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海外経済報告

(平成10年7月四半期報)


参考図表

概観

1.主要国の経済動向をみると(図1、図2)、アメリカの景気は、拡大している。ヨーロッパの景気は、総じて拡大している。アジアの景気は、総じて後退色が強まっている。

アメリカでは、実質GDP(前期比年率)は97年10~12月期3.7%増の後、98年1~3月期は 5.4%増となり、景気は拡大している。中南米の景気は、メキシコで拡大し、ブラジルで減速している。

ヨーロッパでは、ドイツの景気は、拡大している(98年1~3月期実質GDP前期比年率 3.9%増)。フランスでは、景気は拡大している(同 2.3%増)。イギリスでは、景気の拡大テンポは緩やかになってきている(同 2.2 %増)。イタリアでは、景気は緩やかに改善している(同 0.4%減)。中・東ヨーロッパの景気は、総じて拡大を続けている。ロシアでは、景気の回復テンポは鈍化している。

アジアでは、中国の景気の拡大テンポは鈍化している。韓国では、景気は後退している。アセアンをみると、インドネシア、タイ、マレイシアでは景気は後退している。

2.国際金融・商品の動向をみると、米ドルは、対円で増価したが、対マルクではやや減価した(図3)。アジア通貨は、各国通貨とも総じて減価した。国際商品市況は、総じて弱含みで推移した。原油価格(北海ブレント・スポット価格)は、4月から5月にかけてやや強含んだが、供給過剰懸念等から6月は弱含みとなり、OPECは6月下旬の総会で追加減産を合意した。

(備考)

本報告では、北米、西ヨーロッパ諸国、オーストラリアの指標の変化率は、特に断りのない限り四半期データは季節調整値前期比年率、月次データは同前月比である。また、中南米、中・東ヨーロッパ、ロシア、アジア諸国の指標は、前年同期(月)比である。

1 南北アメリカ 北米、景気は拡大している

アメリカ:景気は拡大している。雇用は拡大し、物価は安定している。

 アメリカでは、実質GDP(前期比年率)は、97年10~12月期 3.7%増の後、98年1~3月期は 5.4%増となり、景気は拡大している。個人消費は、1~3月期 6.0%増の後、4月前月比年率 2.8%増、5月同 5.5%増と増加している。設備投資は、1~3月期 17.8 %増となった。非軍需資本財受注(航空機・同部品を除く)は、4月に前月比 3.6%減となった後、5月は同 1.0%増と増加している。住宅投資は、1~3月期16.9%増と増加した。住宅着工件数は5月前月比 0.7%減と減少しているものの、引き続き高水準にある。在庫投資は、1~3月期増加率寄与度 1.7%と、前期に続きプラスとなった。

 鉱工業生産は、このところ伸びに鈍化がみられる。雇用は、拡大している。失業率も低水準で推移している。物価は、安定した動きとなっている。

 経常収支赤字は、1~3月期 472億ドルと前期から拡大し、GDP比でも 2.3%とマイナス幅が拡大した。その後、4月の財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は 215億ドルと、前月から10億ドル拡大した。

 金融面の動向をみると、98年4月から6月の動向は、短期金利(TB3カ月物)は、やや上下したものの、ほぼ横ばいとなった。長期金利(国債30年物)は、総じて低下した。株価(ダウ平均)は、乱高下する局面もあったが、総じてやや上昇した。なお、株価は、5月中旬には最高値を更新した(TB3カ月物利回り98年6月5.11%(98年3月値差 -1.00%)、国債30年物利回り98年6月5.70%(98年3月値差 -4.12%)、NYダウ工業株平均98年6月 8872.96ドル(98年3月値比1.88%))。マネーサプライ増加率(97年10~12月期対比年率)をみると、M2は98年5月 7.7%となっている。

行政管理予算局(OMB)は、5月26日、年央の改定財政見通しを発表した。当見通しによると、98会計年度の財政収支見通しは 391億ドルの黒字(GDP比 0.5%)を見込んでいる。これは、前回見通し(98年2月予算教書)における99年度での財政の黒字転換を、今年度中に達成するとしたものである。また、実質GDP成長率は、98年前年比 2.9%、99年同 2.0%としている。

カナダ:景気は拡大している。 失業率は低下している。

カナダでは、実質GDP(前期比年率)は、97年10~12月期 2.8%増の後、98年1~3月期 3.7%増となり、引き続き景気は拡大している。個人消費は、98年1~3月期 2.6%増と引き続き拡大している。民間投資では、住宅投資は、1~3月期 0.9%減少、設備投資は、1~3月期 1.5%減少した。在庫投資は、1~3月期の実質GDP成長率への寄与度は-0.6%となった。

 生産は98年3月前月比 1.4%増の後、4月同 0.5%減となった。失業率はこのところ低下しており、5月は 8.4%となった。物価は安定しており、消費者物価上昇率は、4月前年同月比 0.8%、5月同 1.1%に留まっている。経常収支赤字は、1~3月期38.5億加ドル(GDP比 1.8%)と、赤字幅はやや縮小した。財の貿易収支黒字(国際収支ベース)は、4月12.0億加ドルとなった。

金融面の動向をみると、カナダ銀行は、98年1月の公定歩合引き上げ後、現状の水準( 5.0%)を維持している。

中南米:メキシコの景気は拡大している。失業率は低水準で推移している。経常収支赤字は拡大基調にある。ブラジルの景気は減速している。失業率は上昇している。

メキシコでは、実質GDP(前年同期比)は、97年10~12月期6.7%増、98年1~3月期6.6%増と、個人消費や投資の増加などにより景気は拡大している。鉱工業生産は98年1~3月期前年同期比9.9%増の後、4月前年同月比2.2%増となった。

失業率は低水準で推移しており、98年5月3.2%となった。物価上昇率は依然高水準であるが低下基調にあり、消費者物価上昇率は、98年5月前年同月比15.0%となった。経常収支赤字は、98年1~3月期は34.5億ドルと拡大基調にある。貿易収支は98年5月 3.6億ドルの赤字(暫定値)となった。

ブラジルでは、実質GDP(前年同期比)は、97年10~12月期2.2%増、98年1~3月期1.1%増となり、景気は減速している。鉱工業生産は98年1~3月期前年同期比0.0%と伸びが鈍化している。

失業率は年初来上昇しており、98年5月 8.2%となった。消費者物価上昇率は、98年5月前年同月比 4.8%となった。経常収支赤字は98年1~3月期59.6億ドルの後、4月31.6億ドル、5月21.5億ドルとなった。

2 ヨーロッパ ドイツ、フランス、失業率は高水準ながらもやや低下

ドイツ:景気は拡大している。機械設備投資は増加しており、生産は拡大している。失業率は高水準ながらもやや低下している。物価は安定している。

 ドイツでは、実質GDPは、97年10~12月期前期比年率1.2%増(前年同期比2.4%増)、98年1~3月期同3.9%増(同3.8%増)となり、景気は拡大している。内需が成長にプラスに寄与した一方、外需の寄与度はマイナスとなった。消費は、持ち直しているが、4月の付加価値税(VAT)引上げの影響もみられる。個人消費は、1~3月期前期比年率4.6%増となった。小売売上数量は3月前月比4.3%増、4月同7.5%減の後、5月同2.2%増、乗用車新規登録台数は3月前年同月比26.9%増、4月同14.7%減の後、5月同8.9%増となった。機械設備投資は、1~3月期前期比年率23.3%増と増加している。建設投資は、1~3月期前期比年率2.9%増となり、新規建設受注数量が1~3月期前期比3.5%増、4月前月比2.5%増となるなど、停滞しているものの持ち直しの兆しもみられる。在庫投資のGDP寄与度は、1~3月期は前期比年率マイナス0.1%となった。

 鉱工業生産は、拡大しており、4月前月比1.3%減、5月同0.9%増となった。製造業新規受注は、3月前月比0.1%増、4月同0.7%増の後、5月同0.3%減となった。製造業稼働率(旧西独地域)は、12月87.1%から3月86.8%とやや低下した。

失業率は、高水準ながらもやや低下しており、5月11.2%、6月11.0%となった。失業者数(季調値)は、6月426.9万人となった。時間あたり賃金上昇率は、4月前年同月比1.6%となった。物価は、消費者物価上昇率が、6月前年同月比1.2%、工業品生産者価格上昇率が、5月同0.1%と安定している。

経常収支は1~3月期57億マルクの赤字となった。輸出は4月前月比4.2%増、輸入は同7.2%増、貿易収支黒字は1~3月345億マルクから、4月は120億マルクと大幅な黒字が続いている。

 金融面の動向をみると、6月には、短期金利(コール3か月物)、長期金利(公債平均利回り)とも横ばいで推移した。マネーサプライ(M3:97年10~12月期対比年率)は、4月4.7%増の後、5月4.4%増となり、目標圏内で推移している(目標圏:3~6%)。

フランス:景気は、拡大している。生産、消費は拡大しており、設備投資は増加している。失業率は、高水準ながらもやや低下している。物価は、安定している。

 フランスでは、98年1~3月期の実質GDPは、個人消費と設備投資が牽引役となり、前期比年率2.3%増となった。個人消費は、実質個人消費が98年1~3月期前期比年率2.8%増となるなど増加している。工業製品家計消費は、98年5月前月比0.4%増となった。消費者コンフィデンスは、このところ改善している。設備投資は、実質法人固定投資が98年1~3月期前期比年率11.9%増と増加している。98年4月に国立統計経済研究所(INSEE)が実施した経営者アンケートによると、98年の設備投資額(名目)は、9%増と見込まれている。

鉱工業生産(建設を除く)は、98年4月は前月比0.5%減、前年同月比5.1%増となった。経営者アンケート調査によると、受注状況は良好である。失業率は、98年1月12.2%、2月12.1%、3月12.0%、4月11.9%、5月11.9%と高水準ながらもやや低下している。一方、5月の求職者数は、前月比0.5%減となった。

 物価は、安定している。消費者物価上昇率は、98年5月前年同月比1.0%となった。中間財価格は、98年5月前年同月比0.3%低下と安定している。

経常収支は、97年10~12月期646億3400万フラン、98年1~3月期544億300万フランの黒字となり、黒字幅がやや減少した。。貿易収支は、98年4月154億600万フランの黒字であった。

金融面の動向を見ると、短期金利は、安定して推移している。長期金利は、このところやや低下している。マネーサプライ(M3)は、98年5月前年同月比4.9%増となった。

イギリス:景気拡大のテンポは緩やかになってきている。個人消費は拡大を続けている。失業率は低水準で推移している。物価は上昇の兆しがみられる。

 イギリスでは、実質GDPが、97年10~12月期前期比年率2.5%増の後、98年1~3月期2.2%増となった。1~3月期の需要項目別の寄与度(市場価格ベース)を見ると、個人消費、固定投資などの内需が成長に寄与している。

 個人消費は、増加している。実質個人消費が97年1~3月期前期比年率3.5%増となり、小売売上数量指数は98年5月前月比1.7%増となった。設備投資は、実質非住宅投資は97年1~3月期前期比年率14.0%増となり、大幅に増加している。住宅投資は、97年10~12月期の実質住宅投資が前期比年率16.3%増となったが、住宅着工件数が98年4月前月比6.7%減となるなど、足元では鈍化している。生産は、98年1~3月同0.3%減(製造業生産は同0.2%減)、98年5月前月比1.2%減となるなど、鈍化している。失業率は、98年4月4.8%、5月4.8%と低水準で推移している。物価は、消費者物価上昇率が98年4月前年同月比4.0%、5月同4.2%(住宅ローン利払費を除いた消費者物価上昇率は、4月同3.0%、5月同3.2%)となるなど、上昇の兆しがみられる。

 経常収支は97年10~12月期0.5億ポンドの黒字の後、98年1~3月期は32.2億ポンドの赤字となり、大幅な赤字となった。98年3月の貿易収支は、15.4億ポンドの赤字となり、赤字幅はやや縮小した。

 金融面の動向を見ると、長期金利はこのところ横ばいで推移しているが、短期金利は上昇している。マネーサプライ(M4)増加率は、98年4月前年同月比10.2%増、5月同9.1%増となった。イングランド中央銀行は6月4日に政策金利(レポ金利)を0.25%引上げ、7.5%とした。

イタリア:景気は緩やかに改善している。設備投資は増加している。失業率は高水準で推移している。物価は安定している。

 イタリアでは、実質GDPが、98年1~3月期前期比年率0.4%減となったが、内需は同2.9%増となるなど、景気は緩やかに改善している。

 個人消費は、実質個人消費が98年1~3月期前期比年率0.2%増、小売売上数量指数は98年3月前年同月比10.4%増となるなど、増加している。政府消費は、98年1~3月期前期比年率1.8%増となった。固定投資は98年1~3月期同5.5%増となった。

 生産は、このところやや鈍化している。鉱工業生産は、98年1~3月前期比0.0%。98年4月前月比0.2%減(前年同月比0.7%増)となった。製造業稼働率は、97年10~12月期79.4%の後、98年1~3月期は78.2%と、やや低下した。

 失業率は、97年10月12.2%、98年4月12.5%と高水準で推移している。物価は、生計費上昇率が98年4月前年同月比1.8%、5月同1.7%、6月同1.8%と安定している。

 経常収支は、98年3月以降赤字に転じ、5月は5.5兆リラの赤字となっている。貿易収支は、98年3月5.3兆リラの黒字となった。

 金融面の動向を見ると、長短金利は、このところ緩やかな低下傾向にある。マネーサプライ(M2)増加率は、98年4月前年同月比7.2%となった。

中・東ヨーロッパ:ポーランド、ハンガリーでは景気は拡大している。チェッコでは景気は一進一退となっている。

 ポーランドでは、実質GDPが97年10~12月期前年同期比6.5%増、98年1~3月期同6.5%増となり、景気は拡大を続けている。鉱工業生産は、98年4月前年同月比3.9%増、5月同9.5%増となった。失業率は、98年3月10.6%、4月10.2%と高水準ながら低下してきている。物価上昇率は、消費者物価上昇率で98年4月前年同月比13.7%、5月同13.3%と高水準ながら低下してきている。経常収支は、97年10~12月期6.7億ドル、98年1~3月期20.0億ドルの赤字と、赤字幅が拡大した。

ハンガリーでは、実質GDPが、97年7~9月期前年同期比5.1%増、10~12月期同5.3%増となり、景気は拡大している。鉱工業生産は、97年10~12月期前年同期比14.8%増、98年4月前年同月比9.5%増となった。失業率は、98年4月9.8%、5月9.4%と低下している。物価上昇率は、消費者物価上昇率で98年4月前年同月比16.0%、5月前年同月比15.8%と高水準ながら低下してきている。経常収支は、97年10~12月期2.9億ドル、98年1~3月期3.8億ドルの赤字となり、赤字幅はやや拡大している。

 チェッコでは、実質GDPが、98年10~12月期前年同期比2.2%増、98年1~3月期同0.9%減となり、景気は一進一退となっている。鉱工業生産は、97年10~12月期前同期比18.2%増、98年4月前年同月比5.6%増となった。失業率は、98年4月5.4%、5月5.3%と概ね横ばいで推移している。物価上昇率は、消費者物価上昇率で98年5月前年同月比13.0%となり、97年央から上昇している。経常収支は、97年10~12月期6.0億ドル、98年1~3月期3.5億ドルの赤字となり、赤字幅は縮小している。

ロシア:景気の回復のテンポは鈍化している。物価上昇率は、低下している。貿易収支は、黒字が縮小している。

 ロシアでは、実質GDPは、97年前年比0.8%増の後、98年1~3月期前年同期比0.0%と回復のテンポは鈍化している。鉱工業生産も、97年前年比1.9%増の後、98年1~3月期前年同期比1.4%増となった。個人消費は、実質民間消費で97年7~9月期前年同期比0.8%増の後、98年1月におけるデノミ実施前の駆け込み需要により10~12月期同5.3%増と大幅に増加した。その後、98年1~3月期同3.9%増となった。固定投資は、実質総固定投資(政府・民間)で97年10~12月期前年同期比0.4%増となった。失業率(ILO基準)は、97年12月末8.9%の後、98年3月末9.1%、4月末9.2%と緩やかながらも上昇している。

物価上昇率は、消費者物価上昇率で98年1月前年同月比10.1%(前月比1.5%)、6月同6.3%(同0.1%)と低下している。

貿易収支は、黒字が縮小している。非CISとの貿易収支(個人業者による「シャトル貿易」を含まない)黒字は、97年10~12月期72.9億ドル、98年1~3月期36.8億ドルとなった。非CISへの輸出は、97年10~12月期前年同期比4.7%減の後、98年1~3月期同18.6%減となった。輸入は、97年10~12月期同59.0%増の後、98年1~3月期同26.0%増となった。

また、ルーブルはドルに対して、95年11月上旬以降、緩やかに減価を続けてきたが、5月下旬より減価傾向が強まっている。財政収支の赤字(国債の利払いを含まない)は、97年6.1%(GDP比)の後、98年1~4月期3.7%となった。

3 アジア等 アジア、総じて景気後退色強まる

中国:景気の拡大テンポは鈍化している。物価は下落している。輸出は大幅に鈍化している。貿易収支黒字は、輸入の減少から依然として大幅である。

香港:景気は後退している。物価上昇率は低下している。失業率は急速に上昇している。

 中国では、実質GDPは、97年前年比8.8%増の後、98年1~3月期前年同期比7.2%増となり、景気の拡大テンポは鈍化している。鉱工業生産(実質)は、年初頃より鈍化しており、5月前年同月比8.0%増の後、6月は同7.9%増となった。

消費は、社会商品小売総額(消費財、実質)をみると、1~3月期前年同期比8.5%増となり、98年に入り鈍化している。なお名目をみると、4月前年同月比6.6%増、5月同6.8%増となった。固定資産投資は、1~4月前年同期比12.2%増の後、1~5月同12.7%増と伸びを高め、高水準で推移している。

 物価は下落が続いている。消費者物価上昇率をみると4月前年同月比0.3%下落の後、5月は同1.0%下落している。また小売物価上昇率は、97年末以降下落を続けており、4月は2.1%、5月は2.7%それぞれ下落している。

貿易収支黒字は、輸入の不振から依然として大幅であり、1~3月期106.4億ドルの後、4~6月期119.2億ドルとなった。輸出は、1~3月期前年同期比13.2%増の後、4~6月期同3.2%増と大幅に鈍化している。一方輸入は、1~3月期前年同期比2.7%増の後、4~6月期同1.8%増と不振が続いている。なお中国政府は、石炭などについて、輸出の際の税金の還付率を引上げることを表明した(6月)。

金融動向をみると、マネーサプライ伸び率(M2、期末残)は、4月前年同月比14.6%の後、5月同15.5%となりやや上昇した(98年の目標圏は16~18%)。人民元レートは、ドルに対してほぼ横ばいで推移している。外貨準備高は、5月1,409億ドルとなった。また、97年の経常収支黒字幅は、297億ドル(GDP比3.3%)と前年に比べ大幅に拡大した。なお、人民銀行は7月1日、預金・貸出金利の引下げを行った。

香港では、実質GDPは97年10~12月期前年同期比2.7%増の後、98年1~3月期同2%減と景気は後退している。個人消費は、97年7~9月期前年同期比11.8%増の後、10~12月期同3.3%増となった。小売売上高は、1~3月期前年同期比13.3%減、4月前年同月比15%減と衣料、自動車等を中心に減少が続いている。固定資本形成は7~9月期前年同期比14.1%増の後、10~12月期同11.5%増となった。物価は、消費者物価上昇率が1~3月期4.8%の後、4月4.4%、5月4.3%と食料品、耐久財の安定などから低下している。失業率は、97年9月の2.2%をボトムに速いテンポで上昇しており、1~3月期3.0%の後、4月は4.2%となった。失業者数は小売、レストラン、建設部門で多く、4月には12.2万人に達した。このため香港政府は雇用対策を打ち出している(6月3日発表)。貿易収支赤字は、1~3月期42.1億ドルの赤字の後、4月22.2億ドル、5月14.5億ドルとなった。1~5月でみると、輸入の減少が大きいことから前年に比べ赤字幅は縮小している。輸出は、1~3月期前年同期比0.9%減の後、4月前年同月比4.1%減、5月同3.2%減となっている。一方輸入は、1~3月期前年同期比5.1%減の後、4月前年同月比4.3%減、5月同7.5%減と大幅な減少となった。なお、香港政府は8月頃をめどに98年の経済成長率見通しを改訂する予定でいる。

韓国:景気は後退している。物価は高騰している。貿易収支黒字は、輸入減少により大幅な黒字が続いている。失業率は、大幅に上昇している。

 韓国では、景気は後退している。実質GDP成長率は、97年10~12月期前年同期比3.9%増の後、98年1~3月期は同3.8%減となった。なお、1~3月期の成長率を内外需別にみると、内需寄与度は29.3%減となり、外需寄与度は25.4%増となった。消費は、実質民間最終消費が、97年10~12月期前年同期比1.0%減だったが、98年1~3月期は同7.6%減とさらに減少した。投資は、実質建設投資が98年1~3月期前年同期比7.7%減、実質設備投資は98年1~3月期同40.7%減、実質在庫投資は98年1~3月期同15.2%減といずれも大幅なマイナスとなった。

鉱工業生産は、98年1~3月期前年同期比7.8%減の後、4月は前年同月比10.8%減となった。製造業稼働率は、4月68.3%となった。

失業率は、98年1~3月期5.6%の後、4月は6.7%、5月は6.9%となり、失業者数 は、4月に 143万人と、既往最高となった(前年同月比 137.8%増)。物価は、高騰しており、消費者物価上昇率が98年4月前年同月比8.8%、5月同8.2%となった。生産者物価上昇率は98年4月前年同月比17.5%の後、5月は同15.7%となった。

国際収支をみると、輸出は、98年4月前年同月比7.0%増となった後、5月は同3.0%減と減少した。輸入は大幅に減少しており、98年4月前年同月比35.6%減の後、5月は同37.6%減と大幅なマイナスとなった。これに伴い、貿易収支は98年4月39.5億ドルと史上最高の黒字を記録し、5月も37.4億ドルの黒字となった。経常収支は98年3月36.5億ドルの黒字の後、4月は38.1億ドルの黒字となった。

金融面の動向を見ると、会社債収益率(期中平均)は、上昇がおさまったものの98年4月18.1%と高止まりしている。通貨供給量(M2)の期中平均残高は、98年4月前年同月比13.3%増となっている。

対ドル・レートは経済構造改革への取り組みが評価され、6月30日現在1ドル=1374ウォンと安定的に推移している。

 韓国政府は金大中新大統領のもと、IMFと合意した支援条件を忠実に遂行している。緊縮的な経済運営により、韓国の外貨準備高は4月には355億ドルとなるなど危機を脱したが、構造改革に伴う実体経済の低迷が、大量失業やストライキの頻発など、社会不安を生じさせている。

台湾:景気の拡大テンポは鈍化している。

シンガポール: 景気は鈍化している。

 台湾では、景気の拡大テンポは鈍化している。実質GDP成長率は、97年10~12月期前年同期比7.1%の後、98年1~3月期同5.9%となった。個人消費は、1~3月期前年同期比8.1%となっており、堅調な拡大を続けている。固定資本形成は、民間投資が高い伸び(1~3月期前年同期比42.8%)となったことから、1~3月期同20.9%と大きく拡大している。鉱工業生産は、やや伸びが鈍化しており、98年1~3月期前年同期比4.5%増の後、4月前年同月比6.8%増、5月には同0.7%増となっている。

物価は、消費者物価上昇率が、98年1~3月期前年同期比1.6%、4~6月期同1.7%と安定した動きが続いている。卸売物価上昇率は、通貨減価の影響から高まりがみられ、98年1~3月期に前年同期比5.0%となった後、4~6月期3.0%となっている。

 失業率は、97年半ばから低下基調となっており、98年1~3月期に2.4%の後、4月2.3%、5月2.4%となっている。

 貿易収支は、98年1~3月期に四半期ベースで17年ぶりに赤字に転じ、0.6億ドルの赤字となった。その後も、4~6月期13.5億ドルの黒字と小幅な黒字となっている。輸出は98年1~3月前年同期比6.4%減の後、4~6月期同7.7%減と減少傾向となっている。一方、輸入も98年1~3月期前年同期比0.1%増の後、4~6月期同6.9%減と減少に転じている。

 金融面の動向をみると、マネーサプライ(M2)増加率は、98年1~3月期前年同期比8.7 %、4月前年同月比8.4 %、5月同8.5 %と緩やかな伸びが続いている。中央銀行はM2の目標レンジを6~12%としている。

 シンガポールでは、景気は鈍化している。実質GDPは、97年10~12月期前年同期比7.6 %増の後、98年1~3月期同5.9%増となった。個人消費は10~12月期前年同期比5.1%増から1~3月期同5.4%増となった。小売販売額(名目)をみると1~3月期前年同期比12.1%減、4月前年同月比1.2%減と97年9月以降減少が続いている。固定資本形成は10~12月期前年同期比5.1%増の後、1~3月期同5.4%増となった。製造業生産は1~3月期前年同期比6.1%増、4月前年同月比1.3%増の後、5月はエレクトロニクス生産の不振などから同4.5%減となった。

 物価は、安定している。消費者物価上昇率は輸入物価が落ち着いていることなどから、1~3月期前年同期比1.0%、4月前年同月比0.6%の後、5月同0.5%と上昇率は低下を続けている。

 失業率( 季節調整値) は、上昇しており、12月2.0%の後、3月は2.2%となった。

貿易収支は98年に入って輸入の減少から黒字に転じている。貿易収支黒字は1~3月期9.5億ドルの後、4月7.5億ドル、5月8.4億ドルとなった。輸出は1~3月期前年同期比6.6%減の後、マレイシア、香港向けなどが不振なことから、4月前年同月比12%減、5月同18.2%減となっている。輸入は1~3月期前年同期比15.9%減の後、4月前年同月比20.5%減、5月同30%減と大幅な減少となっている。経常収支黒字は10~12月期30億ドルから1~3月期27.4億ドルとなった。

 金融面の動向をみると、マネーサプライ(M2)増加率は、1~3月期前年同期比9.4 %の後、4月7.6%と伸びが鈍化している。なお、政府は98年の経済成長率見通しを0.5 ~1.5%へ下方修正した。

アセアン:インドネシア、タイ、マレイシアでは景気は後退している。物価は、インドネシアでは急騰している。輸出は、フィリピンを除き減少している。

 アセアン各国の動向をみると、インドネシアでは、景気は後退しており、実質GDP成長率は、97年10~12月期前年同期比1.4%増の後、98年1~3月期には、同7.9%減、4~6月期同16.5%減と大幅なマイナスとなった。物価は、消費者物価上昇率が、98年1~3月期前年同期比29.7%の後、4月は前年同月比44.9%、5月同49.7%、6月同56.7%となり、急騰している。貿易収支(通関ベース)は、97年10~12月期40.5億ドルの黒字の後、98年1~3月期52.3億ドルの黒字となり、黒字幅は拡大した。輸出は97年10~12月期前年同期比2.4%増、98年1~3月期同0.1%減と、ほぼ横ばいとなった。輸入は97年10~12月期前年同期比10.1%減、98年1~3月期同32.8%減と大幅に減少した。金融面では、金利は上昇し、高金利が続いている。生活困窮から民衆の不満は爆発し、各地で暴動が起こり、スハルト大統領を辞任に追い込んだ。今後はハビビ新大統領の下で、IMFとの合意に基づいた構造改革を進め、経済再建に取り組むことになっている。

タイでは、景気は後退している。政府は97年の実質GDP成長率をマイナス0.4%と見込んでいる。製造業生産指数の動きをみると、97年10~12月前年同期比11.5%減となった後、98年1~3月期同16.6%減、4月前年同月比16.6%減と大幅な減少が続いている。物価は、消費者物価上昇率が、98年1~3月期前年同期比9.0%の後、4~6月期同10.3%と上昇が続いている。貿易収支(通関ベース)は、黒字が拡大傾向となっており、97年10~12月期24.9億ドルの黒字から98年1~3月期31.3億ドルの黒字、4月6.3億ドルの黒字となった。輸出は97年10~12月期前年同期比6.7%増の後、98年1~3月期同2.9%減、4月前年同月比2.0%減と減少に転じ、輸入は97年10~12月期前年同期比27.5%減の後、98年1~3月期前年同期比39.8%減、4月前年同月比39.0%減と大幅な減少が続いている。経常収支黒字は、貿易収支の改善から拡大しており、98年1~3月期には42.1億ドルの黒字となった。

マレイシアでは、景気は後退しており、実質GDP成長率は、97年10~12月期前年同期比6.9%の後、98年1~3月期にはマイナス1.8%とマイナスに転じた。鉱工業生産指数は、97年10~12月期前年同期比10.1%増の後、98年1~3月期には0.8%減、4月には3.4%減と伸びがマイナスに転じている。物価は、消費者物価上昇率が、98年1~3月期前年同期比4.3%の後、4月前年同月比5.6%、5月同5.4%と上昇している。貿易収支(通関ベース)は、黒字が拡大しており、97年10~12月期4.7億ドルの黒字の後、98年1~3月期22.4億ドルの黒字、4月9.6億ドルの黒字となった。輸出入とも減少しており、輸出は1~3月期前年同期比10.4%減、4月前年同月比3.3%減、輸入は1~3月期前年同期比18.4%減、4月前年同月比28.3%減となっている。金融面では、マネーサプライ(M2)の伸びは急速に鈍化している(98年5月前年同月比11.4%増)。また、7月から中央銀行は、98年に入り2度目の預金準備率の引下げを行った。

フィリピンでは、実質GDP成長率は、97年10~12月期前年同期比6.9%の後、98年1~3月期同1.7%と減速している。実質GDP成長率は通年では、96年前年比5.7%の後、97年5.1%となった。製造業生産指数は、97年7~9月期前年同期比9.9%増の後、10~12月期同19.6%増、98年1~3月期同5.2%増となった。物価は、消費者物価上昇率が、98年1~3月期前年同期比7.1%の後、98年4月前年同月比7.8%、5月同9.2%と上昇している。貿易収支(通関ベース)は、97年10~12月期22.9億ドルの赤字となった後、98年1~3月期は12.2億ドルの赤字となり、赤字幅は縮小している。輸出は、エレクトロニクス製品などが順調に拡大し、98年1~3月期前年同期比23.8%増と大幅に拡大した。輸入は、98年1~3月期前年同期比1.1%減となった。

インド:鉱工業生産や輸出が低水準で推移しており、景気の鈍化が続いている。物価上昇率は再び上昇している。貿易収支赤字は高水準となっている。

 インドでは、実質GDPは、96年度(4~3月)前年度比7.5%増の後、97年度は天候不順による農業生産の不振と工業生産の伸びの鈍化から、同5.0%増と減速した。

 鉱工業生産は、低水準の伸びで推移しており、97年7~9月期前年同期比5.1%増の後、10~12月期同3.7%増、98年1月前年同月比4.5%増、2月同4.0%増となった。

物価は、97年を通じ上昇率が低下傾向にあったが、98年に入って再び上昇している。卸売物価上昇率は97年10~12月期前年同期比4.3%の後、98年1~3月期は同5.3%となった。消費者物価上昇率(工業労働者対象)は10~12月期前年同期比5.7%の後、98年1月前年同月比9.7%、2月同9.1%となった。

国際収支をみると、輸出(通関、ドル・ベース)は、97年10~12月期前年同期比4.1%増の後、98年1~3月期同3.2%減となった。輸入は、10~12月期前年同期比9.7%増の後、1~3月期同2.7%減となった。この結果、貿易収支赤字は10~12月期21.5億ドルと前期比倍増となった後、1~3月期は20.0億ドルとなった。

金融面の動向を見ると、金利(コールレート)(期中平均)は、97年10~12月期6.9%の後、98年1~3月期は15.7%と大幅に上昇した。通貨供給量(M3、期末残高)は、98年3月前年同月比17.0%増となり、97年度の増加率目標(15~15.5%)をやや上回った。

なお、5月の地下核実験実施に伴う主要国の経済制裁の影響の懸念等から、ルピーの対ドル為替レートは6月に既往最安値を記録した。

オーストラリア:実質GDPは、在庫投資の積み上がりなどにより、高い伸びとなっている。失業率はほぼ横ばいで推移している。消費者物価上昇率は落ち着いている。経常収支赤字は拡大している。

 オーストラリアでは、実質GDP成長率(平均ベース)は、97年10~12月期前期比年率2.8%の後、98年1~3月期同5.1%と、高い伸びとなっている。

消費は、実質民間最終消費支出が、98年1~3月期前期比0.0%にとどまった。小売売上高は、5月前月比0.5%増となった。投資は、実質民間設備投資が、97年10~12月期前期比0.0%の後、98年1~3月期同4.1%減となった。非住宅建設投資は97年10~12月期前期比9.2%減の後、政府から民間への天然ガスパイプライン売却に伴う投資の増加という特殊要因により、98年1~3月期同62.2%増となった。また、民間住宅投資は、98年1~3月期前期比0.5%増となった。住宅建設許可件数は、4月前月比5.0%増の後、5月同6.8%減となった。在庫投資の増加寄与度は、98年1~3月期前期比2.4%となった。

失業率は、98年5月8.1%の後、6月は8.2%となり、このところほぼ横ばいで推移している。消費者物価上昇率は、98年1~3月期前年同期比マイナス0.2%と落ち着いている。経常収支は、98年1~3月期75.2億豪ドルと赤字幅が大幅に拡大した。財の貿易収支は、輸出が前期比4.8%減と減少に転じたため、98年1~3月期は21.7億豪ドルの赤字となった。サービス収支は3.1億豪ドルの赤字となった。

金融面の動向をみると、オーストラリア・ドルは98年6月30日現在、対米ドルで3月末比7.9%減価となった。

4 国際金融・商品ドルは、総じて増価

国際金融:ドルは、対円で増価したが、対マルクではやや減価した。

国際商品:原油価格は、低水準で推移した。

【国際金融】

98年4~6月期の米ドル(実効相場)は、総じて増価した。対円では、日本の景気低迷の長期化観測の深まりや、インドネシアの政情不安を背景としたアジア通貨危機の再然懸念などから増価した。一方、対マルクでは、ユーロへの期待感増大などからやや減価した。(モルガン銀行発表の米ドル実効相場指数(1990=100)98年6月30日 113.1、3月末比

1.6%の増価)。内訳でみると、6月30日現在、対円では3月末比 4.3%増価、対欧州通貨では対マルクで同 2.2%減価、対ポンドで同 0.2%増価、対仏フランでは同 2.0%減価した。アジア通貨は、各国通貨とも対ドルで総じて減価し、特にインドネシア・ルピアは大幅に減価した。

【国際商品市況】

 国際商品価格全体では、CRB商品先物指数は、6月下旬にやや強含む場面があったものの、総じて弱含みで推移し、5年振りの低水準を記録した。

 商品別では、穀物は、エルニーニョ現象による悪天候の懸念もあったものの、豊作予測を受け、総じて弱含みで推移した。非鉄金属では、銅が特にアジアを中心とした需要減少を反映し、5月から6月にかけて弱含みで推移した。貴金属では、銀価格が特定投資家の大量売却などが投資家の売りを呼び一転して価格を下げ、金価格は4月から5月にかけて、欧州中央銀行の準備金に占める金の割合についての観測により弱含んだが、6月中旬にはドル高是正の動きを受け、強含んだ。

【石油情勢】

原油価格(北海ブレント・スポット価格)の4月以降の動きをみると、3月下旬に産油国によって合意された減産を受け、4月から5月にかけてやや強含みで推移した。しかし、減産自体が徹底されなかったことや、イラクの禁輸措置が緩和されたこともあり再び供給過剰の観測が生じたため価格は小幅な上昇にとどまった。そのため6月下旬のOPEC(石油輸出国機構)総会において追加減産合意がなされたが、合意の履行について懐疑的な見方もあり、再び弱含んだ。