昭和36年

年次経済報告

成長経済の課題

経済企画庁


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昭和35年度の日本経済

中小企業

35年度動向の特徴

 35年度における中小企業の企業活動は、前年度に引き続き全般的に活況を強めた。35年度動向の大きな特徴は、前年度にみられた機械工業を中心とする大中な生産上昇、活発な設備投資、若年層の労働力不足、という傾向が一層強まったほか、生活様式の合理化にマッチした消費財が、引き続いて伸びていることである。しかし、機械工業では生産上昇の支柱が、前年度のラジオ、テレビを中心とした電気機械から、資本財と自動車に移っていること、中規模企業の設備投資が本格的なものになりつつあることなど、前年度とくらべて質的な変化が現れている。一方、商業部門も消費景気に支えられて好調に推移した。

 このような好況過程で、弱小企業の中には、対米輸出の不振や、低賃金労働力不足による影響を受けて脱落とするものも現れるなど、階層分化も進んだ。以下に、このような35年度動向の特徴を、典型的に現している業種を例にとってみていこう。


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