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海外経済報告

(平成13年1月四半期報)


世界経済の概観

我が国をとりまく世界経済情勢をみると、総じてみれば良好な状態が続いているが、成長に減速がみられる。アメリカでは、景気は拡大テンポが低下しており、さらなる減速は景気低迷を招く懸念があるため、今後の動向を注視する必要がある。ヨーロッパでは景気は安定した拡大を続けており、アジアでは総じて拡大テンポに鈍化がみられる。失業率は総じて低下している。物価をみると、エネルギー価格の上昇から、消費者物価上昇率はやや高まっている。

・主要経済指標

・トピック:成長の減速が見込まれる世界経済


1 南北アメリカ  アメリカ、利下げ

アメリカ

 アメリカでは、景気は拡大テンポが低下してきている。
 金融市場の引き締まりなどから、国内需要は減速している。個人消費は増加しているが、うち耐久財消費は減少しており、また消費者信頼感にも低下がみられる。民間設備投資は増加している。住宅投資は減少している。需要の減速が企業活動にも波及し、鉱工業生産(総合)はこのところ減少している。雇用は拡大しており、失業率は低水準で推移し労働市場のひっ迫が続いている。物価は総じて安定している。経常収支は、原油輸入額の増加もあり貿易収支赤字が拡大したことから、赤字額は過去最高を更新している。
 金融面の動向をみると、12月の長期金利(10年物国債)は、低下基調で推移した。株価は、金融緩和に対する期待が高まったことなどから上昇する場面もあったが、企業業績に対する先行き不安が根強く、ハイテク関連株を中心に軟調に推移した。

-最近のトピック-
1.連邦準備制度は、米国経済の減速を示す経済指標が続いたことから、12月19日に行われたFOMC(連邦公開市場委員会)では金利据置を決定したが、今後の物価・景気動向に対するリスク評価を「景気低迷警戒」に変更することを決めた。さらに、2001年1月3日のFOMC臨時会合で、フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準を0.50%引き下げ6.00%にすることを決定し、これに関連してFRB(連邦準備制度理事会)は、1月3、4日の二日間で公定歩合を0.50%引き下げ5.50%にすることを承認した。
2.2000年大統領選挙は歴史的な大接戦で混迷を続けたが、第43代アメリカ大統領が共和党ブッシュ候補に決定した。

カナダ

 カナダでは、個人消費や民間投資などの内需を中心として、景気は拡大している。物価は総じて安定しており、失業率も低い水準で推移している。

-最近のトピック-
 11月27日に実施されたカナダの総選挙(下院、301議席)では、クレティエン首相率いる与党・自由党が勝利し、クレティエン政権は3期目に入った。

メキシコ

 メキシコでは、民間消費と固定資本形成の増加により景気は拡大している。物価をみると、消費者物価上昇率は低下傾向にある。

-最近のトピック-
 12月1日に発足したフォックス新政権は、2001年の目標値として経済成長率を4.5%、消費者物価上昇率を6.5%と発表した。

ブラジル

 ブラジルでは、堅調な外需と消費の回復により景気は回復している。物価をみると、消費者物価上昇率は低下している。
-最近のトピック-

 ブラジル中央銀行は12月20日、基準金利(SELIC)の誘導目標値を16.50%から15.75%に引き下げた。


2 ヨーロッパ  景気は安定した拡大が続いている

(1)西ヨーロッパ

1)ユーロ圏
 ユーロ圏では、景気は安定した拡大が続いている。7~9月期には固定投資と在庫の増加によって内需が拡大した。個人消費の伸びはやや鈍化したが、原油価格の上昇等の影響とみられる。ユーロ安等を背景として輸出は増加し続けている。物価は、エネルギー価格の上昇から消費者物価上昇率がやや高まっている。

-最近のトピック-
・12月7日からEU首脳会議が開催され、EUの機構改革等を内容とするニース条約について合意がなされた。
・2001年1月1日からギリシャがユーロ圏に参加し、ユーロ圏は12か国に拡大した。
・ユーロ圏の実質GDP成長率について、欧州委員会は2000年3.5%、2001年3.2%、2002年3.0%と見通しており、欧州中央銀行は2000年3.2~3.6%、2001年2.6~3.6%、2002年2.5~3.5%と予測している。

ドイツ

 ドイツでは、景気は安定した拡大が続いている。機械設備等投資が好調に推移し内需の伸びを支えている。ユーロ安等を背景に、輸出は引続き増加している。製造業の景況感が悪化しており、生産は横ばいで推移している。物価は、エネルギー価格の上昇から消費者物価上昇率がやや高まっている。

-最近のトピック-
 ドイツ政府は欧州委員会に、2004年までに一般政府財政収支が均衡することを見込んだ安定計画を提出した。同計画では、2000年は次世代携帯電話に関する免許収入からGDP比1.5%の黒字となるとしている。

フランス

 フランスでは、景気は安定した拡大が続いている。個人消費の伸びが鈍化しているものの、固定投資の高い伸びが続いていることなどから、内需主導の景気拡大となっている。生産は増加している。物価はエネルギー価格の上昇から消費者物価上昇率がやや高まっている。

-最近のトピック-
 12月、フランス政府は2004年までの中期財政計画を決定した。同計画では、一般政府財政収支GDP比は2000年▲1.4%、2001年▲1.0%の後、2004年には0.2%の黒字に転じるとしている。

イタリア

 イタリアでは、景気は安定した拡大が続いている。個人消費、固定投資の伸びが鈍化したことに加え、在庫の調整が進んだため、内需はマイナスに寄与している。一方、輸出が大幅に増加したため、外需寄与度は大きくプラスとなっている。

-最近のトピック-
 10月は北部地域の洪水の影響もあり、鉱工業生産が減少した。

2)イギリス

 イギリスでは、個人消費が堅調に推移しており、景気は安定した拡大を続けている。鉱工業生産は、一部業種でメンテナンス作業等があり、当該部門の生産が減少したことから、このところ横ばいで推移している。また、雇用面をみると、失業率は約25年ぶりの低水準で推移している。イングランド銀行は1月の金融政策委員会で、11か月連続で政策金利の据置を決定した。

-最近のトピック-
 イギリス政府は、11月8日にプレ・バジェット報告を発表し、2001会計年度の経済見通しや財政政策の方針等を明らかにした。報告によると、政府は来年度の経済成長率を 2 1/4~ 2 3/4%と見込んでいる。

(2)ロシア

 ロシアでは、固定投資の大幅増及び個人消費の増加により、景気は拡大している。

-最近のトピック-
2001年度予算が成立し、ロシア建国以来初の均衡予算の成立となった。


3 アジア  景気は総じて拡大テンポに鈍化がみられる。

中国

 中国では、輸出や固定資産投資の伸びが鈍化したことなどから、景気の拡大テンポはやや鈍化している。物価は、やや高まっている。

-最近のトピック-
 消費者物価上昇率が、寒波による野菜価格の上昇等により97年10月以来約3年ぶりの高さとなった。

香港

 香港では、総固定資本投資が大幅に増加したことから、景気は拡大している。物価は、衣料・靴、住宅等を中心に引き続き下落している。

-最近のトピック-
  香港特別行政区政府は、2000年の実質GDP成長率見通しを8.5%から10%に上方修正した(11月)。

韓国

 韓国では、景気は拡大を続けてきたが、このところ生産の伸びが鈍化するなど、先行きに不透明感が広がっている。貿易 は、輸出入ともに伸びが鈍化している。

-最近のトピック-
 12月末、韓国政府は国内6銀行に対し公的資金を投入した。

台湾

 台湾では、景気拡大のテンポはやや鈍化している。民間投資の増加が続いているものの、民間消費の伸びが緩やかになってきている。

-最近のトピック-
 中央銀行は12月28日、公定歩合を0.125%引き下げ4.625%とすることを決定した。

シンガポール

 シンガポールでは、エレクトロニクスを中心とする生産増加に支えられ、景気は拡大している。

-最近のトピック-
  シンガポール政府は、2000年のGDP成長率見通しを9.0%程度から9.5%程度に上方修正した(11月)。2001年は5~7%の成長を見込んでいる。

インドネシア

 インドネシアでは、景気は回復している。エネルギー価格の上昇などにより、消費者物価上昇率に高まりがみられる。

-最近のトピック-
 政情が依然不安定であることなどを受け、為替レート(対ドルレート)はやや減価している。

タイ

 タイでは、景気の拡大テンポは鈍化している。物価は安定している。

-最近のトピック-
 7~9月期の実質GDP成長率の鈍化を受けて、2000年政府見通しが5%から4.5%に改訂された。

マレイシア

 マレイシアでは、景気は拡大している。輸出が牽引役となり、鉱工業生産は引き続き好調を維持している。

-最近のトピック-
 2001年予算の上程に伴い経済見通しが発表され、2000年実績見込みを7.5%に上方改訂するとともに、2001年については7.0%成長を見込んでいる。

フィリピン

 フィリピンでは、景気は拡大している。エネルギー価格の上昇などにより、消費者物価上昇率に高まりがみられる。

-最近のトピック-
 エストラーダ大統領の弾劾裁判を巡る騒動などもあり、為替(対ドル)レートは、このところ減価している。

インド

 インドでは、景気は拡大しているが、このところ鉱工業生産の伸びが鈍化している。卸売物価は石油製品の価格の引き上げなどから上昇率が高まっている。

-最近のトピック-
 インド政府は9月29日、石油製品(ガソリン、ディーゼル、LPG、灯油等)価格の引き上げを発表した。

オーストラリア

 オーストラリアでは、住宅の駆込み需要の反動もあって景気の拡大テンポは鈍化している。財貨・サービス税の影響により物価は高まっている。

-最近のトピック-
 政府は、11月に公表した年度央経済見通しで、2000年度(00年7~01年6月)のGDP成長率見通しを5月の3.75%から4.0%に上方修正した。


4 国際金融・商品

国際金融

 10~12月期の米ドルは、対ユーロでは、10月はユーロ圏の景気減速懸念が強まったことやユーロ買い介入警戒感が薄れたことなどから増価したが、その後は、米経済の減速傾向がより鮮明になったことや米株価が下落したことなどから減価基調で推移した。対円では、日本の景気回復への不信感や政局不安などから増価基調で推移した。12月31日現在、対ユーロでは9月末比6.5%減価、対円では、同5.8%増価している。なお、アジア通貨では、韓国・ウォンが11月に対ドルで大幅に減価した。
-最近のトピック-
 米ハイテク関連企業の業績下方修正が相次いだことなどから、世界の主要市場では株価がハイテク関連株を中心に下落傾向で推移している。

国際商品

 CRB商品先物指数(1967=100)は、概ね225ポイント前後のレンジ内で推移した。
 原油価格は、OPECの増産による需給緩和を主因に、12月に入り急落した。

-最近のトピック-
 原油価格が2000年4月以来ほぼ8か月ぶりに22ドル台まで下落したことから、OPECが減産について協議。2001年1月17日にOPEC臨時総会を開催。