昭和34年

年次経済報告

速やかな景気回復と今後の課題

経済企画庁


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総説

序言

 昭和32年5月金融引締政策の実施を契機として始まった今次の景気後退は、世界景気後退の中で未曽有の投資ブームの反動過程として起こっただけに、その調整は長引き、回復が遅れるのではないかと憂慮された。景気後退から回復までの過程は確かに戦後では最も長いものであった。しかし幸いなことには予想されたよりは早期に回復し、支払われた代償も比較的軽微に済んだ。これには世界景気、特にアメリカ景気の早期立直りの心理的影響、財政金融政策の効果、経済機構の変化など、幾多の要因が挙げられよう。またその中には輸入物価の低落といった思わぬ幸いのあることも見逃し得ない。しかし技術革新による産業構造の変革期にあることが、その基本的要因であるといってよい。それはまた30年以来の景気の一循環を通じて我が国経済の高い成長率を維持し、経済構造の近代化を進める原動力ともなったのである。しかしそのかげにはいくつかの分野で近代化の立ち遅れが目立ち、あるいは経済変動が大幅に過ぎるといった日本経済の体質は変っていない。経済構造の近代化をいかに進めるべきかを考えるとき、なお残された課題は多い。

 我々は本報告において、まず33年度経済を回顧して技術革新下の景気回復のあとを明らかにしたい。ついで経済構造近代化を一層おし進め、経済の均衡ある発展を達成するために、解決すべきどのような課題が残っているかを検討しよう。このことによって日本経済の長期的構造政策の確立に資することを期待するものである。


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