昭和43年

年次経済報告

国際化のなかの日本経済

昭和43年7月23日

経済企画庁


[前節] [目次] [年次リスト]

第2部 国際化の進展と日本経済

5. 経済社会発展のための諸条件

(3) 財政金融の効率化

わが国経済社会の発展をはかるうえで財政や金融の果たすべき役割は大きい。とくに景気政策の面では,今後国際化の進展にともない,国内均衡と国際均衡の両立を図つていくことが重要となり,そのために財政金融政策の適切な組み合せ,すなわちポリシーミックスがますます重要となつてくることについては,すでに第一部でのべた。こうした景気調整機能を整備し併せて適切な資源配分を行なつていくには金融および財政両面で政策効果を高めるような環境を整備するとともに,非効率な制度・慣行を再検討し,その効率化をすすめることが必要である。以下ではそのなかの主な問題をとりあげてみよう。

ア. 金融の効率化

金融面では金利の弾力化など金融政策の有効性を高め,資源の適正配分を実現しうるような環境の整備が重要で,それとの関連で企業の資金調達方式や金融機関の効率化が問題となるであろう。

(ア) 金利の弾力化

まず金利についてみてみよう。

第95表 各種金利の水準および伸縮性(10年間の変動係数)の国際比較

いま各種金利の水準および伸縮性を国際比較してみると4つの特色があることに気がつく( 第95表 )。第1に,海外先進国の金利は上昇し,わが国のそれは長期的にみて低下傾向にあることである( 第74図 )。そのため,最近時点では貸出金利(一流企業向け,短期)など部分的には諸外国を下回つているものもある。第2に,諸外国の政府短期証券の割引レートは市場の実勢に応じて変動し,かつコール・レートよりも高い水準にあるため,市中金融機関の保有も多く,中央銀行の公開市場操作の重要な対象となつている。これに対し日本ではコール・レートよりはるかに低位で,市中金融機関の保有もほとんどない。第3に,わが国のコール・レートは,市中銀行がオーバー・ローンで外部負債過多のため,国際的にかなり割高になつている。第4に,わが国の金利はコール・レートを除いて変動が小さく弾力的でない(変動係数が小さい)。とくに預金金利の場合そうである。

このように,わが国の金利体系は諸外国とかなり異なつており,きわめて伸縮性に乏しい。今後金利の資金需給調整機能を発揮させていくためには,各種の金利を弾力化し,金利体系のアンバランスを是正していかねばならない。

なかでも公社債利回り(発行条件)の弾力化はきわめて重要な課題といえよう。金融機関借入に過度に依存したかたちとなつている企業の資本構成の現状を改め,より安定的な資本構成とするための1つの方策は,公社債市場の健全な発達をはかり,これをつうずる資金供給のパイプを大きくすることである。わが国において,とくに公社債市場が十分発達しなかつた大きな要因は,発行条件が人為的に固定化され,市場価格に応じてそれが改訂されるという慣行が確立されていなかつたからである。 第75図 にみるように,既発債利回りと新発債利回り(発行条件)との開きが生じ,それが大きくなるほど,買手にとつては新発債を購入するよりも既発債を買うほうが有利となるため,新発債の消化は困難となり,起債達成率も低下している。今後,公社債市場の発達をはかるには市場の実勢にあわせて発行条件を弾力的に変更する慣行を確立し,無理のない消化を図つていく必要がある。そのようにすれば,企業の資金調達における公社債市場への依存度が増大し,金融機関借入過度依存の資本構成も是正されるとともに,企業の投資活動自体も市場機能をつうじて自律的に調整されることが期待できるであろう。

(イ) 企業の資金調達方式の再検討

第96表 金融コスト・賃金コストの国際比較

わが国企業の金融コストは諸外国の企業にくらべてかなり高い。

この点から金利引下げの要請が強いが,金利は本来資金の需給関係によつて決定されるものであつて,必ずしも低ければ低いほどいいというものではない。また金利は,前述のように,景気調整や内外金利差にともなう外資の過度の流出を是正する上で重要な役割をもち,時にはその水準が高めに維持されざるをえない場合もあろう。

こうした金利の弾力性を保ちながら,企業の金融コストを軽減していくにはどうすればよいであろうか。金融コストを国際比較しながらこの点についてみてみよう( 第96表 )。

金融コストは他人資本比率,利子負担率,総資本回転率に分解されるが( 第96表(備考)3 ),諸外国にくらべて金融コストが際立つて高いのは,主として借入依存度が高い,すなわち自己資本比率が極端に低いためである。もつとも利子負担率も,このところ金利の割高は是正されているものの,短期金利にくらべて割高な長期借入金の比重が高いため,諸外国にくらべて若干高くなつている。また投下資本の効率を示す総資本回転率も諸外国にくらべやや見劣りがする。

自己資本比率の大小と収益率の水準およびその安定性との関連はどうであろうか。

第97表 はその関連をみたものであるが,自己資本が低いほど収益力が低く,また安定性も低い。このことは自己資本比率の低い企業ほど不況に対する抵抗力が弱いことを示している。また,「世界企業と日本の企業」の項でみたようにわが国企業の競争力は金融コストの割高を国際的に割安な賃金コスト(前掲 第96表 )で補つて支えられているといえるが,豊富な資本力をもつた外国の企業が日本に進出し,割安で優秀な労働力を使用することになれば,自己資本比率が低く金融コストの高い日本の企業はきびしい競争に直面することになろう。

第98表 収入階層別貯蓄の1世帯当たり現在高

第76図 個人の金融資産に占める収益性資産比率(残高べース)の日米比較

自己資本は決して無コストではなく,企業がコスト面で自己資本と他人資本を比較選択し,相対的にコストの安い金融機関借入を選択してきたこれまでの行動は必ずしも不合理なものではなかつた。しかし今後は,以上の諸点からみて,企業がその資本構成面で内部留保など自己資本の充実をはかり,金融機関借入に過度に依存する姿を改めていくことが重要な課題になることは明らかである。そのための環境整備として,政策面から企業の資金調達が借入金偏重にならないよう誘導することと並んで,金融機関借入よりも安定性の高い社債や株式などの調達の場である資本市場を健全に育成する必要がある。

わが国の資本市場,とりわけ公社債市場が未発達であつた大きな要因として,公社債発行条件の固定化があげられることはすでにのべたが,その他の要因として,個人の金融資産の蓄積がこれまで十分でなかつたという買手側の事情があつたことも大きかつた。しかしながら,一般に個人の所得水準が上昇するにつれて,株式や社債など収益性の高い資産を選好する比率も上昇してくる( 第98表 , 第76図 )。アメリカにくらべると,日本の現状はかなり立ち遅れているが今後個人所得水準の上昇につれ,個人の金融資産ストックも増加するので,資本市場が健全に育てばこれを資本市場に導入することが期待できよう。また,保険会社や信託銀行の資金量も,このような個人の金融資産ストックの増加に応じて高い伸びをつづけることが予想されるうえ,今後は企業年金制度の普及という資金量増加要因もあるので,これら機関投資家の資本市場における買手としての地位も漸次高まつていくであろう。

今後,こうした個人や機関投資家を資本市場に誘導する必要があるが,その際転換社債の活用や株式の時価発行が検討されるべきであろう。

(ウ) 金融機関の効率化

以上のような動きに対応して,金融機関の効率化について関心が高まつている。

金融機関は,公共的性格をもち,産業に対する影響力も大きいので,資本自由化の制限業種になつている。一方,自由化や労働力不足に対処するための産業資金需要が大型化する傾向があつて,金融機関の効率化による低利かつ豊富な安定資金の供給を望む声が高まつている。それは再編成や有効競争促進の声にもなつているが,金融機関の経営の現状はどうなつているであろうか。

第99表 銀行経営比率の日米比較

いま,日本の銀行の経営諸比率をアメリカと比較してみると, 第99表 のとおりである。資金吸収コスト面では,①預金利回りが高く,預金コストが高い。②コール・レートが割高であることから借用金利回りが高く,預金借用金コストが相対的に割高である。それにもかかわらず,運用面では貸出金利回りの割高はそれほど大きくなく,利ざやもかなり小さい。

しかし,効率という点から見れば問題がある。たとえば人件費率がそれほど割安でないことである。これはわが国企業(製造業)の賃金コストが国際比較では1/2~1/3である(前掲 第96表 参照)のときわめて対照的である。

第77図 全国銀行の生産性

従業員1人当たり賃金をみると,わが国の企業も銀行もアメリカの約4割弱と同じように低い。しかしわが国企業(大企業)の労働生産性はアメリカの8割程度とそれほど大きな格差はないのに,銀行の労働生産性を従業員1人当たり預金量でみれば,わが国はアメリカの5割強にすぎない。わが国金融機関の労働生産性が際立つて低いという問題を示しているといえよう。これにはわが国の金融資産の蓄積が相対的にまだ少なく,小口零細預金が多いことなどの理由があることは否定しえないが,今後,労働力の効率的使用や効率的な投資を推進することによつて労働生産性の上昇をはかり経営の効率化を実現することが,重要になつてくる( 第77図 )。

さらに,金融機関においても,とくに中小金融機関においては,規模の経済がかなり明確に認められることは,42年度年次経済報告でものべた。中小金融機関の場合には,地域性や対象企業の零細性といつた事情も考慮しなければならないが,今後合併,再編成などによつて,規模の利益を実現しうる場合には,これをつうじて金融機関全体としての効率を高めていくことがますます必要になつてこよう。

イ. 財政の効率化

経済社会を発展させるうえで財政の果すべき役割は大きいが,とくに資源配分機能と景気調整機能をいかに調和していくか,このことと関連して財政硬直化の現状をいかに打破して,弾力性と機動性をどう高めていくかという問題がある。

(ア) 資源配分機能と景気調整機能の調和

まず,財政支出と税収の景気変動に及ぼす影響を 第100表 でみると,支出,税収ともに前年度並みとした場合の経済成長率の変動幅にくらべ,財政支出のみが加わつたときの幅は必ずしも縮小しないが,税収のみが加わつた場合および両者ともに加わつた場合には,経済成長率の変動幅は,縮小し,税収は財政支出よりも景気変動を小さくする方向に働いてきたことを示している。これには所得税の累進構造などからくる自動調整機能が大きいが租税政策を意図的に活用している面があることも見逃せない。

第78図 財政支出と税収の推移

つぎにわが国についてみると( 第78図 ),例外的な時期もあるが,財政支出および税収は総じて景気変動を小幅にするほうに動いてきた。景気下降期(33,37,40年度)には税収の伸びが低下する一方,財政支出の伸びが高まり,上昇期(31,32,35年度)には税収の伸びが財政支出のそれを上回つた。これは政策面からの努力もあつたが,むしろ租税の累進構造,前年度剰余金のシステムなど自動的な調整機能による面が大きかつた。

しかし,今後は,国際化の進展にともない財政政策はむしろ意図的に景気調整の役割を果たしていくことが必要となるであろうが,この場合財政支出と財源調達の両面を活用していくことが重要である。これまで,わが国では財政支出面の調整に力点がおかれてきた。もちろん,財政支出は民間投資を補完するかたちで支出したほうが,景気安定面で望ましいうえ,支出の効率性からみても景気後退局面では,政府投資関連価格の上昇も大きくないから,それだけ安価に事業ができる( 第79図 )というメリットがある。しかし財政支出には,社会資本や社会保障など本来,長期的視野にたつて充実していくべき性格のものが多く,機動性も乏しい。それにいつたん増大した支出規模を景気上昇中に抑えたり,進行中の公共事業を中止することも現実的にはむずかしくロスも多い。

そこで財源調達面の景気調整機能を併せ活用していくようにすれば,たとえば増税によつて民間需要の行き過ぎが調整され,資源配分上必要とされる財政支出まで削減する必要はなくなつてくる。他方,不況の際は,減税によつて民間需要に刺激を与えれば,ある程度のタイムラグはあるが,税収が増加し,財政収支の均衡回復につながつていく。ただこの場合,増税分の留保あるいはとりくずしまたは公債発行量の増減など併せ考慮する必要があることはいうまでもない。このように財政支出と並んで租税政策を景気調整面で意図的に活用すれば,景気調整機能と資源配分機能を両立させ,その調和を図つていくことがより容易となるわけである。

第101表 財政構造の国際比較

日本でも,法人税の延納利子税率を公定歩合にスライドさせる制度などが整備されてきている。

わが国のように,年々税制改正が行なわれるような場合には,その時点で景気動向を考慮することが可能であるし,年度中途において税制の変更を行なうことは,経済活動に必要以上の変動を与えかねないといつた面があるであろうが,今後の方向として先進国の例を参考にしつつ,この面の整備を検討していく必要があろう。

(イ) 財政の弾力的運営の阻害要因とその打開

財政の弾力的運営をはかり資源配分機能と景気調整機能を十分に発揮していくには,昨今問題となつているいわゆる財政硬直化を打開することが不可欠である。

財政硬直化は2つの意味をもつている。1つは,予算の内容を構成する諸経費が次第に伸縮性を失ない,しかも経費自体にたえず膨張しようとする圧力があつて,これを抑えることができず資源配分機能が弾力性を喪失することであり,いま1つは,景気調整期に,支出の伸びを抑えたり,国債依存度を下げたりすることなどの景気調整機能が低下する事態を意味している。そこで以下ではこのような財政硬直化をもたらした要因とその打開の方向を検討してみよう。

いま最近10年間のGNP(国民総生産)の伸びに対する財政支出(GNPベース)の伸び(弾性値)を国際比較してみると 第101表 のとおりである。

支出面でみると,日本の政府総支出のGNP弾性値が収入のそれを上回つていること,支出の変動の程度がもつとも低いことが注目される。

支出増大をもたらした要因を一般会計の主要経費別にみると,社会保障関係費,公共事業関係費などの伸びが高かつたこと,38年度以降米の政府買入価格が政府売渡価格を上回り食管会計への繰入れが増大したこと,40年度以降国債発行にともなつて国債費が著増したことなどがあげられる。

このような支出面における弾性値の特微やその要因となつている諸点は,必ずしも直接に財政硬直化の内容を示すものではないが,そのひとつの目安になるものと考えられる。

財政支出面での硬直化をもたらした基本的原因は,法律,制度・慣行の再検討および改廃が不徹底なことである。そのため,発足時の意義が失なわれ重要性も低下しているにもかかわらず,それが維持されたり,制度の乱用が生じたり,あるいは,価格のメカニズムが働かないために非効率が温存されたりしていることである(たとえば,各種補助金,食管,恩給,失業保険,行政機構や定員など)。

また,上記との関連で財政の弾力的運営を阻害している背景として政府が購入する財貨サービスの価格が絶対的にも相対的にも上昇していることもあげられよう。一般物価水準が過去10年間に年率3.7%の上昇であつたのに対し,政府経常購入価格は年率7.2%のいちじるしい上昇を示した。このため国民総生産に占める財政の割合は,名目的には傾向的にふえているが,実質的にはほとんど横ばいになつている。これは名目的な支出増加にくらべ,実質的なサービスはそれほど増加しえなかつたことを意味している。

第80図 粗対価格の不利化

ちなみにこうした相対価格の不利化の影響を測るため,相対価格の変化がなかつた場合を試算してみると, 第80図 のとおりである。すなわち36年度から41年度にかけて財政支出は年率17.2%の伸びを示したが,もし相対価格の変化がなければ,同じ量の実質効果をあげるのに名目で15.1%の伸びでよかつた。

以上のように支出面における財政硬直化の背景には,不合理な制度・慣行の温存あるいは相対価格の不利化があつたといえよう。このような硬直化現象が放置され財政支出の膨張がつづくと,景気調整機能や資源配分機能の発揮が阻害される。それは,ひいては金融政策にも過重な負担を加え,その有効性を低下させるものである。

第81図 一般会計税収伸び率とGNP成長率

また,財政の機動的運営をはかつていくためには,支出面とともに収入面においても租税政策の弾力的運営を阻害してきた各種の要因があるとすれば,これを打破していくことが要請される。たとえば,特定の政策目的のために採用された租税特別措置による減免税のうちにはともすれば既得権化し易く,その政策目的が達成され,あるいはその効果が疑問とされるに至つてからも,なかなか廃止されがたいという面があつたことは否定しえない。また,従量税率や定額税率を適用している間接税など(たとえば,酒税,たばこの小売価格)は,所得や物価の上昇があると,その税負担が相対的に低下するという現象がみられる。

GNPの伸びに対する政府経常収入の伸びをみると(前掲 第101表 ),日本が一番低くなつている。直接税のウエイトの高い日本がこのようにもつとも低くなつているのは,所得および物価水準の上昇と所得税の累進構造にもとづく租税負担の急激な上昇を回避し,あるいは物価上昇を調整するための所得税減税など当然なすべき減税が行なわれたことが影響している。

政府経常収入の大宗である一般会計税収について減税後の実績と減税前を比較すると,毎年減税により5%ほど税収の伸びが押し下げられてきたといえよう( 第81図 )。しかし,このほか,社会保険負担の累進度が低いことや上記のような租税政策の弾力的運営を阻害する要因もある程度響いていたことも見逃せない。

今後,いわゆる財政の硬直化を打開しその弾力的運営をはかるには,支出面において,まず何よりも制度・慣行面での非効率を是正し,その効率化を図ることが必要である。また強力な物価対策を講ずることによつて,政府支出の対象となる財貨サービスの価格上昇を抑制することが必要と思われる。

また,これと関連して収入面では前述のような租税政策の弾力的運営を阻害してきた各種の要因を除去するとともに,今後は税制の弾力的運用や,租税負担のあり方について再検討することが必要であろう。まず第1に,租税政策を景気調整面で活用するには,年々の租税負担率を弾力的に考慮すべきであろうし,第2に,公債依存度の引下げを図りつつ,社会資本の充実,社会保障の拡充など国民福祉の向上を図るためには所得水準の上昇に応じて負担を高めていくことが必要となつてくる。

わが国の1人当たり国民所得がまだ世界第20位前後であるという現状から,低所得者層を中心にした減税はひきつづき必要であり,また,物価上昇による意図せざる増税の是正のための物価調整減税が必要なことは当然である。しかし,1人当たり所得水準を考慮しても租税負担率は国際的にみて必ずしも高くない。国民福祉を高める要求は大きくなつているが,高い福祉水準にはそれに見合う高い負担が必要なことを忘れてはならない。

それにしても,支出の面でいつそうの効率化を図る必要があることはいうまでもない。それなくしては,税負担について国民の納得をうることは困難である。そのための具体策として,PPBS(Planning-Programming Budgeting System)の採用が本格的に検討されはじめた。これは,新らしい方式によつて,①施策の目的を明確に設定し,②それを達成するための代替的な方法を乞括的に並べ,③おのおのを実施する場合の費用と効果を分析,比較し,最適のものを選び出すことを目的としている。この手法によれば,たとえば東京と福岡の間の効率的な輸送手段としては,高速道路,新幹線,空輸のいずれがよいか,あるいは交通安全対策としては交通安全施設の整備か交通教育の充実のいずれが長期的にみて効果的であるかも比較計算されうることになる。

このような長期的観点に立つた客観的な方法で支出の優先順位が決められるようになれば予算編成がいつそう合理的なものとなり,ひいては,財政硬直化をとり除く大きな力となるだろう。