昭和34年

年次経済報告

速やかな景気回復と今後の課題

経済企画庁


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各論

物価

むすび

 以上、景気後退から回復過程における物価動向を分析し、また景気循環を通じての相対価格の変化、及びその背景を検討してきた。そしてそれは、我が国の産業構造が軽工業中心から、重化学工業へと移行しつつあることの反映ともみられ、一方そうした産業構造の移行に即応しながら、海外諸国との比較においても、漸次競争力を増してきているのは好ましいことである。しかし、それはまだ十分に満足し得る状態とは言い難いから、今後も競争力の培養には一層の努力を必要とする。また、過去における我が国の物価動向をみると、諸外国に比べて変動の著しい性格がある。引締めにより1割の下落を示し、回復によって1割上昇するというのでは、せっかくの調整も無意義というほかない。もっとも、近年における技術革新投資や合理化投資の効果は、今後の国際競争力の培養にも大いに期待されるところであるし、また、それらの投資を通じて、供給力も一段と増加していることを考慮すると、過去にみられたような生産隘路から生ずる著しい上昇は、漸次是正される方向にあるであろう。しかし一方、経済成長の過程において、実力以上の拡大があらわれると、再び物価の異常高をもたらす懸念がある。それを避けるためには、財政、金融政策の調節や企業の経営態度の健全性に待つところが大きいけれども、ようやく国際競争力が培養されつつある今日において、物価の安定には特に努力が要請される。


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