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海外経済報告

(平成13年7月四半期報)


世界経済の概観

 世界経済をみると、全体として成長に減速がみられる。アメリカでは、景気は弱い状態となっている。先行きに対する懸念材料としては、企業収益の悪化、稼働率の低下などがある。ヨーロッパでは、景気は拡大を続けているものの、そのテンポに鈍化の兆しがみられる。アジアでは、景気は減速している。失業率は総じて低下している。物価をみると、消費者物価上昇率はやや高まっている。

主要経済指標

トピック:ユーロ圏経済-相次ぐ見通し下方修正-



1 南北アメリカ  景気は弱い状態となっている

アメリカ

 アメリカの景気は、弱い状態となっている。先行きに対する懸念材料としては、企業収益の悪化、稼働率の低下などがある。
 アメリカでは、個人消費や住宅投資などに底堅い動きがみられ、消費者心理に下げ止まりもみられる。一方で、企業収益の悪化から設備投資が抑制されているなど、内需は緩やかな伸びにとどまっている。在庫調整が進むなかで、生産活動が停滞し、稼働率が低下している。雇用は製造業等を中心に減少しており、失業率は上昇傾向にある。
 金融面の動向をみると、6月の長期金利(10年物国債)は、低下基調で推移した後月末には上昇した。株価(ダウ平均)は、上昇して始まったが、その後は企業業績の先行き不透明感が根強く下落基調で推移した。

-最近のトピック-
 連邦準備制度理事会(FRB)は、6月26・27日に行われた連邦公開市場委員会(FOMC)においてフェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を0.25%ポイント引き下げ3.75%とし、公定歩合も0.25%ポイント引き下げ3.25%とした。今後の物価および景気動向に対するリスク評価は引き続き「景気低迷警戒」(2000年12月19日以来継続)とした。

カナダ

 カナダでは、設備投資が減少しているものの、個人消費を中心に内需が堅調に推移しており、景気の拡大テンポはやや持ち直している。物価は、やや上昇している。失業率はやや上昇しているが、依然低水準である。

-最近のトピック-
 カナダ中央銀行は、2001年4月17日に0.25%ポイント、5月29日に0.25%ポイント公定歩合を引き下げた(現行の公定歩合は4.75%)。

メキシコ

 メキシコでは、景気の拡大テンポは鈍化している。物価上昇率は低下している。

-最近のトピック-
 6月5日に来日したフォックス・メキシコ大統領は、小泉首相と会談し、自由貿易協定も視野に入れた経済関係強化のための共同研究会を設置することで合意した。

ブラジル

 ブラジルでは、景気は拡大している。物価上昇率はやや高まっている。

-最近のトピック-
 ブラジル中央銀行は6月20日、アルゼンチン通貨切り下げ懸念等からレアル安となりインフレ懸念が高まっていることから、基準金利(SELIC)の誘導目標値を1.5%ポイント引き上げ18.25%とした。


2 ヨーロッパ  景気は拡大を続けているものの、そのテンポに鈍化の兆しがみられる

(1)西ヨーロッパ

1)ユーロ圏

 ユーロ圏では、景気は拡大を続けているものの、そのテンポに鈍化の兆しがみられる。
 2001年1~3月期には、個人消費の伸びがやや回復した一方、固定投資、在庫投資はマイナスに転じた。ユーロ安を背景として増加を続けていた輸出も、世界経済の減速の影響により大幅に伸びが鈍化した。
 物価は、食料品価格やエネルギー価格の上昇等から、消費者物価上昇率が高い水準で推移している。

-最近のトピック-
・ 6月14日、ECBが経済見通しを発表した。2001年の実質経済見通しを2.2~2.8%とし、前回(2000年12月)の予測(2.6~3.6%)から下方修正した。
・ 6月8日、アイルランドで国民投票が行われ、EU拡大に向けた機構改革を柱とするニース条約の批准が拒否された。同月15~16日に開催されたEU首脳会議では、国民投票のやり直しなどアイルランド政府の取組みに対する加盟国の支援が確認された。

ドイツ

 ドイツでは、景気の拡大テンポは鈍化している。2001年1~3月期は、個人消費の伸びが鈍化し、建設投資の低迷から固定投資が大幅に減少した。世界経済の減速を背景に輸出が減少したが、輸入の減少がそれを上回っており、純輸出の寄与はプラスとなっている。生産は減少しており、製造業の景況感は悪化し続けている。物価は、食料品、エネルギー価格の上昇などから消費者物価上昇率が高水準で推移している。失業率は横ばいで推移しているが、失業者数は増加している。

-最近のトピック-
 ドイツ政府は、5月17日、2001年から2005年までの税収見積もりを発表し、これを踏まえて6月13日には2002年度予算案を閣議で承認した。2001年度の税収見込みは前回見積もり時点(2000年11月)から84億マルク下方修正されたが、アイヒェル蔵相は、「2006年までに財政収支を均衡させるという目標達成に向かって順調に進んでいる」とコメントしている。

フランス

 フランスでは、景気は安定した拡大を続けているものの、企業の先行き見通しは悪化している。個人消費は増加したものの、輸出と企業固定投資の伸びが急激な落ち込みをみせた。生産はこのところ減少している。物価は、食料品、エネルギー価格の上昇等から消費者物価上昇率が足元やや高まっている。失業率は横ばいで推移している。

-最近のトピック-
 フランスでは、失業対策として、下院が6月13日に労使関係近代化法案を可決した。同法案には、企業が経営難を理由に解雇する際の要件を厳格化する措置が盛り込まれた。

イタリア

 イタリアでは、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は、エネルギー価格の上昇などから消費者物価上昇率がやや高まっている。

-最近のトピック-
 国会の上下院両院総選挙が5月13日に実施され、ベルルスコーニ元首相率いる右派連合「自由の家」が上下両院で安定過半数議席を獲得した。ベルルスコーニ氏は95年以来、約6年ぶりに政権に復帰した。

2)イギリス

 イギリスでは、景気は緩やかに拡大している。1~3月期には、個人消費や政府消費が好調であった一方、固定投資は大幅に減少した。鉱工業生産は、緩やかに減少している。失業率は、低水準で推移している。物価は、食料品、エネルギー価格の上昇等から消費者物価上昇率が足元やや高まっている。

-最近のトピック-
 ・ブレア首相率いる労働党は6月7日に行われた総選挙で、大差をつけて勝利を収めた。敗れた保守党ヘイグ党首は、責任をとり党首を退く意向を示している。
 ・6月11日のロンドン外為市場では1ポンド=1.37ドルを割込み、16年ぶりの安値となった。保守党の敗退により早期ユーロ導入反対の声が弱まるとの観測が広がったためと見られている。

(2)ロシア

 ロシアでは、個人消費の増加等により景気は拡大している。物価はこのところ高まっている。

-最近のトピック-
 ロシア政府は、6月7日の閣議において2002~2004年の経済見通し及び2002年度政府予算の主要経済指標について承認した。2002~2004年の経済見通しは慎重シナリオ(GDP成長率年平均3.5%)と楽観シナリオ(同4.2%)の2通りから成る。


3 アジア  景気は減速している。

中国

 中国では、輸出の伸びに鈍化がみられるものの、個人消費や固定資産投資が堅調に推移しており、景気の拡大テンポはやや高まっている。

-最近のトピック-
 B株(外貨建株式)の取引を外貨口座を保有する国内投資家に順次開放する措置が取られたことにより、6月初にかけてB株指数が大幅に上昇した。

香港

 香港では、輸出の大幅な鈍化に加え、民間消費の伸びが緩やかになってきたことから景気は減速している。

-最近のトピック-
 香港特別行政区政府は6月、2001年の経済成長率見通しを4%から3%に下方修正した。

韓国

 韓国では、生産や個人消費の伸びの鈍化に加えて、輸出の伸びが鈍化したことから、景気は減速している。

-最近のトピック-
 政府は6月、2001年の経済成長率見通しを当初の5-6%から4-5%へ下方修正した。

台湾

 台湾では、投資や民間消費の鈍化に加え、輸出の伸びが急速に鈍化しており、景気は減速している。失業率は上昇傾向にある。

-最近のトピック-
 中央銀行は公定歩合を4.125%から、4月から6月にわたり毎月引下げ、3.5%とした。

シンガポール

 シンガポールでは、生産や輸出が減少しており、景気は減速している。

-最近のトピック-
 政府は4月、2001年の実質GDP成長率予測を従来の5~7%から3.5~5.5%へと、大幅に下方修正した。

インドネシア

 インドネシアでは、景気は回復しているものの、そのテンポに鈍化の兆しがみられる。エネルギー価格の上昇などにより、2000年後半以降、消費者物価上昇率に高まりがみられる。

-最近のトピック-
 政府は、6月16日、石油等各種燃料価格の平均30%の値上げを実施した。

タイ

 タイでは、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は安定している。

-最近のトピック-
 政府は6月、2001年の成長率見通しを前回の2.5~4.0%から2.0~3.0%へと更に下方修正した。

マレイシア

 マレイシアでは、民間消費と総固定資本形成の伸びの鈍化から、景気の拡大テンポは鈍化している。

-最近のトピック-
 政府は4月3日、今後10年間で所得倍増を目指す「第3次10か年計画」を公表した。

フィリピン

 フィリピンでは、固定資本投資が弱含んだことから、景気の拡大テンポは鈍化している。エネルギー価格の上昇などにより、消費者物価上昇率に高まりがみられる。

-最近のトピック-
 政府は6月、2001年の成長率見通しを当初の3.8~4.3%から3.3~3.8%へと下方修正した。

インド

 インドでは、鉱工業生産の伸びが鈍化するなど景気の拡大テンポが鈍化している。

-最近のトピック-
政府は5月に、医薬品、防衛機器、銀行、ホテル・観光業などの分野で、外資の出資比率規制を緩和した。

オーストラリア

 オーストラリアでは、消費が好調に伸びていることに加えて、財貨・サービス税(GST)の導入に伴う住宅投資の反動減もおさまりつつあり、景気は回復してきている。失業率は依然として上昇している。

-最近のトピック-
 政府は5月22日に経済・財政見通しを発表した。2001年度(2000年7月~2001年6月)の実績見込みは2%、2002年度の見通しは3.25%としている。


4 国際金融・商品

国際金融

 4~6月期の米ドルは、4月には減価したが、5~6月は増加基調で推移した。対ユーロでは、欧州経済に対する先行き懸念や欧州中央銀行(ECB)の政策に対する不信感などから4~5月は増加基調で推移し、5月末には年初来最高値(0.8444ドル/ユーロ)を記録した。対円では、3月末に急激な円安が進んだ反動や小泉政権への期待感などから4月は減価基調で推移したが、5~6月は5月末に一時減価したものの、日本経済の先行き懸念が根強く増加基調で推移した。6月29日現在、対ユーロでは5月末比0.6%減価、対円では、同4.5%増価している。アジアの通貨では、対ドルで韓国ウォンが増価基調で推移する一方で、台湾ドルは1~3月期のGDPが大幅に悪化したことなどから5月末ごろから大きく減価している。

-最近のトピック-
・アメリカでは、年初来6月末までに合計6回、下げ幅計2.75%ポイントの利下げが実施され、連邦準備制度理事会(FRB)はこれまでの積極的利下げの効果を見極める局面に移行した。
・ユーロ圏では、5月10日に欧州中央銀行(ECB)が市場の予想に反して政策金利(短期オペの最低応札金利)を0.25%ポイント引き下げ、4.50%とした。

国際商品

 CRB商品先物指数(1967=100)は、5月には一時218ポイント超まで上昇したが、その後は下落基調で推移した。
 原油価格は、夏場の需要期を控えたアメリカのガソリン価格の高騰につられる形で上昇したが、6月後半以降はガソリンの供給不足懸念が後退したことから下落基調で推移している。

-最近のトピック-
・OPECは6月と7月の臨時総会で、いずれも現行の生産枠を据え置いた。