産業動向(平成12年12月)

平成12年12月


産業動向の推移

産業動向の推移イメージ


概況

我が国産業の最近の動向について次のような特徴がみられる。

(1)半導体集積回路が需給ひっ迫状況の緩和から好調から堅調になり、また、輸出の減少から化学(石油化学)、自動車がそれぞれ堅調から横ばい状況となった。一方、企業の設備投資や情報化投資の増加などから工作機械、情報サービスがそれぞれ堅調から好調となり、また、海外旅行の増加によって旅行が横ばい状況から堅調となった。この結果、最近の産業動向は、一部に輸出の鈍化等の影響がみられるものの、引き続き多くの業種が堅調又は好調であり、全体としては、自律的回復に向けた動きが続いている。

(2)製造業をみると、

素材型産業では、鉄鋼、紙・パルプは堅調に推移し、化学(石油化学)が堅調から横ばい状況となった。

加工組立型産業では、工作機械が堅調から好調となった。通信機器は堅調に推移し、半導体は好調から堅調となった。産業機械、コンピュータ関連機器、家電は横ばい状況が続いており、自動車が堅調から横ばい状況となった。建設機械は低調に推移している。

(3)非製造業をみると、

広告は好調に推移し、情報サービスが堅調から好調となった。国内貨物、リース、電力は堅調に推移し、旅行が横ばい状況から堅調となった。外食は横ばい状況が続いている。建設・住宅は低調に推移している。

鉄鋼は堅調に推移している。これは、内需の増加傾向等を背景に、粗鋼生産が引き続き高水準となっており、また普通鋼鋼材の国内出荷の増勢に力強さがみられるからである。ただし、輸出の減少傾向等から粗鋼生産の伸びは鈍化している。

化学(石油化学)は堅調から横ばい状況となった。これは、汎用樹脂についてみると、国内出荷は堅調であるものの輸出が大幅に減少しており、この影響によりエチレンの生産が減少しているからである。

紙・パルプは堅調に推移している。これは、生産、出荷が堅調に推移しており、また在庫が板紙で適正水準を上回るものの、紙ではおおむね適正水準となっているからである。

一般機械では、産業機械は横ばい状況が続いている。これは、受注について、低水準であった前年に比べて増加傾向にあるからである。工作機械は堅調から好調となった。これは、受注について、内需を中心に増加が続いているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、依然として減少基調にあるからである。

産業用電気機械・電子部品では、半導体集積回路は、好調から堅調となった。これは、需給のひっ迫状況の緩和により、半導体価格が下落するなど、直近では出荷金額に増勢鈍化の兆しがみられるからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、パソコンが好調に推移しているからである。通信機器は、堅調に推移している。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、電子交換機が増加しているからである。

家電は横ばい状況が続いている。これは、生産は増加傾向にあり、国内出荷(台数ベース)は総じて底固いものの、輸出は伸びがやや鈍化したからである。

自動車は堅調から横ばい状況になった。これは、国内販売(新車新規登録・届出台数)が増加傾向にあるものの、完成車輸出がこのところ前年を下回っているため、生産がおおむね横ばい状況にあるからである。

建設・住宅は低調に推移している。これは、住宅はマンション着工が堅調であるもののやや弱い動きとなっており、民間工事や非居住用建築についても増加傾向から一進一退となっていることに加え、公共工事についても着工が前年に比べて低調な動きとなっているからである。

運輸・旅行では、国内貨物輸送は、堅調に推移している。これは、主力の一般トラックで生産及び消費関連貨物を中心に荷動きがみられることにより、このところ増加しているからである。旅行関連は、横ばい状況から改善し堅調となった。これは、国内の団体旅行、修学旅行は減少しているものの、海外旅行が増加しているからである。

情報サービスは堅調から好調となった。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が好調に増加しているからである。

外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が増加傾向にあるからである。

リースは堅調に推移している。これは、リース契約額について、多くの物件で増加が続いているからである。

電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。

広告は好調に推移している。これは、テレビ、新聞を中心に売上高の増加が続いているからである。


1.鉄鋼

鉄鋼は堅調に推移している。これは、内需の増加傾向等を背景に、粗鋼生産が引き続き高水準となっており、また普通鋼鋼材の国内出荷の増勢に力強さがみられるからである。ただし、輸出の減少傾向等から粗鋼生産の伸びは鈍化している。

  • 普通鋼鋼材の国内出荷(前年同期(月)比)は、7~9月期12.2%増、10月12.5%増となり、増勢に力強さがみられる。 内閣府法人番号 2000012010019
     用途別にみると、建設向けは、4~6月期4.4%増、7~9月期6.6%増と堅調に推移している。内訳別では、土木用は第2次補正予算の繰越分の執行等から、7~9月期では前年を上回ったものの、全体では減少基調にある。また建築用は、マンションの着工が堅調であることや都心部の大型再開発の着工、IT関連産業の工場建設等から増加している。
     製造業向けは、4~6月期11.9%増、7~9月期13.7%増となり、二期連続で二ケタ増となっている。内訳別では、ウェイトの高い自動車用は、新型車の投入効果等から増加している。電気機械用は、IT関連が引き続き好調であること等から増加している。また造船用は、ばら積み船を中心に受注量が増加していること等から増加している。産業機械用は、民間設備投資の改善等から増加している。
     こうした状況のなか、在庫率は7~9月期113.6、10月108.6と改善しているものの、国内在庫は7~9月期585万トン、10月584万トンと高止まりの状態にある。
  • 鉄鋼の輸出入(全鉄鋼ベース、前年同期(月)比)をみると、輸出数量は、7~9月期3.6%減、10月2.6%減となり,鋼板類の伸びが鈍化していること等から減少している。
  • 鉄鋼の輸出入(全鉄鋼ベース、前年同期(月)比)をみると、輸出数量は、7~9月期3.6%減、10月2.6%減となり,鋼板類の伸びが鈍化していること等から減少している。
     輸出船積平均単価は、上昇基調にあったものの、直近ではアジア向けホットコイルを中心に低下傾向がみられる。
     輸入数量は、7~9月期12.8%増、10月31.2%増となり、内需が増加傾向にあること等から増加している。
  • 粗鋼の生産は、7~9月期2,695万トン(前年同期比11.5%増)、10月は920万トン(前年同月比5.2%増)となり、内需の増加傾向等を背景に高水準な生産が続いているが、輸出の減少傾向等から伸びは鈍化している。
  • 鋼材の市況をみると、条鋼類は、都心部の大型再開発の引き合いの増加等から上昇基調にある。また、鋼板類は、造船用や建築用の需要の増加等から厚板が強含みで推移している一方、薄板が在庫調整や市況軟化等から弱含みで推移している。

2.化学(石油化学)

化学(石油化学)は堅調から横ばい状況となった。これは、汎用樹脂についてみると、国内出荷は堅調であるものの輸出が大幅に減少しており、この影響によりエチレンの生産が減少しているからである。

  • 石油化学製品の基礎原料であるエチレンの生産(前年同期(月)比)は、定期修理の影響等により、4~6月期4.1%減(1,765千トン)の後、7~9月期3.7%増(1,951千トン)となったものの、10月はポリオレフィンの輸出減少等の影響により1.7%減(634千トン)となった。稼働率は内需回復等を背景に引き続き高水準を維持しているものの、アジア市況の低迷等によりこのところ低下している。在庫水準については、やや高めではあるもののおおむね適正水準で推移している。
  • 汎用樹脂の国内出荷(前年同期(月)比)については、汎用4樹脂は景気の緩やかな回復を受けてフィルム向け等の需要が堅調であり、それぞれ高水準にある。主要樹脂別にみると、低密度ポリエチレンは、主力のフィルム等が好調なことから7~9月期3.1%増、10月4.7%増と3か月連続で過去最高を記録している。高密度ポリエチレンは、フラットヤーンが減少しているものの射出成形等が増加していることから7~9月期2.9%増、10月4.0%増と増加している。汎用樹脂最大の需要を有するポリプロピレンは、主力の射出成形用等が堅調なことから7~9月期4.1%増、10月1.0%増と増加している。ポリスチレンは、電気工業用、包装用等が減少したことから7~9月期1.0%減となったものの、10月は雑貨用等が増加したことから1.2%増と増加している。塩化ビニルについては、電線用が堅調なものの、主力のパイプなど、硬質用と軟質用が減少していることから7~9月期4.5%減、10月2.7%減と減少している。
  • 汎用樹脂の輸出については、新設プラントによるアジア、中東での能力増強、米国での需要減退等による先安感から、主力輸出先である中国からの引き合いが減少しており、このところ大幅に減少している。
  • 粗鋼の生産は、7~9月期2,695万トン(前年同期比11.5%増)、10月は920万トン(前年同月比5.2%増)となり、内需の増加傾向等を背景に高水準な生産が続いているが、輸出の減少傾向等から伸びは鈍化している。

3.紙・パルプ

紙・パルプは堅調に推移している。これは、生産、出荷が堅調に推移しており、また在庫が板紙で適正水準を上回るものの、紙ではおおむね適正水準となっているからである。

  • 紙の生産(前年同期(月)比)は、7~9月期2.4%増、10月1.7%増となり、堅調に推移している。出荷は、7~9月期1.7%増、10月1.0%増となり、品目ごとにばらつきはあるものの、塗工紙等が販促用のチラシ、カタログ向けや携帯電話、パソコン等のマニュアル向け等で好調であることから、全体として堅調に推移している。こうした状況のなか、在庫はおおむね適正水準となっている。  紙・パルプは堅調に推移している。これは、生産、出荷が堅調に推移しており、また在庫が板紙で適正水準を上回るものの、紙ではおおむね適正水準となっているからである。
     衛生用紙は、市況対策等から生産調整の動きがみられる。
  • 板紙の生産(前年同期(月)比)は、7~9月期4.0%増、10月3.8%増となり、堅調に推移している。出荷は、7~9月期2.5%増、10月3.1%増となり、パソコン等の電気器具向けや、清涼飲料水等の食品向け段ボール原紙の需要増等から、堅調に推移している。こうした状況のなか、在庫は増加傾向にあり、適正水準を上回っている。
  • 板紙の生産(前年同期(月)比)は、7~9月期4.0%増、10月3.8%増となり、堅調に推移している。出荷は、7~9月期2.5%増、10月3.1%増となり、パソコン等の電気器具向けや、清涼飲料水等の食品向け段ボール原紙の需要増等から、堅調に推移している。こうした状況のなか、在庫は増加傾向にあり、適正水準を上回っている。
  • パルプの生産(前年同期(月)比)は、紙の需要が堅調に推移していることから、7~9月期4.4%増、10月も3.7%増となり、堅調に推移している。
  • 紙、板紙の輸出入(数量ベース、前年同期(月)比)をみると、輸出は、7~9月期6.7%減、10月15.7%減となり、紙がアジアでの在庫調整等により大幅減となっていること等から、減少している。また輸入は、7~9月期34.1%増、10月43.9%増となり、紙が国内需給の逼迫等から塗工紙を中心に大幅増となっていること等から、増加している。
  • 紙の市況をみると、紙、板紙ともに、横ばいで推移している。

4.一般機械

産業機械は横ばい状況が続いている。これは、受注について、低水準であった前年に比べて増加傾向にあるからである。工作機械は堅調から好調となった。これは、受注について、内需を中心に増加が続いているからである。建設機械は低調に推移している。これは、出荷について、依然として減少基調にあるからである。

  • 一般機械の生産(季調済前期(月)比)は、4~6月期3.3%増、7~9月期1.3%増となった。10月は1.1%減となったものの、基調としては緩やかな増加が続いている。
  • パルプの生産(前年同期(月)比)は、紙の需要が堅調に推移していることから、7~9月期4.4%増、10月も3.7%増となり、堅調に推移している。
     輸出入の動向(事務用機器を除く・円ベース、前年同期(月)比)をみると、輸出は7~9月期16.3%増、10月10.0%増と増加している。輸入も7~9月期5.0%増、10月14.8%増と増加している。
  • 産業機械は横ばい状況が続いている。産業機械の受注(日本産業機械工業会調べ、金額ベース、前年同期(月)比)は、7~9月期21.0%増、10月1.9%増と低水準であった前年に比べて増加傾向にある。内需は、製造業では化学工業、鉄鋼業、自動車工業向けの増加が続き、官公需もごみ処理装置等で増加している。外需は、プラント案件は少ないものの、化学機械やプラスチック加工機械等、単体での増加により、総じて底固く推移している。
  • 工作機械は堅調から好調となった。工作機械の受注(日本工作機械工業会調べ、金額ベース、前年同期(月)比)は、7~9月期33.4%増、10月37.9%増と増加が続いている。内需は、電気機械向けや精密機械向けの大幅な増加が続き、ウェイトの高い一般機械向けや自動車向けも増加していることから、高い伸びが続いている。外需は、北米向けを中心に、欧州向け、アジア向け等も増加が続いている。
  • 建設機械は低調に推移している。建設機械の出荷(日本建設機械工業会調べ、本体・金額ベース、前年同期(月)比)は、4~6月期3.2%減の後、7~9月期は1.1%増となったものの、10月は再び4.5%減と依然として減少基調にある。内需は、油圧ショベルや建設用クレーン等で増加がみられたものの、総じて減少基調が続いている。外需は、ウェイトの高い北米・中南米をはじめ、アジア向け、欧州向けも減少が続いている。

5.産業用電気機械・電子部品

半導体集積回路は、好調から堅調となった。これは、需給のひっ迫状況の緩和により、半導体価格が下落するなど、直近では出荷金額に増勢鈍化の兆しがみられるからである。コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。これは、周辺装置等が低調に推移しているものの、パソコンが好調に推移しているからである。通信機器は、堅調に推移している。これは、携帯電話が好調に推移していることに加え、電子交換機が増加しているからである。

  • 半導体集積回路は、好調から堅調となった。出荷額(前年同期(月)比)は、4~6月期25.3%増、7~9月期27.8%増と増加しており、在庫率は低水準にある。しかしながら、DRAM価格が、需給ひっ迫状況の緩和により下落が続いているなど、直近では出荷金額に増勢鈍化の兆しがみられる。
  • コンピュータ関連機器は、横ばい状況が続いている。生産額(前年同期(月)比)は、周辺装置、汎用コンピュータが低調に推移しているものの、パソコンが好調なことから、4~6月期4.1%増の後、7~9月期1.1%減となり、一進一退で推移している。パソコンは、4~6月期19.7%増、7~9月期3.5%増とやや伸びは鈍化しているものの、好調に推移している。周辺装置は、外部記憶装置がこのところ増加していることから、7~9月期4.5%減、10月2.3%減(速報)と減少幅は縮小しているものの、総じてみれば低調な動きが続いている。
  • 通信機器は、堅調に推移している。生産額(前年同期(月)比)は、携帯電話が好調なことに加え、電子交換機が増加していることから、4~6月期9.6%増、7~9月期18.7%増となり、堅調に推移している。内訳をみると、通信インフラ関連では、搬送装置が、4~6月期13.7%増の後、輸出の減速により、7~9月期21.5%減となったものの、電子交換機は、ISDNに関連した需要の拡大等により、7~9月期34.5%増、10月28.5%増(速報)となり、このところ堅調に増加している。携帯電話は、4~6月期8.7%増、7~9月期86.5%増となり、引き続き好調に推移している。

6.家庭電器

家電は横ばい状況が続いている。これは、生産は増加傾向にあり、国内出荷(台数ベース)は総じて底固いものの、輸出は伸びがやや鈍化したからである。

  • 家電の国内出荷(台数ベース、前年同期(月)比)は、品目によりばらつきがあるものの、総じて底固く推移している。
  • 産業機械は横ばい状況が続いている。産業機械の受注(日本産業機械工業会調べ、金額ベース、前年同期(月)比)は、7~9月期21.0%増、10月1.9%増と低水準であった前年に比べて増加傾向にある。内需は、製造業では化学工業、鉄鋼業、自動車工業向けの増加が続き、官公需もごみ処理装置等で増加している。外需は、プラント案件は少ないものの、化学機械やプラスチック加工機械等、単体での増加により、総じて底固く推移している。
     白物家電をみると、全体として底固く推移している。特にエアコンは、需要のピークを過ぎた後も堅調に推移している。また、冷蔵庫、洗濯機は前年並みで推移している。電子レンジは低価格化に買い換え需要が重なり、やや動きがみられた。
  • 家電の輸出(金額ベース、前年同期(月)比)は引き続き増加傾向にあるものの伸びがやや鈍化している。AV家電では、デジタルビデオカメラやDVDなどの映像機器を中心に増加傾向が続いている。地域別では、それまで好調であったヨーロッパ向けの輸出がユーロ安の影響を受けて鈍化した。
  • 家電の輸入(金額ベース、前年同期(月)比)は増加が拡大している。AV家電は、カラーテレビなどの映像機器を中心に増加傾向にある。地域別では、マレーシア、タイなどの東南アジア及び中国からの輸入が増加している。
  • 家電の生産(金額ベース、前年同期比)をみると、海外生産シフトの進展等もあって、多くの品目が減少しているものの、デジタルカメラなどのデジタル製品やカーナビゲーションシステムが増加したことから、全体では4~6月期0.4%増、7~9月9.1%増と増加傾向にある。

7.自動車

自動車は堅調から横ばい状況になった。これは、国内販売(新車新規登録・届出台数)が増加傾向にあるものの、完成車輸出がこのところ前年を下回っているため、生産がおおむね横ばい状況にあるからである。

  • 自動車全体の国内販売(新車新規登録・届出台数、前年同期(月)比)は、7~9月期0.8%減の後、10~11月平均で、2.3%増と増加傾向にある。車種別にみると、普通乗用車はモデルチェンジをした一部の車は好調であるが、全体ではこのところ前年を下回っている。小型乗用車は新型車及びモデルチェンジをした車が好調であることから増加している。普通トラックは下げ止まりの動きもみられることから、このところ前年を上回っている。軽乗用車は高水準で推移しているものの、このところ前年を下回っている。軽トラックは新規格車の投入以降の需要が一巡し、前年を下回っている。
  • 家電の輸出(金額ベース、前年同期(月)比)は引き続き増加傾向にあるものの伸びがやや鈍化している。AV家電では、デジタルビデオカメラやDVDなどの映像機器を中心に増加傾向が続いている。地域別では、それまで好調であったヨーロッパ向けの輸出がユーロ安の影響を受けて鈍化した。
  • 自動車の輸出(完成車台数ベース、前年同期(月)比)は、7~9月期1.7%増の後、10月6.3%減とこのところ前年を下回っている。仕向地別にみると、北米向けは新車販売台数の減少などからこのところ前年を下回っている。欧州向けはユーロ安の影響もあり前年を下回っている。その他の地域では、アジア向けは増加しているものの、中東向けは低迷している。
  • 自動車の輸出(完成車台数ベース、前年同期(月)比)は、7~9月期1.7%増の後、10月6.3%減とこのところ前年を下回っている。仕向地別にみると、北米向けは新車販売台数の減少などからこのところ前年を下回っている。欧州向けはユーロ安の影響もあり前年を下回っている。その他の地域では、アジア向けは増加しているものの、中東向けは低迷している。
  • 自動車の生産(完成車台数ベース、前年同期(月)比)は7~9月期1.4%減の後、10月2.2%増とおおむね横ばい状況にある。車種別にみると、普通乗用車は輸出向けが前年を下回っていること等から増勢が鈍化している。小型乗用車は新型車及びモデルチェンジをした車が好調なため、増加傾向にある。普通トラックは下げ止まりの動きもみられることから、10月は前年を上回っている。軽乗用車は高水準で推移しているものの、10月は前年を下回っている。軽トラックは前年を下回っている。

8.建設・住宅

建設・住宅は低調に推移している。これは、住宅はマンション着工が堅調であるもののやや弱い動きとなっており、民間工事や非居住用建築についても増加傾向から一進一退となっていることに加え、公共工事についても着工が前年に比べて低調な動きとなっているからである。

[建設]

  • 建設業大手50社の受注額(前年同期(月)比)は、4~6月期9.4%増の後、7~9月期7.9%減となったものの、10月は5.3%増となった。受注の約6割を占める民間工事をみると、4~6月期10.0%増の後、7~9月期4.2%減となり、10月は4.7%減とこれまでの増加傾向から一進一退の動きとなっている。民間工事の内訳をみると、製造業向けは7~9月期32.5%増、10月93.1%増と増加している。ウェイトの約6割を占める非製造業向けは、4~6月期1.3%増の後、7~9月期は電気・ガス事業等で減少したことから9.5%減となり、10月は19.1%減となった。受注の約3割を占める官公庁工事については、地方自治体が財政難から公共事業の支出を絞り込んでいること等により、7~9月期20.3%減と低調な動きとなっているものの、10月は政府関連企業で増加したこと等から27.5%増となった。
  • 自動車の生産(完成車台数ベース、前年同期(月)比)は7~9月期1.4%減の後、10月2.2%増とおおむね横ばい状況にある。車種別にみると、普通乗用車は輸出向けが前年を下回っていること等から増勢が鈍化している。小型乗用車は新型車及びモデルチェンジをした車が好調なため、増加傾向にある。普通トラックは下げ止まりの動きもみられることから、10月は前年を上回っている。軽乗用車は高水準で推移しているものの、10月は前年を下回っている。軽トラックは前年を下回っている。
  • 建築の着工状況(床面積)をみると、7~9月期2.4%増、10月0.8%増と増加している。内訳をみると、着工床面積の約6割を占める民間居住用建築では、7~9月期0.4%減の後、10月は6.1%増となった。民間非居住用建築については、鉱工業用が堅調だったこと等から7~9月期13.5%増となったものの、10月は商業用が減少したこと等から4.3%減と増加傾向からこのところ一進一退の動きとなっている。
  • 公共工事受注(請負契約額)(注1)は、7~9月期16.8%減(参考値)となり、10月は2.3%減(参考値)となった。民間土木工事着工は、7~9月期14.1%増(参考値)となり、10月は24.0%増(参考値)となった。
  • 建築の着工状況(床面積)をみると、7~9月期2.4%増、10月0.8%増と増加している。内訳をみると、着工床面積の約6割を占める民間居住用建築では、7~9月期0.4%減の後、10月は6.1%増となった。民間非居住用建築については、鉱工業用が堅調だったこと等から7~9月期13.5%増となったものの、10月は商業用が減少したこと等から4.3%減と増加傾向からこのところ一進一退の動きとなっている。

[住宅]

  • 住宅着工(戸数)は、貸家が減少したこと等から7~9月期2.6%減となった後、10月は持家が増加したこと等から1.5%増とやや弱い動きとなっている。また、10月の年率換算値は116.4万戸となった。利用関係別でみると、分譲は堅調なマンション着工等に支えられて7~9月期10.0%増と大幅に増加しているものの、10月は0.2%増とおおむね前年並みとなった。また、持家については、7~9月期4.0%減の後、10月は7.8%増となった。公庫の平成12年度第1回募集のマイホーム新築融資の受理戸数は4.3%増となったものの、平成12年度第2回募集は42.1%減と減少している。
  • 戸建住宅産業の最近の動きについては、構造別の着工戸数は、ウェイトの約半分を占める木造で持ち直しの兆しがみられるものの、非木造については、鉄骨鉄筋コンクリート造等で減少している。建築単価について1平方メートル当たりの工事費予定額をみると、木造はほぼ前年並みで推移しており、非木造は低下している。1戸当たりの面積については、分譲住宅で増加しているものの、貸家などで減少していることから全体でも減少している。
  • マンション産業の最近の動きについては、全体の着工が7~9月期9.9%増と大幅な増加となり、10月は引き続き堅調ではあるもののこれまでのような力強さはみられず0.4%増とおおむね前年並みとなった。圏別にみると、首都圏、中部圏で一進一退の動きとなっており、近畿圏では減少している。なお、新規契約率(首都圏)については、低金利及び減税等の理由により、7~9月期78.9%、10月80.5%と堅調に推移している。

9.運輸・旅行

国内貨物輸送は、堅調に推移している。これは、主力の一般トラックで生産及び消費関連貨物を中心に荷動きがみられることにより、このところ増加しているからである。旅行関連は、横ばい状況から改善し堅調となった。これは、国内の団体旅行、修学旅行は減少しているものの、海外旅行が増加しているからである。

  • 国内貨物輸送は、堅調に推移している。内訳をみると、一般トラック(トンベース:前年同期(月)比)は、生産及び消費関連貨物を中心に荷動きがみられることにより、4~6月期3.2%増、7~9月期2.4%増と増加している。特別積合せトラックは、4~6月期3.9%増、7~9月期2.3%増と、このところ機械や日用品を中心に増加しており、宅配貨物も増加が続いている。内航海運(貨物船)は、4~6月期9.1%増、7~9月期10.1%増となった。JR貨物は、7~9月期0.5%増、10月5.2%増(速報)となった。航空貨物は、7~9月期4.3%増、10月3.8%増(速報)となった。
  • 国際貨物輸送は、輸出は欧米向けの伸びに鈍化がみられ、輸入はアジアを中心に増加している。航空貨物(貨物トン数(全国ベース):前年同期(月)比)をみると、輸出は、7~9月期15.6%増、10月1.2%増となった。輸入は、7~9月期6.6%増、10月5.5%増となった。外航海運貨物(貨物トン数:前年同期(月)比)は、輸出は、7~9月期10.8%増の後、10月11.4%減となり、輸入は、7~9月期5.3%増、10月2.4%増となった。
  • 旅行関連は、横ばい状況から改善し堅調となった。大手旅行会社(鉄道旅客協会加盟13社)の取扱額計(前年同期(月)比)は、海外旅行が増加していることから、7~9月期0.5%増、10月1.3%増となった。内訳をみると、国内旅行は、団体旅行や修学旅行の落ち込みから、7~9月期2.2%減、10月0.6%減となった。海外旅行は、7~9月期4.5%増、10月5.8%増となった。主要旅客輸送機関の実績(人数ベース:前年同期(月)比)をみると、JR旅客の定期外は、4~6月期0.3%減、7~9月期0.1%減となった。航空(3社)の国内線は、7~9月期2.1%減、10月0.3%減(速報)となった。国際線は、7~9月期7.1%増、10月9.9%増(速報)と増加が続いている。

10.情報サービス

情報サービスは堅調から好調となった。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が好調に増加しているからである。

  • 情報サービス業売上高(前年同期(月)比)は、7~9月期10.0%増、10月12.6%増となり、約6割を占める主力の受注ソフトウェアが好調に増加していることから、全体でも好調となっている。
  • 業務種類別にみると、
     ソフトウェアプロダクトは、汎用コンピュータの基本ソフトの減少等から4~6月期10.0%減となったものの、ゲームソフトの増加により、7~9月期13.6%増、10月7.6%増となっている。
     計算事務等情報処理は、4~6月期1.5%減、7~9月期2.4%減の後、10月0.4%増となっている。
     システム等管理運営受託は、金融業、製造業等のアウトソーシングの需要増により、7~9月期30.3%増、10月70.1%増と好調に推移している。
  • 雇用状況をみると、情報サービス業従業者数の不足感は強まっている。

11.外食

外食は横ばい状況が続いている。これは、既存店ベースでは売上高、利用客数とも前年割れが続いているものの、全店ベースでは店舗数の増加から、売上高、利用客数が増加傾向にあるからである。

  • 大手外食企業が加盟している(社)日本フードサービス協会の調査により、全店ベース(前年同期(月)比)の状況をみると、売上高は、4~6月期2.0%増、7~9月期2.1%増と引き続き増加している。これは、客単価が引き続き前年を下回っているものの、店舗数が4~6月期3.0%増、7~9月期2.7%増と引き続き増加しており、合わせて利用客数が4~6月期3.9%増、7~9月期3.3%増と増加しているからである。10月は利用客数の伸びが鈍化し売上高が1.3%減少したが、直近の状況は持ち直している。
  • 雇用状況をみると、情報サービス業従業者数の不足感は強まっている。
  • 業態別の売上高(全店ベース)をみると、ファーストフードは前年を上回っている。特に麺類は客数の増加から売上を伸ばしている一方で、他業種との競合が激しい持ち帰り米飯・寿司の分野は大きく落ち込んでおり、業態別にばらつきがみられる。ファミリーレストランは、店舗数が大幅に増加している中華レストランを中心に、客数が増加しており、前年を上回っている。パブレストラン・居酒屋は、パブ・ビアホールで売上高が大きく減少している一方で、居酒屋が店舗数、利用客数、売上とも伸ばしており、全体では前年を上回っている。

12.リース

リースは堅調に推移している。これは、リース契約額について、多くの物件で増加が続いているからである。

  • リースは堅調に推移している。リース契約額(リース事業協会調べ、前年同期(月)比)は、4~6月期2.2%増、7~9月期2.1%増となり、4期連続の増加となっている。10月は0.3%増となり、情報関連機器や産業機械等が減少となったものの、多くの物件で増加が続いており、基調としてはおおむね堅調に推移している。
  • 物件別の最近の動向をみると、
  • 業態別の売上高(全店ベース)をみると、ファーストフードは前年を上回っている。特に麺類は客数の増加から売上を伸ばしている一方で、他業種との競合が激しい持ち帰り米飯・寿司の分野は大きく落ち込んでおり、業態別にばらつきがみられる。ファミリーレストランは、店舗数が大幅に増加している中華レストランを中心に、客数が増加しており、前年を上回っている。パブレストラン・居酒屋は、パブ・ビアホールで売上高が大きく減少している一方で、居酒屋が店舗数、利用客数、売上とも伸ばしており、全体では前年を上回っている。
     商業・サービス業用機械・設備は、店舗改装による需要の増加に加え、大規模小売店舗立地法の施行に伴う駆け込み出店増加の影響もあって、7~9月期11.5%増、10月12.0%増と増加が続いている。
     事務用機器は、複写機を中心に更新需要が底固く、7~9月期0.2%増、10月9.0%増と増加が続いている。
     産業機械は、4~6月期14.3%増の後、昨年大口需要のあった反動もあって、7~9月期は10.9%減、10月は23.0%減となった。
     工作機械は、半導体関連部品の製造機械等で増加が続いていることから、7~9月期1.9%増、10月4.5%増と増加が続いている。
     土木建設機械は、買取からリースへの需要のシフトもあって、7~9月期20.5%増、10月2.7%増と増加が続いている。
     自動車は、運輸業向けトラックの増加等から7~9月期5.2%増、10月は6.8%増と増加が続いている。
     医療機器は、ハイテク・高額化によるリース需要の増加等を背景に、7~9月期3.1%増、10月8.0%増と増加が続いている。
  • リース料率は、一部で上昇の動きもみられるものの、低水準で推移している。

13.電力

電力は堅調に推移している。これは、民生用電力、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。

  • 電力需要(9社計、前年同期(月)比)は、7~9月期4.9%増と堅調な伸びとなった。これは、民生用電力(電灯、業務用電力)、小口電力、大口電力全てが堅調な伸びとなったからである。しかし、10月については、気温や検針期間等の特殊要因により3.2%減となった。
  • リース料率は、一部で上昇の動きもみられるものの、低水準で推移している。
     電力需要合計を地域別にみると、7~9月期は全地域で堅調な伸びとなったが、10月は北海道、東北、北陸地域以外は前年割れとなった。
    また、大口電力需要を地域別にみると、7~9月期、10月とも全地域で堅調な伸びとなった。
  • 大口電力需要を自家発電を含め業種別にみると、10月は全ての主要業種が増加となった。鉄鋼は、粗鋼生産が高水準であることから、16か月連続の増加となった。化学は、このところ増加幅は縮小しているものの、15か月連続の増加となった。パルプ・紙は、生産が堅調なことから、18か月連続の増加となった。窯業土石は、6月以降5か月連続の増加となった。機械は、パソコンや携帯電話等の電気機械の生産が好調なことや、自動車の生産の増加等により、12か月連続の増加となった。非鉄は、アルミニューム圧延品や伸銅品の生産が堅調なことから、12か月連続の増加となった。

14.広告

広告は好調に推移している。これは、テレビ、新聞を中心に売上高の増加が続いているからである。

  • 広告は好調に推移している。主要9社の売上高(前年同期(月)比)をみると、テレビ、新聞を中心に好調に推移し、7~9月期13.0%増、10月7.3%増と増加が続いている。
  • 大口電力需要を自家発電を含め業種別にみると、10月は全ての主要業種が増加となった。鉄鋼は、粗鋼生産が高水準であることから、16か月連続の増加となった。化学は、このところ増加幅は縮小しているものの、15か月連続の増加となった。パルプ・紙は、生産が堅調なことから、18か月連続の増加となった。窯業土石は、6月以降5か月連続の増加となった。機械は、パソコンや携帯電話等の電気機械の生産が好調なことや、自動車の生産の増加等により、12か月連続の増加となった。非鉄は、アルミニューム圧延品や伸銅品の生産が堅調なことから、12か月連続の増加となった。
  • 広告量(前年同期(月)比)の動向をみると、テレビは機動的に運用できるテレビスポットが依然好調に増加を続けている。新聞は案内広告が減少となったものの、カラー広告、全面広告が高い増加率で広告主の積極的な出稿を示している。
  • 広告量(前年同期(月)比)の動向をみると、テレビは機動的に運用できるテレビスポットが依然好調に増加を続けている。新聞は案内広告が減少となったものの、カラー広告、全面広告が高い増加率で広告主の積極的な出稿を示している。