昭和39年

年次経済報告

開放体制下の日本経済

経済企画庁


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昭和38年度の日本経済

中小企業

38年度の概況

 約1年にわたる景気調整過程で不振を続けた中小企業は、37年10月の金融緩和をさかいに荷動きの活発化、需給の好転によってその景況は明るさを取り戻した。景気後退下で大きな影響をうけた金属、機械などの下請け中小製造業も38年度に入ると親企業からの受注増加によって生産は回復した。金融緩和が中小企業へようやくおよんだ38年4~6月には中小企業の資金繰りは好転し、37年に沈滞化した設備投資意欲は再び高まった。

 景気回復が本格化するにつれて中小企業の生産、設備投資は月をおって活発化の方向をたどったが、38年12月の預金準備率の引き上げ、39年3月の公定歩合の引き上げなど一連の引締政策が実施されるにおよんで中小企業をとりまく環境は厳しさを加え、その影響は38年度末から39年度にかけて次第に浸透しはじめた。今回の引き締め後の中小企業は生産、売り上げなど比較的高い水準を保っているものの、売掛回収難、人件費、金利負担の増加と、他方における借り入れ難などから資金繰り難は次第に表面化しはじめ、また金属、機械などの下請け中小製造業では製品価格の軟化傾向がみえはじめた。

 前半における生産・売り上げの上昇、後半における引き締めの浸透という対照的な動きを示した38年度における中小企業の動向のなかから、いくつかの特徴点を挙げると、第1は景気回復期における生産・売り上げは大企業のそれを上回ったが、前回(33年)の引き締め緩和後の上昇率に比べるとその伸びは低くかったこと、第2は人件費、金利負担などの増加によって収益はそれほど増加を示さなかったこと、第3は沈滞的であった37年に比べて設備投資が再び活発化したこと、第4は資金繰りの緩和は比較的短期におわり、下期には再び資金繰り難が表面化したこと、第5は下期に不渡り手形や整理倒産が増加したことなどである。


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