろう。

激しい物価上昇は,所得分配を不公平にし,資源配分を損ない,社会的対立をまねくことになる。物価安定のために全力をあげることこそ急務である。


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