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海外経済報告

(平成13年10月四半期報)


世界経済の概観

 世界経済をみると、成長に減速がみられるなか、米国同時多発テロ事件により先行きは不透明になっている。アメリカの景気は弱い状態となっており、先行きは不透明である。ヨーロッパでは、景気の拡大テンポは鈍化している。アジアでは、景気は減速している。

主要経済指標

トピック:米国-同時多発テロ事件の影響-


1 南北アメリカ  アメリカ、景気は弱い状態となっており、先行きは不透明である

アメリカ

 アメリカの景気は弱い状態となっており、先行きは不透明である。
 個人消費は、所得税減税による可処分所得の伸びにくらべ低い伸びにとどまっており、消費者信頼感は大幅に低下している。一方、住宅投資は頭打ちとなっており、企業収益の悪化から設備投資は大幅に減少していることから、内需の伸びは鈍化している。在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し、稼働率が低下している。雇用は減少しており、失業率は上昇している。
 金融面の動向をみると、9月の長期金利(10年物国債)は、同時多発テロ事件直後に大きく低下したが、その後上昇し月末には再び低下した。9月の株価(ダウ平均)は、上昇して始まったが、企業業績の先行き不透明感に加え同時多発テロ事件の影響で大幅に下落した。

-最近のトピック-
 9月11日に発生した同時多発テロ事件への対応として、連邦準備制度理事会(FRB)は、9月17日緊急に連邦公開市場委員会 (FOMC)を開催し、0.50%ポイントの利下げを実施した。さらに、10月2日のFOMCでも0.50%ポイントの利下げを実施し、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準と公定歩合をそれぞれ2.50%、2.00%とした。また、議会は9月14日に400億ドルの緊急歳出法案を可決、9月21日には150億ドルの航空業界支援法案を可決するなど、財政・金融両面からの対応が行われている。

カナダ

 カナダでは、外需が大きく減少し、個人消費や住宅投資なども伸びが低下してきており、景気の拡大テンポは鈍化している。物価上昇率は、やや低下している。失業率は上昇しているが、依然低水準である。

-最近のトピック-
 カナダ中央銀行は、2001年7月17日と8月28日にそれぞれ0.25%ポイント、9月17日には米国と協調して0.50%ポイント、オーバーナイト金利の誘導目標水準を引き下げ3.50%とした。

メキシコ

 メキシコでは、輸出の減少などから景気は減速している。物価上昇率は低下している。

-最近のトピック-
 フォックス・メキシコ大統領は9月5日に訪米し、ブッシュ大統領と移民問題等について会談を行った。

ブラジル

 ブラジルでは、電力危機の影響などによる生産の減少等により、景気の拡大テンポは鈍化している。物価上昇率は低下している。

-最近のトピック-
IMFは9月14日、ブラジルに対する総額155億8000万ドルのスタンドバイ融資を正式承認した。


2 ヨーロッパ  景気の拡大テンポは鈍化している

(1)西ヨーロッパ

1)ユーロ圏

 ユーロ圏では、景気は減速している。個人消費は引き続き底堅く推移しているものの、政府消費の伸びが鈍化し、固定投資はマイナスに転じた。生産は減少しており、世界経済減速の影響で輸出が大幅に減少し純輸出の寄与はマイナスとなった。消費者物価上昇率は、食料品価格の上昇等からやや高い水準にあるが、低下の兆しもみられる。

-最近のトピック-
 ・欧州中央銀行(ECB)は、8月30日に政策金利(短期オペの最低入札金利)を0.25%ポイント引き下げたのに続き、9月17日には米国連邦準備制度理事会(FRB)と協調して0.50%ポイントの利下げを実施し、政策金利を3.75%とした。
 ・米国テロ事件の影響から欧州では、航空業界及びホテル業界など観光関連産業が打撃を受けるとみられている。こうした状況下、保険契約をめぐり保険会社と航空会社の折り合いがつかなくなったため、9月22日、EUの財務相理事会は、各国政府が保険料支払いの一部を肩代わりする方針を決定した。

ドイツ

 ドイツでは、景気は減速している。個人消費は増加しているもののその伸びがやや鈍化し、建設投資の低迷に加えて機械設備投資が大きく落込んだことから固定投資が大幅に減少した。輸出及び輸入の伸びはプラスに転じたものの純輸出の寄与はマイナスとなっている。生産は減少しており、製造業の景況感悪化が続いている。消費者物価上昇率は食料品価格の上昇等からやや高い水準にあるものの、低下がみられる。失業率は横ばいで推移している。

-最近のトピック-
 ドイツでは、景気減速下でも緊縮財政を継続しており、米国同時多発テロ事件後も減税などの景気刺激策については慎重な姿勢をとっている。テロ事件を受けて、来年度からテロ対策予算約30億マルクを計上することとしているが、これはたばこや保険(除生保)への増税で賄うとの方針を示している。

フランス

 フランスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。個人消費は引き続き経済を牽引しているものの、輸出と固定投資は減少した。生産は横ばいで推移している。物価は、食料品価格の上昇等から消費者物価上昇率がやや高い水準で推移しているが、低下の兆しもみられる。失業率はやや上昇している。

-最近のトピック-
 フランスでは、9月18日に2002年度予算法案を閣議決定した。2002年経済の前提は、GDP成長率前年比2.5%、消費者物価上昇率同1.6%、等となっており、財政赤字はGDP比で1.4%と、2001年度予算当初案の1.3%より拡大する見通し。

イタリア

 イタリアでは、景気は減速している。個人消費は増加したものの、固定投資と輸出が落込みをみせた。生産はこのところ減少している。物価は、食料品価格の上昇などから消費者物価上昇率がやや高い水準にある。

-最近のトピック-
 ベルルスコーニ首相は9月17日、テロ対策・国防強化のため25兆~30兆リラの特別予算を計上することを明らかにした。財源としては、歳出削減や政府保有資産処分等によって賄うこととし、増税等の新たな国民負担は強いない、と表明している。

2)イギリス

 イギリスでは、景気の拡大テンポは鈍化している。個人消費、固定投資等が好調であった一方、在庫投資は減少した。鉱工業生産は、減少している。失業率は、低水準で推移している。物価は、食料品、エネルギー価格の上昇等から消費者物価上昇率がやや高まっている。

-最近のトピック-
 イングランド銀行は8月2日に政策金利を0.25%ポイント引下げたのに続き、9月18日、米国同時多発テロ事件直後のFRBとECBの協調利下げなどを受けて0.25%ポイントの利下げを行った。さらに10月4日にもテロ事件の経済に与える影響等を考慮して0.25%ポイント引下げ、政策金利を4.50%とした。

(2)ロシア

 ロシアでは、個人消費の増加等により景気は拡大している。生産は増加している。失業率は低下している。

-最近のトピック-
 9月28日、ロシア下院は財政黒字を見込んだ2002年度予算案の第1読会を行い、これを可決した。


3 アジア  景気は減速している。

中国

 個人消費や固定資産投資が堅調に推移しているが、このところ輸出の伸びが鈍化していることから、景気の拡大テンポはやや鈍化している。

-最近のトピック-
 WTO中国作業部会では加盟議定書が採択され(9月)、11月に開催される閣僚会議で中国の加盟が正式に承認される見込み。

香港

 香港では、輸出の大幅な鈍化に加え、民間消費の伸びが緩やかになってきたことから景気は減速している。

-最近のトピック-
 香港特別行政区政府は8月31日、2001年の経済成長率見通しを3.0%から1.0%に再度下方修正した。

韓国

 韓国では、生産や輸出が減少するなど、景気は減速している。 経常収支は1年4か月ぶりに赤字となった。消費者物価上昇率は落ち着きを取り戻している。

-最近のトピック-
 ・中央銀行はコールレートの誘導目標水準を7、8月に0.25%ポイントずつ引き下げ、さらに米国同時多発テロ事件後の9月19日に0.5%ポイント引き下げ4.0%とした。
 ・政府は9月、テロ事件を受け、第二次補正予算の編成など財政支出の拡大に向け検討を開始するとともに、2001年の経済成長率見通しを前回の4~5%から2%台へとさらに下方修正した。

台湾

 台湾では、生産や輸出の減少が続いているなかで、消費の伸びも鈍化しており、景気は後退している。失業率は上昇傾向にある。

-最近のトピック-
 中央銀行は公定歩合を3.5%から、8月から10月にわたり毎月引き下げ、過去最低の2.5%とした。

シンガポール

 シンガポールでは、生産や輸出の減少が続いているなかで、消費の伸びも鈍化しており、景気は後退している。

-最近のトピック-
  政府は7月、2001年の経済成長率見通しを前回の3.5~5.5%から0.5~1.5%へと、大幅に下方修正した。

インドネシア

  インドネシアでは、景気回復のテンポは鈍化している。消費者物価上昇率は高まっている。輸出は減少している。

-最近のトピック-
 7月23日、インドネシア国民協議会はワヒド大統領を解任、副大統領のメガワティ氏が大統領に就任した。8月27日、政府はIMFと「経済財政政策に関する覚書」について合意し、凍結されていた4億ドルの融資が実施されることとなった。

タイ

 タイでは、民間消費が堅調なものの、輸出の減少とそれに伴う製造業部門の減速などを反映して、景気は減速している。

-最近のトピック-
 政府は9月17日、米国のテロが国内経済に与える影響等を考慮し、2001年の経済成長率見通しを前回の2.0~3.0%から1.5~2.0%へと更に下方修正した。

マレイシア

 マレイシアでは、輸出の低迷による製造業部門の落込みから総固定資本形成の伸びが鈍化し、民間消費の伸びも鈍化していることから、景気は減速している。

-最近のトピック-
 中央銀行は9月20日、政策金利である3ヶ月物市場介入金利を0.5%ポイント引き下げて5.0%とした。政府は9月25日、米国のテロが国内経済に与える影響を最小限に抑えるために、新たに43億リンギの経済対策を実施すると発表した。

フィリピン

 フィリピンでは、製造業生産の伸びが鈍化し、輸出が減少するなど、景気拡大のテンポは鈍化している。消費者物価上昇率は高まっていたが、このところやや低下の兆しがみられる。

-最近のトピック-
 ・政府は8月、7808億ペソ規模の2002年度予算案をまとめ、国会に提出した。同予算案では2002年度経済成長率を4.3~4.8%と見込んでいる。
 ・中央銀行は10月4日、政策金利である翌日物借入金利及び翌日物貸出金利を0.25%ポイントずつ引き下げ、それぞれ8.75%及び11.0%とすることを決定した。

インド

 インドでは、鉱工業生産や輸出の伸びが鈍化するなど景気の拡大テンポは鈍化している。

-最近のトピック-
 政府は8月に、2000年の対インド直接投資認可額は前年比30.6%増の3,704億ルピー(1,726件)となり、うち電気・電子・ソフトウェア分野の認可額は同約5倍増の1,252億ルピー(586件)になったと発表した。

オーストラリア

 オーストラリアでは、個人消費や民間住宅投資が堅調に伸びており、景気は回復してきている。失業率はほぼ横ばいで推移している。

-最近のトピック-
  準備銀行は2月、3月、4月の利下げに続いて9月5日、10月3日にキャッシュレートの誘導目標水準をそれぞれ0.25%ポイント引き下げ、4.5%とした。


4 国際金融・商品

国際金融

 7~9月期の米ドルは、米経済の先行き不透明感などから、9月初旬に一時増価する場面もみられたものの、減価基調で推移した。 9月11日の米国同時多発テロ事件後は大きく減価したが、月末には各国が通貨介入を実施したことなどから増価した。 対ユーロでは、欧州経済に対する先行き不安が根強い中、7月初に年初来最高値(0.8385ドル/ユーロ)を更新したが、その後は概ね減価基調で推移した。 対円では、日本株安やドル買い介入警戒感などから増価する場面がみられたものの、米国経済の先行き不透明感が根強く減価基調で推移した。

-最近のトピック-
 ・9月11日に発生した米国同時多発テロ事件を受け、主要中央銀行が相次いで利下げを行った。
 ・アメリカでは、連邦準備制度理事会(FRB)が8月21日のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.25%ポイントの利下げを実施したことに加え、9月17日にFOMC臨時会合を開催し0.50%ポイントの利下げを実施した。さらに、10月2日のFOMCでも0.50%ポイントの利下げを実施し、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準と公定歩合はそれぞれ2.50%、2.00%となった。
 ・ユーロ圏では、欧州中央銀行(ECB)が政策金利(短期オペの最低応札金利)を0.25%ポイント引き下げたことに加え、9月17日にFRBと協調して0.50%ポイントの利下げを実施し、政策金利は3.75%となった。

国際商品

 CRB商品先物指数(1967=100)は、景気減速による需要減退などから、下落基調で推移していたが、米国同時多発テロ事件の直後に上昇した後急落し、一時的に190ポイントを割り込んだ。
原油価格は、OPECが7月に緊急減産を決めたことなどから反発し、上昇基調で推移していたが、テロ事件が発生すると、一時急騰したものの世界的な需要減退の懸念が高まったことから急落した。

-最近のトピック-
 ・OPECは9月27日の定例総会で、テロ事件の影響を考慮し、現行の生産枠を据え置いた。