海外経済報告(平成12年1月四半期報)

参考図表

概 観

1.主要国の経済動向をみると(図1、図2)、アメリカの景気は、先行きには不透明感もみられるものの、拡大を続けている。ヨーロッパの景気は改善している。アジアでは、景気は回復している。

アメリカでは、実質GDP(前期比年率)は、99年4~6月期1.9%増の後、7~9月期は5.7%増となり、個人消費や設備投資などを中心に景気は拡大を続けている。カナダでは景気は拡大している。中南米をみると、メキシコでは景気の拡大テンポはこのところ高まっており、ブラジルでは景気は低迷している。

ヨーロッパでは、ドイツの景気は改善している(7~9月期実質GDP前期比年率2.9%増)。フランスでは景気は拡大しており(同3.9%増)、イギリスでは景気は改善している(同3.1%増)。イタリアでは景気は改善してきている(同3.8%増)。中・東ヨーロッパをみると、ポーランド、ハンガリーでは景気の拡大テンポはこのところ高まっている。チェッコでは景気は底入れしたとみられる。ロシアでは景気は回復しつつある。

アジアでは、中国の景気拡大テンポは鈍化している。アジアNIEsでは、景気は回復しており、韓国では拡大している。アセアンをみると、景気は総じて回復している。

2.国際金融・商品の動向をみると、99年10~12月期の米ドル(実効相場)は、総じて横ばいで推移した(図3)。対円では減価したものの、対ユーロでは増価した。国際商品市況は、10月半ばに一時209ポイント台まで上昇したが、その後は204ポイント前後のレンジ内で上下した。原油価格(北海ブレント・スポット価格)は、10月は20~24ドルのレンジ内で上下したが、高水準の減産遵守率が続いたことなどから11月に入ると急上昇し、下旬には湾岸危機以来となる26ドル台を記録した。その後は乱高下する展開となり、12月末値は25.1ドルとなった。

図3

>図3イメージ イメージ

(備考)

本報告では、北米、西ヨーロッパ諸国、オーストラリアの指標の変化率は、特に断りのない限り四半期データは季節調整値前期比年率、月次データは同前月比である。また、中南米、中・東ヨーロッパ、ロシア、アジア諸国の指標は、前年同期(月)比である。

1 南北アメリカ アメリカ、株価の史上最高値更新が続く

アメリカ :先行きには不透明感もみられるものの、景気は拡大を続けている。雇用は拡大している。物価は総じて安定した動きとなっている。

アメリカでは、実質GDPは、99年4~6月期前期比年率1.9%増(前年同期比3.8%増)の後、7~9月期は同5.7%増(同4.3%増)となった。引続き内需が堅調に推移した(7~9月期内需寄与度6.4%)。外需寄与度のマイナス幅は前期から縮小した(同▲0.7%)。個人消費は、耐久財消費を中心に7~9月期前期比年率4.9%増となった後、10月は前月比年率5.5%増、11月は同5.2%増と増加している。小売売上は、12月前月比1.2%増となった。消費者信頼感指数は、12月は141.4と2か月連続の上昇となった。設備投資は、7~9月期前期比年率10.9%増と増加している。設備投資の先行的な指標である非軍需資本財受注(航空機・同部品を除く)は、10月前月比0.3%減、11月同1.1%減となった。住宅投資は、金利の上昇等を背景に7~9月期前期比年率3.8%減と減少に転じた。住宅着工件数は、10月前月比横ばいの後、11月は同2.3%減となった。在庫投資の7~9月期GDP成長率への寄与度は、1.1%とプラスに転じた。

鉱工業生産は、10月前月比1.0%増の後、11月は同0.4%増、12月は同0.4%増と増加している。また、設備稼働率は10月81.2%、11月81.2%、12月は81.3%と、このところ上昇傾向にある。

雇用は、非農業事業所雇用者数は10月前月差28.4万人増、11月同22.2万人増の後、12月は31.5万人増と拡大している。失業率は11月4.1%の後、12月も4.1%となった。民間非農業事業所の時間当たり賃金は、12月前年同月比3.7%増となった。物価は、消費者物価(総合)が12月前年同月比2.7%の上昇(消費者物価コアは同1.9%の上昇)、生産者物価(完成財総合)が12月同3.0%の上昇(生産者物価コアは同0.9%の上昇)と、総じて安定している。

経常収支赤字は、7~9月期899億ドル(GDP比▲3.9%)と前期から拡大した。この背景としては、財の貿易収支赤字が輸入増により拡大したことが挙げられる。10月の財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、前月から17.6億ドル増の320億ドルと過去最高水準になった。

金融面の動向をみると、12月の短期金利(TB3か月物)は、中旬は大きく上昇したものの下旬に入り大きく低下し、月初と月末を比較するとやや低下した。長期金利(30年物国債)は、月前半はやや低下したもののその後は大きく上昇し、月初と月末を比較すると上昇した。(TB3か月物利回り12月平均5.34%(11月平均5.22%)、30年物国債利回り12月平均6.35%(11月平均6.14%))。12月の株価(ダウ平均)は、上昇基調で推移した(NYダウ工業株30種平均の12月平均11,253.29ドル(11月平均比4.02%上昇))。マネーサプライ増加率(98年10~12月期対比年率)をみると、M2は12月6.8%となっている。

カナダ:景気は拡大している。

カナダでは、実質GDP(前期比年率)は、99年4~6月期3.1%増の後、7~9月期は4.7%増となり、景気は拡大している。7~9月期の成長率を内外需別にみると、内需寄与度の1.0%に対して外需寄与度は3.7%となった。個人消費は、7~9月期4.8%増と増加している。民間投資についてみると、4~6月期の大幅増の反動もあり、設備投資は、7~9月期1.7%増、住宅投資は、同2.5%増と伸びが鈍化している。在庫投資は、GDP成長率への寄与度は▲2.2%となっている。生産はほぼ横ばいとなり、9月前月比0.5%増の後、10月同0.2%減となった。失業率は低下しており、10月は7.2%、11月は6.9%となった。物価は安定しており、消費者物価上昇率は、10月前年同月比2.3%、11月同2.2%となっている。経常収支は4~6月期17.5億加ドルの赤字の後、7~9月期6.5億加ドル(GDP比0.3%)と、96年10~12月期以来の黒字となった。財の貿易収支黒字(国際収支ベース)は、99年に入ってから高水準で推移し、9月は25.0億加ドル、10月は26.7億加ドルとなった。金融面の動向をみると、カナダ銀行は99年11月17日、公定歩合を0.25%引き上げ、5.00%とした。

中南米:メキシコでは景気の拡大テンポはこのところ高まっている。物価上昇率は依然高水準ながら低下傾向にある。

ブラジルの景気は低迷している。物価上昇率はやや高まっている。

メキシコでは、実質GDP(前年同期比)は、99年4~6月期3.2%増の後、7~9月期は4.6%増となり、景気の拡大テンポはこのところ高まっている。需要項目別にみると、民間消費が前年同期比4.2%増、固定資本形成が4.2%増となっており、内需主導での景気回復となっている。鉱工業生産は4~6月期前年同期比4.4%増、7~9月期同4.2%増の後、10月は前年同月比2.5%増となった。

失業率は低水準で推移しており、7~9月期2.3%の後、10月2.2%となった。物価上昇率は依然高水準ながら低下傾向にあり、消費者物価上昇率は、7~9月期は前年同期比16.5%、10月は前年同月比14.9%、11月同13.9%となった。貿易収支赤字は、4~6月期9.1億ドル、7~9月期10.0億ドルとやや拡大している。経常収支赤字は、4~6月期は28.4億ドル(GDP比▲2.4%)であった。

金融面の動向をみると、ペソの対ドルレートは、10月中旬に減価する局面もあったものの、99年12月30日現在では9.505ペソ/ドルと、9月末比で1.6%の減価となった。一方、株価(IPC指数)は、10月以降上昇基調で推移しており、99年12月30日現在では9月末比で41.2%の上昇となった。

ブラジルでは、景気は低迷している。実質GDP(前年同期比)は、99年4~6月期0.2%減の後、99年7~9月期は0.3%減となった。鉱工業生産は7~9月期前年同期比1.4%減の後、10月は前年同月比2.8%増となった。

失業率は高水準で推移しており、7~9月は7.5%、10月は7.5%、11月は8.0%となった。消費者物価上昇率は、7~9月期は前年同期比5.1%上昇し、10月は前年同月比6.9%、11月は8.1%とやや高まっている。貿易収支は、7~9月期は1.6億ドルの赤字と、再び赤字に転じた。経常収支赤字は4~6月期69.9億ドルの後、7~9月期は45.9億ドルとなった。

金融面の動向をみると、レアルの対ドルレートは、10月下旬以降、ほぼ増価基調で推移し、99年12月30日現在1.826レアル/ドルと、9月末比で5.8%の増価となった。株価(BOVESPA指数)は、10月以降上昇基調で推移しており、99年12月30日現在では9月末比で53.9%の大幅な上昇となった。

なお、ブラジル政府とIMFは99年3月に実質GDP成長率の見通しを▲3.5%~▲4.0%としていたが、12月の協議でわずかなプラス成長に上方改訂した。

2 ヨーロッパ 景気は改善している

ヨーロッパの景気の現状をみると、ユーロ圏(EMU第3段階移行11か国)では、景気は改善している。実質GDPは、99年1~3月期前期比0.5%増、4~6月期同0.6%増の後、7~9月期同1.0%増となった。7~9月期には、個人消費と固定投資が大きく増加した。欧州委員会発表のコンフィデンスをみると、製造業、建設業、消費者のいずれも大幅に改善している。また、99年初からのユーロ安と世界経済の回復から輸出は大幅に増加した。失業率は緩やかに低下している。物価は安定している。イギリスでは、景気は改善している。

金融面の動向をみると、ユーロは11月下旬に急速に減価し、一時は1ユーロ=1ドルを割り込み、発足以降最安値を更新した。ユーロ圏の広義のマネーサプライ(M3)は、 11月前年同月比6.2%増となった(3か月移動平均では10月前年同月比6.0%増となり、ECBの参照値である同4 1/2%増を上回って推移している)。なお、イギリスでは、1月13日、政策金利(レポ金利)を0.25%ポイント引き上げ、5.75%とした。

中・東ヨーロッパでは、ポーランド、ハンガリーでは景気の拡大テンポはこのところ高まっている。チェッコでは景気は底入れしたとみられる。ロシアでは、景気は回復しつつある。

ドイツ:輸出の大幅な増加に加え、個人消費や固定投資の伸びに支えられ、景気は改善している。

ドイツでは、実質GDPは、99年1~3月期前期比年率2.5%増、4~6月期同0.5%増の後、7~9月期には輸出の大幅増とともに個人消費や固定投資の伸びによって、同2.9%増となり、景気は改善している。

個人消費は、4~6月期前期比年率1.4%減の後、7~9月期同2.7%増と増加に転じた。小売売上高でみると、7~9月期前期比0.7%増の後、10月前月比3.5%増、11月同1.0%減となった。消費者コンフィデンス(欧州委員会発表)は、12月にはやや改善した。

固定投資は、機械設備投資の大幅な増加(7~9月期前期比年率4.3%増)に支えられ、4~6月期前期比年率4.3%減の後、7~9月期には同3.4%増と増加した。回復の遅れが目立っている建設投資は、4~6月期同5.1%減の後、7~9月期同2.8%増とやや増加したものの、新規建設受注数量をみると、7~9月期前期比4.1%減、10月前月比2.4%増、新規住宅受注数量は7~9月期前期比0.2%増の後、10月前月比7.9%減となった。建設業コンフィデンスは12月にはやや悪化した。

鉱工業生産は、7~9月期前期比1.5%増の後、10月前月比0.1%増、11月同0.5%減とほぼ横ばいで推移している。製造業新規受注は、7~9月前期比4.9%増、11月前月比1.2%増と増加している。また、製造業景況感(ifo、旧西独地域)は5月以降、改善を続けている。

失業率は、高水準ながらもこのところやや低下している(12月10.2%)。物価は、消費者物価上昇率が12月前年同月比1.2%、工業品生産者価格上昇率が11月同0.7%と安定している。

経常収支は7~9月期35億ユーロの赤字(名目GDP比▲0.7%(経済企画庁算出))となった。輸出は7~9月期前期比4.2%増、11月前月比8.4%増、輸入は7~9月期前期比3.9%増、11月前月比6.8%増となり、貿易収支黒字は7~9月期164億ユーロ、11月63億ユーロとなった。

フランス:景気は拡大している。輸出の増加により、外需が大きく成長に寄与している。個人消費、設備投資の増加傾向が続いており、内需は拡大している。

フランスでは、実質GDPは、99年4~6月期前期比年率3.0%増の後、7~9月期同3.9%増となった。個人消費、設備投資を中心とした内需の拡大が続いており、輸出も増加が続いていることなどから、景気は拡大している。個人消費は、雇用情勢の改善が消費者信頼感の向上につながっていることなどから、増加している(実質個人消費は4~6月期前期比年率2.3%増、7~9月期同3.0%増)。設備投資は、引続き増加している (実質法人固定投資は99年4~6月期前期比年率6.2%増、7~9月期は同9.0%増)。輸出が2四半期連続で増加しており、7~9月期には外需の寄与度が年率2.6%となった。

鉱工業生産は、7~9月期前期比2.1%増、10月前月比0.8%増と増加している。INSEE(国立統計経済研究所)が12月に行った経営者アンケート調査によると、今後生産は改善すると見ている経営者が増加している。

失業率は、高水準ながらもやや低下しており、11月10.8%となった。物価は、消費者物価上昇率が、12月前年同月比1.2%、工業品生産者価格上昇率が、11月同0.8%と安定している。

経常収支は7~9月期745億フランの黒字(名目GDP比3.3%)、貿易収支は7~9月期441億フラン、10月151億フランの黒字となった。輸出は9月前月比0.4%増、10月同1.2%増、輸入は9月同4.2%減、10月同1.5%増となった。

イギリス:景気は改善している。個人消費は好調に推移しており、また、海外経済の回復に伴い輸出は急増した。

イギリスでは、実質GDPは、4~6月期前期比年率3.0%増となった後、7~9月期同3.1%増となった。個人消費の増加や海外経済の改善に伴う輸出の拡大などが成長に結びついており、2四半期連続で、内需、外需ともにプラスに寄与している。需要項目別にみると、個人消費は、実質個人消費が7~9月期前期比年率2.5%増となり、小売売上数量は、10月前期比0.8%増、11月同0.3%増と堅調に推移している。設備投資は、民間非住宅投資が、7~9月期前期比年率3.8%減となった。住宅投資は、7~9月期同0.2%増となった。輸出は、7~9月期前期比年率26.0%増となった。

鉱工業生産は増加している。総合指数は、7~9月期前期比1.2%増、10月0.2%増となった。製造業指数は、7~9月期前期比1.2%増、10月0.1%増となった。失業率は、10月4.2%、11月4.1%と約20年ぶりの低水準で推移している。物価は、安定している。小売物価上昇率は、10月前年同月比1.2%、11月同1.4%となり、また、イングランド銀行がターゲット指標にしている住宅金利支払を除く小売物価上昇率(RPIX)は、10月同2.2%、11月同2.2%となった。

経常収支は、4~6月期29.0億ポンドの赤字(名目GDP比▲1.3%)の後、7~9月期28.0億ポンドの赤字(同▲1.3%)とほぼ横ばいで推移した。貿易収支は、9月16.5億ポンドの赤字の後、10月22.6億ポンドの赤字となった。

金融面の動向をみると、ポンド相場は、12月には、対ドルではやや増加し、対ユーロ では横ばいとなった。金利は、短期金利(TB3か月利回り)は横ばい、長期金利(10年国債利回り)は月末にかけて上昇傾向にある。マネーサプライ(M4)は、11月には前年同月比3.2%増となっている。なお、イングランド銀行は1月13日、政策金利を0.25%ポイント引き上げ、年5.75%としている。

イタリア:景気は改善してきている。輸出の拡大により、外需が大きく成長に寄与している。失業率は高水準ながらもやや低下している。

イタリアでは、実質GDPは、99年4~6月期前期比年率1.5%増の後、7~9月期は同3.8%増となり、景気は改善してきている。

個人消費は、実質個人消費が4~6月期前期比年率1.3%増、7~9月期同1.2%増となった。固定投資は、実質固定投資が4~6期前期比年率2.6%増、7~9月期同6.1%増となったものの、在庫の調整が進んだことにより内需はマイナスに寄与している。輸出が大幅に増加し、4~6月期前期比年率6.7%増、7~9月期同15.9%増となり、外需の寄与度は、年率4.7%となった。

鉱工業生産は、7~9月期前期比1.7%増(前年同期比1.9%減)の後、10月は前月比0.4%増(前年同月比1.4%減)となった。

失業率は、高水準ながらもやや低下しており、4月11.7%、7月11.1%、10月11.1%となった。物価は、生計費上昇率が11月前年同月比2.0%、工業品生産者価格上昇率が11月同2.2%と総じて安定している。

経常収支は7~9月期62億ユーロの黒字(名目GDP比2.3%)、10月19億ユーロの黒字となった。輸出は10月前年同月比7.7%増、輸入は同15.6%増となり貿易収支は7~9月期10兆2900億リラ、10月2兆8100億リラの黒字となった。

中・東ヨーロッパ:ポーランド、ハンガリーでは景気の拡大テンポはこのところ高まっている。チェッコでは景気は底入れしたとみられる。

ポーランドでは、実質GDPが4~6月期前年同期比3.0%増、7~9月期同4.9%増となり、景気の拡大テンポはこのところ高まっている。鉱工業生産は、7~9月期前年同期比7.4%増、10月前年同月比9.2%増、11月同15.9%増と増加している。失業率は、7~9月期11.8%、10月12.2%、11月12.5%となっている。物価は、原油価格の上昇を主因に、消費者物価でみると7~9月期前年同期比7.2%、10~12月期同9.2%と、上昇率はやや高まっている。経常収支赤字は、4~6月期27.2億ドル、7~9月期29.9億ドルとなった。

ハンガリーでは、実質GDPが、4~6月期前年同期比3.8%増、7~9月期同4.4%増となり、景気の拡大テンポはこのところ高まっている。鉱工業生産は、7~9月期前年同期比10.0%増、10月前年同月比15.3%増、11月同18.8%増と増加している。失業率は、7~9月期9.4%、10~12月期9.3%となっている。物価は、消費者物価上昇率で7~9月期前年同期比10.6%、10~12月期同10.8%となっている。経常収支は、4~6月期6.2億ドル、7~9月期0.7億ドルの赤字となった。

チェッコでは、実質GDPが、4~6月期前年同期比0.4%増、7~9月期同0.8%増と景気は底入れしたとみられる。鉱工業生産は、7~9月期前年同期比2.3%減、10月前年同月比 1.3%減、11月同3.6%増となっている。失業率は、7~9月期8.9%、10~12月期9.1%となっている。物価は、消費者物価上昇率で7~9月期前年同期比1.2%、10~12月期同2.0%と安定している。経常収支は、4~6月期2.8億ドルの黒字、7~9月期1.5億ドルの赤字となった。

ロシア:景気は回復しつつある。

ロシアでは、実質GDPは、4~6月期前年同期比1.4%増、7~9月期同5.6%増となり、景気は回復しつつある。鉱工業生産は、7~9月期前年同期比16.3%増の後、10月前年同月比10.3%増、11月同12.9%増と増加している。個人消費は、7~9月期前年同期比19.4%減、10月前年同月比4.4%減と減少幅は縮小している。固定投資は、実質総固定投資(政府・民間)で7~9月期前年同期比1.0%増、10月前年同月比4.3%増となっている。

失業率(ILO基準)は、7~9月期11.7%、10月11.7%、11月11.7%と横ばいで推移している。物価は、消費者物価でみると11月前年同月比50.4%(前月比1.2%)、12月同36.5%(同1.3%)と、上昇率は低下している。

貿易収支(個人業者による「シャトル貿易」を含む)黒字は、4~6月期64.1億ドル、7~9月期86.6億ドルと増加している。輸出は、一次産品価格の上昇やヨーロッパ諸国への輸出の回復等により、4~6月期前年同期比10.2%減の後、7~9月期同1.7%増と増加に転じた。輸入は、4~6月期前年同期比39.1%減、7~9月期同26.7%減と減少幅が縮小している。

金融面の動向を見ると、マネーサプライ(M2)は8月前年同月比71.9%増、9月同63.3%増となっている。また、ルーブルは12月31日現在、対ドルで9月末比7.1%減価となった。

なお、12月31日にエリツィン大統領が辞任し、プチン首相が大統領代行となった。

3 アジア等 東アジアの景気は回復している

東アジアでは、7~9月期の実質GDP成長率が4~6月期に続き各国ともプラスとなり、景気は回復している。中国では景気の拡大テンポは鈍化している。

鉱工業生産は、多くの国で増加が続いている。雇用情勢は依然として厳しいが、韓国 などでは失業率が低下している。物価上昇率は総じて低下しており、中国、香港では下落が続いている。

輸出は、増加が続いている。輸入も生産の増加を反映して大幅に増加している。

各国の通貨は、総じて落ち着きをみせている。また、株価は多くの国で10月末頃から年末にかけて上昇した。

インドでは、生産や輸出に回復がみられる。オーストラリアでは景気は拡大している。

中国:景気の拡大テンポは鈍化している。物価は下落している。輸出が大幅に増加していることから、貿易収支黒字は拡大傾向にある。

香港:景気は回復しつつある。物価は下落している。

中国では、実質GDPは、99年4~6月期前年同期比7.1%増、7~9月期同7.0%増の後、99年前年比7.1%増(実績見込み)となった。鉱工業生産(実質)は、1~9月期前年同期比9.3%増の後、10月前年同月比7.0%増、11月同7.6%増となった。消費は、社会商品小売総額(消費財、実質)をみると、1~9月期前年同期比9.6%増の後、10月前年同月比11.1%増、11月同10.9%増と堅調に推移している。固定資産投資(国有部門、名目)は、1~9月期前年同期比8.1%増の後、1~10月期同7.0%増、1~11月期同6.8%増となり、伸びが大幅に鈍化している。物価は下落している。消費者物価上昇率をみると、1~9月期前年同期比▲1.6%の後、10月前年同月比▲0.6%、11月同▲0.9%となった。また、小売物価上昇率(消費者物価上昇率からサービス、公共料金を除いたもの)は、1~9月期前年同月比▲3.0%の後、10月前年同月比▲2.6%、11月同▲2.8%となっており、97年10月以降26か月連続で下落している。

貿易収支をみると、輸出が大幅に増加していることから、黒字幅は拡大傾向にある。貿易黒字は、7~9月期115.8億ドルの後、10月44.4億ドル、11月25.7億ドルとなった。輸出は、香港向け輸出の減少等から98年8月頃より前年比でみて減少傾向にあったが、香港をはじめ各地域向けの輸出が軒並み増加したことから、99年7月以降プラスの伸びが続いている。一方、輸入は、10月前年同月比18.2%増の後、11月は同36.8%増となった。

金融面の動向をみると、マネーサプライ増加率(M2、期末残)は、10月前年同月比14.5%の後、11月同14.0%とやや低下した(99年目標圏:14~15%)。なお、人民銀行(中央銀行)は、11月21日より金融機関の法定準備率をこれまでの8%から6%に引き下げた。

また、中国政府は、11月1日より貯蓄性預金の利子所得に対し20%の課税を実施した。

香港では、実質GDPは99年4~6月期前年同期比1.1%増の後、7~9月期同4.5%増となり、景気は回復しつつある。民間最終消費は、4~6月期前年同期比1.3%増の後、7~9月期同3.0%増となった。小売売上高(名目)をみると、7~9月期前年同期比7.3%減の後、10月前年同月比4.8%減と減少が続いている。固定資本形成は、4~6月期前年同期比26.1%減の後、引き続き民間設備投資と民間建設投資がともに低迷し、7~9月期同10.8%減となった。物価は下落している。消費者物価上昇率は、98年10月以降前年同月比マイナスが続いており、99年7~9月期前年同期比▲5.0%の後、衣料・靴等の下落から10月前年同月比▲3.1%、11月同▲2.9%となった。失業率は、7~9月6.1%の後、8~10月6.2%、9~11月6.1%と高水準で推移している。

貿易動向をみると、輸出、輸入ともに増加率が高まっている。輸出は、7~9月期前年同期比4.2%増の後、10月前年同月比5.9%増、11月同9.9%増となった。一方、輸入は、7~9月期前年同期比4.2%増の後、10月前年同月比6.5%増、11月同9.5%増となった。貿易収支は、7~9月期8.3億ドル、10月1.8億ドルの赤字となった後、11月0.4億ドルの黒字となった。

金融面の動向をみると、マネーサプライ(M2、期末値)は9月前年同月比7.8%増の後、10月同5.9%増となった。

韓国:景気は拡大している。失業率は、低下している。

韓国では、実質GDPは、99年1~3月期前年同期比4.5%増と5四半期振りに増加に転じた後、4~6月期に同9.9%増、7~9月期同12.3%増と大幅な伸びを示した。なお、7~9月期の成長率を内外需別にみると、内需寄与度の12.5%に対して外需寄与度は1.0%となった。民間最終消費は、4~6月期前年同期比9.1%増の後、7~9月期同10.3%増と3四半期連続の増加となった。投資は、建設投資が7~9月期前年同期比10.0%減となったものの、設備投資が7~9月期同48.0%増、在庫投資が7~9月期同寄与度5.2%とプラスを記録した。

鉱工業生産(原数値)は、7~9月期前年同期比26.8%増の後、10月前年同月比30.6%増、11月同26.8%増と、9か月連続で二桁の増加となった。製造業稼働率は、7~9月79.5%の後、10月78.6%、11月80.3%となった。失業率(季調値)は、10月5.0%の後、11月は4.7%と低下している。失業者数は、99年2月に178.1万人と過去最大を記録した後、減少に転じ、11月には97.1万人となった。物価をみると、消費者物価、生産者物価ともに安定している。消費者物価上昇率は11月前年同月比1.4%、12月同1.4%となった。生産者物価上昇率は11月前年同月比0.6%、12月同0.9%となった。

国際収支をみると、輸出は、10月前年同月比26.7%増の後、11月は同21.5%増となった。輸入は、10月前年同月比48.4%増の後、11月同40.8%増と、大幅な増加が続いている。貿易収支は、10月21.3億ドルの後、11月24.6億ドルと安定した黒字基調が続いている。経常収支は7~9月期66.4億ドルの黒字の後、10月21.0億ドル、11月23.7億ドルの黒字となった。

金融面の動向をみると、総合株価指数は、12月の期中平均で990.2ポイントまで上昇している。為替レート(対ドルレート)は、このところやや増価傾向で推移している。外貨準備高は、11月697億ドルの後、12月741億ドルと増加している。

台湾:景気の拡大テンポは、大地震の影響によりやや鈍化した。

シンガポール:景気は回復している。

台湾では、実質GDPは、4~6月期前年同期比6.6%増の後、7~9月期同5.1%増となった。9月の大地震の被害により工業生産等に影響が出たことから、民間消費、固定資本形成、輸出ともに伸びが鈍化した。個人消費は、4~6月期前年同期比6.5%増、7~9月期同6.0%増となった。固定資本形成は、民間投資が依然低調なことから、4~6月期前年同期比1.2%増の後、7~9月期同0.0%増となった。

鉱工業生産は、大地震による停電の影響等から、4~6月期前年同期比9.5%増の後、7~9月期同4.8%増と伸びが鈍化した。失業率は、7~9月期3.1%の後、10月3.1%、11月2.9%となった。物価をみると、消費者物価上昇率は、7~9月期前年同期比0.3%となった後、10~12月期同▲0.1%となった。卸売物価上昇率は、7~9月期前年同期比▲4.9%の後、10~12月期同1.0%となった。

国際収支をみると、輸出は、エレクトロニクス製品の輸出が好調なことから、7~9月期に前年同期比7.9%増の後、10~12月期同21.2%増となった。一方、輸入は7~9月期前年同期比12.9%増の後、10~12月期同18.4%増となった。貿易収支は7~9月期24.6億ドル、10~12月期23.2億ドルと黒字幅がやや縮小した。経常収支は、7~9月期はサービス収支赤字の拡大などから黒字幅が縮小し、8.5億ドル(名目GDP比1.2%)の黒字となった。

金融面の動向をみると、マネーサプライ(M2)は、4~6月期前年同期比9.4%増、7~9月期同9.0%増となり、目標圏内で推移している(99年目標圏:6~11%)。

シンガポールでは、景気は回復している。実質GDPは、4~6月期前年同期比6.7%増の後、7~9月期には、同6.7%増となった。製造業生産は、7~9月期同17.1%増、10月前年同月比23.2%増、11月同18.2%増と、エレクトロニクスや化学を中心に高い伸びが続いている。個人消費は、4~6月期前年同期比5.8%増の後、7~9月期同9.1%増と回復している。小売販売額(名目)をみると、7~9月期には前年同期比19.7%増、10月前年同月比25.0%増と伸びが高まっている。固定資本形成は、4~6月期前年同期比3.7%減の後、7~9月期同1.7%増とプラスに転じた。物価をみると、消費者物価上昇率は、98年半ば以降下落が続いていたが、5月以降緩やかな上昇に転じ、7~9月期前年同期比0.9%、10月前年同月比1.4%、11月同1.3%となっている。失業率(季節調整値)は6月3.3%の後、9月は4.0%とやや上昇した。

貿易収支は、7~9月期0.5億ドルの黒字の後、10月4.9億ドルの黒字、11月3.5億ドルの黒字となっている。輸出は、7~9月期前年同期比7.6%増、10月前年同月比13.3%増、11月同21.4%増と伸びが高まっている。一方、輸入も、7~9月期前年同期比18.6%増、10月前年同月比22.1%増、11月同30.2%増と大幅な増加が続いている。経常収支黒字は、貿易収支黒字の縮小により4~6月期の48.5億ドルから7~9月期は41.1億ドルへと黒字幅がやや縮小した。

金融面の動向をみると、マネーサプライ(M2)増加率は、やや低下しており、11月末前年同月比8.1%となっている。

アセアン:景気は総じて回復している。

アセアン各国の動向をみると、インドネシアでは、景気は底入れしたとみられる。実質GDPは、99年4~6月期前年同期比3.1%増の後、7~9月期同0.5%増となり、2四半期連続のプラス成長を記録した。製造業生産は、1~3月期前年同期比4.9%増の後、4~6月期は同20.2%増と2四半期連続のプラスとなった。物価は、消費者物価上昇率が、10月前年同月比1.4%、11月同1.6%、12月同1.8%と落ち着きを取り戻している。貿易収支(通関ベース)は、7~9月期71.8億ドルの黒字の後、10月25.5億ドル、11月25.9億ドルと大幅な黒字が続いている。輸出は、7~9月期前年同期比5.3%増の後、10月前年同月比19.9%増、11月同21.7%増と増加している。輸入は、99年7~9月期前年同期比9.9%減、10月前年同月比15.7%減、11月同10.3%減となり、依然マイナスが続いている。金融面の動向をみると、対ドル為替レートは、10月の大統領選挙の結果を好感し、やや増価基調で推移している。

タイでは、景気は回復している。実質GDPは、4~6月期前年同期比3.3%増の後、7~9月期同7.7%増となった。製造業生産は、4~6月期前年同期比10.6%増の後、7~9月期に同17.6%増、10月前年同月比14.2%増と二桁台の伸びが続いている。物価をみると、消費者物価はこのところ下落が続いていたが、7~9月期前年同期比▲1.0%の後、10~12月期同0.1%とわずかな上昇に転じた。経常収支は大幅な黒字が続いており、4~6月期25.5億ドル(GDP比8.6%)、7~9月期28.0億ドル(GDP比9.2%)の黒字となった。輸出は、4~6月期前年同期比5.7%増、7~9月期同10.9%増、10月前年同月比18.7%増、11月同17.6%増と伸びが高まっている。一方、輸入も、4~6月期前年同期比11.7%増の後、7~9月期同21.9%増、10月前年同月比31.7%増、11月同40.1%増と高い伸びが続いている。貿易収支はやや黒字幅が増加し、4~6月期21.2億ドル、7~9月期23.7億ドルとなっている。金融面の動向をみると、9月頃まで一時減価傾向となっていたタイ・バーツ(対ドルレート)は、このところ回復している。

マレイシアでは、景気は回復している。実質GDPは、4~6月期前年同期比4.1%増の後、7~9月期同8.1%増となった。鉱工業生産は、4~6月前年同期比6.6%増の後、7~9月期同14.2%増、10月前年同月比13.8%増、11月同23.1%増と伸びが高まっている。物価をみると、消費者物価上昇率は低下しており、7~9月期前年同期比2.3%、10月前年同月比2.1%、11月同1.6%となった。貿易収支は、4~6月期47.8億ドルの黒字の後、7~9月期48.5億ドルの黒字と大幅な黒字を続けている。輸出は4~6月期前月同期比15.5%増、7~9月期同21.4%増、10月前年同月比11.9%増、11月同13.4%増と二桁の伸びを続けている。輸入は4~6月期前年同期比9.0%増の後、7~9月期同22.1%増、10月前年同月比21.6%増、11月同23.4%増と伸びが高まっている。金融面の動向をみると、マネーサプライ(M2)の伸びはやや低下しており、7~9月期前年同期比11.4%、10月前年同月比10.6%、11月同10.2%となっている。

フィリピンでは、景気は回復している。実質GDPは、99年4~6月期前年同期比3.6%増の後、7~9月期同3.1%増と、3四半期連続のプラスとなった。製造業生産は、7~9月期前年同期比11.4%増の後、10月前年同月比15.6%増となった。物価は、食料品価格の低下を主因に消費者物価上昇率が低下しており、10~12月期前年同期比4.5%となった。貿易収支(通関ベース)は、7~9月期17.5億ドル、10月8.5億ドルと黒字基調で推移している。輸出は、7~9月期前年同期比22.9%増となった後、10月は前年同月比36.0%増と好調を維持している。一方、輸入は、7~9月期前年同期比7.7%増の後、10月は前年同月比8.1%増と回復している。金融面の動向をみると、短期金利は99年に入り低下し、7月からはほぼ横ばいで推移していたものの、10月以降はやや上昇している。

インド:鉱工業生産は回復している。輸出は増加が続いている。

インドでは、実質GDPは、97年度(4~3月)前年度比5.0%増の後、98年度は農業生産の回復から6.0%増とやや回復した。農業生産の回復により消費が持ち直しており、鉱工業生産にも回復がみられる。

鉱工業生産は、耐久消費財の伸びなどから、99年1~3月期前年同期比4.8%増、4~6月期同6.0%増の後、7~9月期は同6.6%増と増加している。物価は、農産品価格の下落などから、99年に入り落ち着きをみせている。卸売物価上昇率は4~6月期前年同期比3.8%、7~9月期同2.5%の後、10~12月期は同2.8%となった。消費者物価上昇率(工業労働者対象)は、4~6月期前年同期比7.2%、7~9月期同2.7%の後、10月は前年同月比0.9%となった。

国際収支をみると、輸出(通関、ドルベース)は、アジア向けの回復などから、1~3月期前年同期比0.1%減の後、4~6月期同5.4%増、7~9月期同6.6%増と増加が続いている。輸入は、1~3月期前年同期比7.9%減の後、原油価格の上昇などから4~6月期同1.1%増、7~9月期同9.9%増と増加に転じている。貿易収支赤字は4~6期24.6億ドル、7~9月期27.3億ドルとなった。

金融面の動向をみると、通貨供給量(M3、期末残高)は、99年に入り増加率が低下傾向にあり、6月前年同月比18.1%増、9月同16.2%増の後、12月は同16.1%増となった。

オーストラリア:景気は拡大している。失業率は低下している。

オーストラリアでは、実質GDP成長率は、99年4~6月期前期比年率0.5%増の後、7~9月期は同6.4%増となり、景気は拡大している。

消費は、実質家計最終消費支出が4~6月期前期比0.2%増のあと7~9月期同1.3%増と堅調に推移している。小売売上高は10月前月比0.5%増の後、11月は0.6%増となった。投資は、実質民間機械設備投資が、4~6月期前期比11.4%減の後、7~9月期は同9.6%増となった。民間住宅投資は、4~6月期前期比0.7%減の後、7~9月期同0.1%増となった。住宅建設許可件数は、10月前月比5.5%増の後、11月同0.4%減となった。民間非住宅建設投資は4~6月期に18.2%増の後、7~9月期同12.8%減となった。

失業率は、7~9月期7.2%の後、10~12月期は6.9%と低下している。

消費者物価上昇率は、4~6月期前年同期比1.1%の後、7~9月期同1.7%と安定している。

経常収支は、4~6月期89.8億豪ドルの赤字の後、7~9月期92.7億豪ドルの赤字となり、赤字幅がやや拡大している。財の輸出は7~9月期前期比7.8%増となったものの、財の輸入も同6.9%増となったため、財の貿易収支の赤字幅は同43.5億豪ドルと前期に比べ拡大した。

金融面の動向をみると、準備銀行は、11月3日に政策金利であるキャッシュレートを0.25%引き上げ5.0%とした。総合株価指数は10月以降上昇傾向にある。

オーストラリア政府は、年度央経済・財政見通しを11月に発表し、99年度(99年7月~2000年6月)のGDP成長率見通しを99年5月の3.0%から3.5%に上方修正した。

4 国際金融・商品 原油価格、湾岸危機以来となる26ドル台を記録

国際金融:米ドルは、対円では減価したものの対ユーロでは増価。

国際商品:原油価格は、湾岸危機以来となる26ドル台を記録。

【国際金融】

99年10~12月期の米ドル(実効相場)は、総じて横ばいで推移した(P2、図3)。対円では、10月から11月にかけて日本の株価上昇や景気回復期待などから総じて減価基調で推移した。その後、12月は月央にかけて増価する場面があったものの総じて横ばいで推移した。一方、対ユーロでは、10月から11月にかけてはドイツの経済統計が予想を下回ったことや英企業の独企業買収に対するドイツ政府の否定的な態度が投資家の不安を招いたことなどから増価基調で推移した。その後は総じて横ばいで推移した。モルガン銀行発表の米ドル実効相場指数(1990=100)をみると、99年12月31日現在105.9、9月末比0.2%の増価となっている。内訳をみると、99年12月31日現在、対円では9月末比3.9%減価、対ユーロで同6.2%増価、対ポンドで同2.0%増価した。

なお、アジア通貨は、インドネシア・ルピアが増価した(対ドルで99年12月31日現在、9月末比19.1%)。また、タイ・バーツが同8.8%、韓国・ウォンが同7.1%増価した。

【国際商品市況】

国際商品価格全体では、CRB商品先物指数は、10月半ばに一時209ポイント台まで上昇したが、その後は204ポイント前後のレンジ内で上下した。

商品別では、穀物は、生育期を迎える中南米産地の収穫予想に応じて上下する展開となったが、USDA(米国農務省)発表の世界農産物生産見通しが上方修正されたことなどを受け、総じて下落した。貴金属では、金が、欧州の中央銀行などが保有金の売却を制限することを発表したことから、10月上旬に330ドル/トロイオンスまで一気に上昇したが、その後は、7~9月期の米国雇用コスト指数がインフレ懸念の後退を示す内容であったことなどにより、下落基調で推移した。コーヒーは、有力生産国ブラジルの干ばつに対する懸念が高まったことなどから、上昇基調で推移した。

【石油情勢】

原油価格(北海ブレント・スポット価格)の10月以降の動きをみると、10月は20~24ドルのレンジ内で上下していたが、11月に入ると、OPEC加盟国の10月の減産遵守率が80%台の高率を保ったことや、IEA(国際エネルギー機関)が原油在庫の急減を示すレポートを発表したことなどから急上昇し、11月下旬には湾岸危機以来となる26ドル台を記録した。その後は、国連安保理決議に反対したイラクの輸出が停止されるとの噂や、各種の在庫統計の発表などに応じて大きく乱高下する展開となり、12月末値は25.1ドルとなった。