株高と家計金融資産

アメリカ経済の拡大は9年目に入ったが、その主な牽引役は個人消費である。旺盛な個人消費を反映して、四半期ベースでみた家計貯蓄率は99年第1四半期に初めて▲0.7%となった。その後、4月▲1.0%、5月▲1.2%と更に低下している。この背景には、近年の株価急騰により家計の金融資産が増加していることに伴う資産効果等がある。ここでは、この家計の金融資産がどの程度株高の恩恵を享受しているのかについてデータを基にして確認してみた。

家計の金融資産残高の増分をみると、95年以降急激に拡大していることが分かる。この増分の内訳をみると、金融資産の購入額は常にプラスであるものの、非常に小さく、90年代後半にはやや減少している一方、大半が調整勘定(キャピタル・ゲイン)でまかなわれている(図1)。

次に、このキャピタル・ゲインを金融資産の種類別に分類してみると、株式がその過半を占めていることが分かる(図2)。この結果、家計の保有する金融資産の構成に占める株式の割合は95年の17.5%から99年第1四半期の21.2%へ拡大している。さらにキャピタル・ゲインの増加に大きく寄与している年金も、その運用は株式で行われているものが多い。

このことは即ち、大幅な株価の調整があった場合、キャピタル・ロスにより家計の金融資産が一気に収縮してしまう可能性をはらんでいることを意味しており、逆資産効果等を通じた個人消費への悪影響が懸念される。

図1 金融資産残高の増分の内訳

図1 金融資産残高の増分の内訳 イメージ

図2 金融資産の種類別キャピタル・ゲイン

図2 金融資産の種類別キャピタル・ゲイン イメージ

(出所)FRB“Flow of Funds Accounts of the United States”より作成。

(注)調整勘定は、金融資産残高の前期差-当期の金融取引で定義した。