昭和33年

年次経済報告

―景気循環の復活―

経済企画庁


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―景気循環の復活―

経済企画庁
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昭和33年版


経済白書の発表に当って

 客年6月の緊急総合対策実施以来、わが国の経済状勢は大きく変り、国際収支が黒字に転じた反面、基調もいわば供給過剰に変って、景気は低迷をつづけております。

 戦後の日本経済は、世界経済の発展とその軌を一にして、復興建設需要とそれにつづく盛んな技術革新投資によって、まれにみる高い成長を持続してまいりました。しかしながら、経済白書が指摘するように、いまや、米国をはじめとする世界の経済は、景気循環の流れに従ったブームのあとの景気後退の波動の中にあり、この景気沈滞局面はかなり長びくことも予想され、日本経済もその圏外に立つことは困難であります。

 このような内外の経済動向に照らし、今日、われわれに与えられた課題は、まず、わが国経済の再拡大の契機をいかに誤りなくつかむかということであります。そのためには、世界貿易の拡大均衡を目指す国際的協調を理念として、輸出の積極的伸長をはかることがまず第一でありますが、これとともに、情勢に応じ、国際収支の許す範囲内で所要の施策を講じて経済の成長を進めてゆくことも考慮すべきであると考えます。

 内外経済の環境がきびしい秋ではありますが、わが国経済には、まだ遅れた面が少なくありません。従って、産業の質的改善と企業の生産性の向上をはかることは、こんごますます高度化する海外需要に応えて、わが国の国際競争力を強化するゆえんであるとともに、また、経済の成長力を培養する方途でもあります。

 よって、この際、過去の教訓を十二分に活かしつつ、これらの目的に副うべく国民各位のご協力をえて政府としても不断の努力を重ねたい所存であります。

昭和33年7月25日 三木 武夫 ( 経済企画庁長官 )


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