地域経済動向(平成12年2月)

平成12年2月21日

経済企画庁調査局


1.地域経済の概況

最近の地域経済の動向を地域別にみると、以下のとおりである。

北海道地域では、景気は政策効果等により、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額が低調となっているものの、鉱工業生産に持ち直しの動きがみられ、また新設住宅着工戸数で増加が続いているからである。

東北地域では、景気は政策効果もあり、改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額が低調となっているものの、鉱工業生産は総じて増加傾向にあるからである。

関東地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売販売額が低調となっているものの、鉱工業生産は緩やかに増加しているからである。

北関東と南関東についてみると、北関東、南関東ともに、関東全体とほぼ同様の動きであることから、景気は緩やかな改善が続いている。

東海地域では、景気は政策効果もあり、改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は低調に推移しているものの、鉱工業生産が総じて増加傾向にあるからである。

北陸地域では、景気は政策効果もあり、このところやや改善している。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は低調となっているものの、鉱工業生産に持ち直しの動きがみられ、新設住宅着工戸数が持ち直しの動きとなっているからである。

近畿地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、このところやや改善している。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は低調な状況が続いているものの、鉱工業生産に持ち直しの動きが続いているからである。

中国地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復等の影響で、改善の動きが強まっている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額が足踏み状態にあるものの、新設住宅着工戸数に持ち直しの兆しがみられ、また鉱工業生産が堅調に増加しているからである。

四国地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は足踏み状態にあるものの、鉱工業生産が緩やかに増加しているからである。

九州地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は足踏み状態にあるものの、鉱工業生産が緩やかに増加しているからである。

沖縄地域では、景気は政策効果もあいまって回復傾向にある。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いているものの、主力の観光が引き続き高水準で推移し、スーパーの売上高、乗用車新規登録・届出台数は総じて底固く、公共工事着工総工事費は大幅増となっているからである。

前回調査との比較において、各地域の最近の経済動向を総合すると、以下のとおりである。

鉱工業生産をみると、中国では化学、鉄鋼、電気機械が牽引し「総じて増加傾向」から「堅調な増加」となり、東海では電気機械、窯業・土石(ファインセラミックス)が牽引し、自動車も輸出向けが増加していることから「持ち直し」から「総じて増加傾向」となった。東北では電気機械が高操業を持続していることから、前回同様「総じて増加傾向」となっている。その他の地域では、関東は電気機械、化学を中心に、四国は電気機械、パルプ・紙、化学を中心に、九州は電気機械、化学、鉄鋼を中心に「持ち直し」から「緩やかに増加」となった。

個人消費をみると、大型小売店販売額は、前年の特別セールの反動や気温が高めに推移したこと等から、前回調査において「力強さはないものの改善の動きがみられた」中国、四国、九州では「足踏み状態」となり、その他の地域では「低調」となっている。乗用車新規登録・届出台数は、軽乗用車の規格改定効果が一巡したことから、ほとんどの地域で減少している。

建設活動をみると、公共工事は、12月に第二次補正予算等の効果もあり、着工は多くの地域で増加となったが、4~12月累計では沖縄以外で減少となっている。住宅建設は、関東や近畿ではこのところ好調に推移してきたマンション着工が減少したことからやや水準を下げており、その他の地域では、前回調査で「水準を下げて」いた北陸、中国で「持ち直しの動き」や「持ち直しの兆し」がみられる。

雇用情勢をみると、有効求人倍率が上昇している地域もみられるが、依然としてすべての地域で「厳しい状況」が続いている。

企業倒産をみると、ほとんどの地域で増加している。

地域別にいえば、前回調査において「改善が続いている」となっていた中国は、鉱工業生産が堅調に増加していることから「改善の動きが強まっている」となり、前回「緩やかな改善が続いている」となっていた東海も鉱工業生産が総じて増加傾向にあることから「改善が続いている」となった。その他の地域は、前回同様、沖縄が「回復傾向にある」、東北が「改善が続いている」、北海道、関東、四国、九州が「緩やかな改善が続いている」、北陸、近畿が「このところやや改善している」となっている。

以上にみた最近の地域経済動向の特色をまとめると、第一に、鉱工業生産がほとんどの地域で改善しているが、大型小売店販売額が前年の反動もあってほとんどの地域で悪化したこと等から、今回上方修正した地域は2地域にとどまった。第二に、その結果最近みられる地域毎の景況の相違は、鉱工業生産における情報通信関連製品の旺盛な需要及びアジア経済の回復による好影響の度合いによる部分が大きい。具体的には、電気機械等における情報通信関連業種の生産が好調な東北及び東海の景況は全国平均を上回っており、情報通信関連業種だけでなくアジア向け輸出の増加等から生産が増加している化学、鉄鋼の比重が高い中国の景況は、この2地域をさらに上回っている。一方、これらの好影響の度合いが限定的である北陸及び近畿の景況は全国平均を下回っている。


2.地域経済の動向

(1)北海道

北海道地域では、景気は政策効果等により、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額が低調となっているものの、鉱工業生産に持ち直しの動きがみられ、また新設住宅着工戸数で増加が続いているからである。

  • 第一次産業の動きをみると、生乳生産(前年同月比)は、ウェイトの高い乳製品向けでこのところ増加が続いていること等から、11月1.2%増、12月2.8%増と前年を上回る動きが続いている。水産業(主要10港、前年同月比)では、12月は水揚量が21.2%減、金額でも12.7%減となった。
  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、11月1.1%増、12月2.9%増となり、持ち直しの動きがみられる。
     主要業種の生産動向をみると、食料品・たばこは、ビール、発泡酒が底固いことや、冷凍水産物、塩蔵品の増加から全体でも持ち直しの動きがみられる。パルプ・紙は、印刷用紙、衛生用紙の増加等により、持ち直しの動きがみられる。窯業・土石は、定修の影響でセメントが増加したこと等から、やや増加しているものの、公共工事関連の需要は水準が下がっている。電気機械は、無線通信装置は減少しているものの、パソコン関連部品が増加していることから、全体でも緩やかに増加している。輸送機械では、自動車部品がフル生産となっていることから、増加傾向にある。
  • 観光では、来道客数(前年同月比)は、11月0.6%増、12月0.2%増と増加幅は縮小したものの、基調としては増加傾向となっている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月10.3%減、12月5.8%減となり、低調となっている。業態別にみると、百貨店では、11月は気温が高めに推移したことや10月のセールの反動もあり、7.9%減となったものの、12月は身の回り品や個人向けのギフトに動きがみられたこと等から4.0%減と減少幅が縮小し、基調としては足踏み状態にある。スーパーでは、前年の特別セールの反動等から11月12.4%減となった後、12月も身の回り品を除く全ての商品で前年を下回ったことから、7.3%減と低調となっている。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、11月5.7%減、12月1.0%増となり、このところ一進一退の動きとなっている。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、普通車が二ケタ増となっているものの、軽乗用車の規格改定効果が一巡していることや、小型車でも減少が続いていることから、11月1.7%減、12月2.9%減となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、11月は地方の減少により、8.9%減となった後、12月は国の大幅な増加等により、32.5%増となった結果、4~12月累計では3.2%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、持家、貸家で増加が続き、また分譲でも大幅な増加が続いていることから、11月27.4%増、12月18.6%増と増加が続いている。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11月0.40、12月0.41と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月13.1%増、12月8.3%増となった。

(2)東北

東北地域では、景気は政策効果もあり、改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額が低調となっているものの、鉱工業生産は総じて増加傾向にあるからである。

  •  東北地域では、景気は政策効果もあり、改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額が低調となっているものの、鉱工業生産は総じて増加傾向にあるからである。
     主要業種の生産動向をみると、電気機械は、11月5.0%増の後、12月は2.1%減と減少したものの、パソコンや携帯電話関連、電子部品等が高操業を持続している。なお、一部品目では部品不足から生産水準を引き下げる動きがみられた。食料品・たばこは、冷凍水産食品等の大幅増から11月22.5%増、12月0.4%増となった。一般機械は金型やパルプ・製紙機械等の増加もあり一進一退の動きとなっている。繊維は低水準横ばいで推移し、輸送機械は減少している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月が前年の特別セールの反動や、休日数の影響等から8.2%減と落ち込み、12月は4.6%減と減少幅が縮小したものの、総じて低調となっている。なお、1月の前半は初売りや各種セールの効果がみられた。業態別にみると、百貨店は、気温が高めに推移したことからコート類等の季節商品が振るわず、11月5.7%減、12月2.2%減となった。スーパーは、前年の特別セールの反動や生鮮野菜・果物の値下がり等から、11月9.7%減、12月6.1%減となった。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、11月0.8%減、12月1.9%増と底固く推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、普通車が前年を上回ったものの、軽乗用車の規格改定効果が一巡したことから、11月4.9%減、12月3.8%減と、前年をやや下回った。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、11月は国、地方とも減少し、18.3%減、12月は国の増加から1.1%増となった結果、4~12月累計では10.9%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、11月は貸家の減少から15.2%減となったものの、12月は持家、分譲の増加から5.8%増と一進一退の動きとなっている。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11月0.50、12月0.52と、厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月4.5%減の後、12月は48.5%増となった。

(3)関東

関東地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売販売額が低調となっているものの、鉱工業生産は緩やかに増加しているからである。

北関東と南関東についてみると、北関東、南関東ともに、関東全体とほぼ同様の動きであることから、景気は緩やかな改善が続いている。

  •  関東地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売販売額が低調となっているものの、鉱工業生産は緩やかに増加しているからである。
     主要業種の生産動向をみると、最もウェイトの高い電気機械は、パソコン、携帯電話、関連部品等の増産により、堅調に推移している。一般機械は、半導体製造装置等は増加しているものの、全体としては持ち直しの動きに足踏みがみられる。輸送機械については、モデルチェンジ前の生産調整が行われたこと等から、一進一退の動きとなっている。化学については、アジア向け輸出の増加を映じて汎用樹脂の生産が持ち直していること等もあり、全体でも持ち直している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、前年の特別セールの反動や気温が高めに推移して季節商品の動きが鈍かったこと等から、11月7.2%減、12月4.8%減と低調となっている。業態別にみると、百貨店では、11月は気温が高めに推移して冬物衣料等の季節商品を中心に動きが鈍かったものの、12月は、中旬以降の気温の低下により冬物衣料や身の回り品等に、また、おせち料理やY2K関連食品に動きがみられ、減少幅は縮小した。品目別では、12月に身の回り品が増加となった以外は、減少となった。スーパーについては、前年の特別セールの反動や生鮮野菜の値下がり等から、主力の飲食料品のほか、全てで減少となった。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、11月2.8%減、12月0.4%増とほぼ前年並に推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、11月4.1%減、12月0.1%減となっており、普通車は増加したものの、小型車の減少に加え、軽乗用車の規格改定効果が一巡したことから、全体でも減少となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、11月19.0%減の後、12月18.0%増となった結果、4~12月累計では4.5%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、11月12.9%増の後、このところ好調に推移してきたマンション着工が減少したことから、12月2.9%減とやや水準を下げている。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11、12月ともに0.49と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月8.4%増、12月44.3%増となった。

(3-2)北関東

  • 鉱工業生産は、総じてみれば緩やかに増加している。主要業種の生産動向をみると、電気機械は堅調に推移しているものの、輸送機械は持ち直しの動きが緩やかであり、一般機械は一進一退の動きとなっている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月8.5%減、12月7.1%減と低調となっている。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、11月3.3%減、12月0.3%減となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、11月12.2%減の後、12月13.2%増となった結果、4~12月累計では4.1%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、持家が再び増加となったことから、11月前年並、12月0.8%増とおおむね横ばいで推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11月0.69、12月0.70と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月59.6%増、12月55.6%増となった。

(3-3)南関東

  • 鉱工業生産は、総じてみれば緩やかに増加している。主要業種の生産動向をみると、電気機械は堅調に推移し、化学は持ち直しているものの、一般機械は持ち直しの動きに足踏みがみられ、輸送機械は一進一退の動きとなっている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月6.9%減、12月4.8%減と低調となっている。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、11月4.4%減の後、12月前年並みとなった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、11月21.9%減の後、12月20.6%増となった結果、4~12月累計では4.7%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、11月16.9%増の後、このところ好調に推移してきたマンション着工が減少したことから、12月3.9%減とやや水準を下げている。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11月0.43、12月0.44と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月0.8%増、12月42.6%増となった。

(4)東海

東海地域では、景気は政策効果もあり、改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は低調に推移しているものの、鉱工業生産が総じて増加傾向にあるからである。

  •  東海地域では、景気は政策効果もあり、改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は低調に推移しているものの、鉱工業生産が総じて増加傾向にあるからである。
     主要業種の生産動向をみると、自動車は、輸出が増加していることや新型車投入効果から緩やかな増加傾向にある。一般機械は、金属工作機械が受注の低迷により低操業であること等から低調である。電気機械は、半導体集積回路が好調に推移し、電子計算機・同関連装置がやや増加したこと等から、全体でも増加傾向にある。窯業・土石では、陶磁器が低調なものの、ファインセラミックスが情報通信機器向けや輸出向けを中心に好調なことから、全体で増加傾向にある。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月7.0%減、12月5.8%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店では11月は気温が高めに推移したことから衣料品が振るわず3.9%減となった後、12月は婦人服や飲食料品が比較的健闘し2.1%減となった。直近では、冬物バーゲンは好調だったが、その後の動きは鈍化している。スーパーでは前年の特別セールの反動、生鮮野菜・果物の値下がり等からほとんどの品目で減少し、11月9.1%減、12月8.7%減となった。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、11月3.1%減の後、12月1.4%増と前年を上回った。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、普通車は増加しているものの、軽乗用車の規格改定効果が一巡したことから11月1.3%減、12月2.2%減となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、11月26.0%減、12月17.0%増となった結果、4~12月累計では12.4%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、11月0.6%増、12月6.4%増とこのところ増勢が鈍化しているものの、前年を上回っている。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11、12月ともに0.64と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月22.2%増、12月34.0%増となった。

(5)北陸

北陸地域では、景気は政策効果もあり、このところやや改善している。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は低調となっているものの、鉱工業生産に持ち直しの動きがみられ、新設住宅着工戸数が持ち直しの動きとなっているからである。

  •  北陸地域では、景気は政策効果もあり、このところやや改善している。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は低調となっているものの、鉱工業生産に持ち直しの動きがみられ、新設住宅着工戸数が持ち直しの動きとなっているからである。
     主要業種の生産動向をみると、金属製品では、アルミ建材はビル用が低迷しており、住宅用で増勢が鈍化していることから、全体で横ばい状況となっている。繊維では、主力の合繊織物は中国向け輸出が増加しているものの、内需は衣料、非衣料向けとも低迷していることから、低水準な生産が続いている。電気機械は、電子部品が携帯電話用、パソコン用ともに好調であり、家電、自動車向けも増加していること等から増加傾向となっている。一般機械は、工作機械に持ち直しの兆しがみられるものの、繊維機械は引き続き低操業であり、建設機械も全体では横ばい状況であることから、全体でもおおむね横ばいで推移している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月4.0%減、12月5.3%減と低調となっている。業態別にみると、百貨店では身の回り品や飲食料品が比較的底固かったものの、気温が高めに推移し衣料品が振るわなかったことから、11月2.2%減、12月2.1%減となった。直近では、冬物バーゲンは好調だったが、その後は低調な動きとなっている。スーパーでは前年の特別セールの反動、気温が高めに推移したこと、生鮮野菜・果物の値下がり等からほとんどの品目で減少し、11月5.2%減、12月8.0%減となった。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、普通車は増加しているものの、軽乗用車の規格改定効果が一巡したことから11月1.4%減、12月5.0%減となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、11月40.9%減、12月15.7%減となった結果、4~12月累計では3.0%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、持家、分譲の増加により11月35.4%増、12月3.0%増と持ち直しの動きとなっている。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11月0.67、12月0.69と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月8.8%増、12月112.5%増となった。

(6)近畿

近畿地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、このところやや改善している。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は低調な状況が続いているものの、鉱工業生産に持ち直しの動きが続いているからである。

  •  近畿地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、このところやや改善している。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は低調な状況が続いているものの、鉱工業生産に持ち直しの動きが続いているからである。
     主要業種の生産動向をみると、電気機械は、11月1.6%増の後、12月0.1%減となったものの、アジア向け輸出とパソコン、携帯電話関連の需要が好調なことから増加傾向にある。一般機械は、11月6.9%増の後、12月3.8%減となり、国内民間設備投資は減少基調が続いているものの、アジア向け輸出が増加していること等から、減少テンポが鈍化している。化学は、11月5.0%増の後、12月4.1%減となったものの、合成洗剤の増加等により総じてみれば堅調に推移している。金属製品は、11月10.3%増、12月7.8%増となったものの、基調としては一進一退の状況が続いている。繊維は、引き続き減少傾向にある。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月8.2%減、12月5.5%減となり、低調な状況が続いている。業態別にみると、百貨店では、冬物衣料や歳暮ギフトの不振等により、11月6.0%減、12月3.6%減となった。スーパーでは、前年の特別セールの反動や生鮮食品の売上不振等により、11月10.1%減、12月7.4%減となった。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、11月4.2%減、12月1.0%減となり、前年を下回る動きとなっている。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、普通車は増加したものの、軽乗用車の規格改定効果が一巡したことから、11月1.6%減、12月0.7%減となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、11月39.1%減の後、12月4.4%増となった結果、4~12月累計では6.4%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、11月23.3%増の後、12月は6.6%減となり、このところ好調に推移してきたマンション着工が減少したこと等から、やや水準を下げている。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11月0.40、12月0.41と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月3.6%減の後、12月22.1%増となった。

(7)中国

中国地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復等の影響で、改善の動きが強まっている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額が足踏み状態にあるものの、新設住宅着工戸数に持ち直しの兆しがみられ、また鉱工業生産が堅調に増加しているからである。

  •  中国地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復等の影響で、改善の動きが強まっている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額が足踏み状態にあるものの、新設住宅着工戸数に持ち直しの兆しがみられ、また鉱工業生産が堅調に増加しているからである。
     主要業種の生産動向をみると、化学は、アジア向け輸出が増加していること等により堅調に推移している。自動車は、国内向けが総じて底固く、また輸出向けもアジア向け等で増加していることから、全体でも底固い動きとなっている。一般機械は、水準は低いものの、このところ下げ止まりつつある。鉄鋼は、アジア向け輸出の増加等を背景に堅調に増加している。また、高水準な生産が続いている電気機械は、パソコン関連が引き続き好調に推移していること等から、さらに増加している。繊維は引き続き低調である。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月4.6%減、12月2.5%減となり、足踏み状態にある。業態別にみると、百貨店は、11月0.8%増、12月0.1%増と増加幅が縮小しており、増床の効果は引き続き弱い。スーパーは、前年の特別セールの反動等から、11月8.2%減となった後、12月は4.4%減と減少幅が縮小したものの、全ての商品で前年を下回った。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、11月2.9%減、12月0.9%増となり、このところ一進一退の動きとなっているものの、全店舗ベースでは二ケタ増が続いている。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、普通車が二ケタ増となっているものの、軽乗用車の規格改定効果が一巡していることや、小型車でも減少が続いていることから、11月4.7%減、12月1.4%減となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、国、地方ともに減少が続き、11月13.5%減、12月33.0%減となった結果、4~12月累計では12.6%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、このところ水準を下げているなか、11月も0.5%減となったものの、12月は持家、貸家が増加となり、また分譲も引き続き増加となったことから、全体で7.4%増となり、持ち直しの兆しがみられる。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11、12月ともに0.64と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月19.0%減の後、12月は20.0%増となった。

(8)四国

四国地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は足踏み状態にあるものの、鉱工業生産が緩やかに増加しているからである。

  •  四国地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は足踏み状態にあるものの、鉱工業生産が緩やかに増加しているからである。
     主要業種の生産動向をみると、電気機械は、パソコン・デジタル関連機器の旺盛な需要に加え、映像機器等の北米向け輸出も依然として好調なことから、高操業を続けている。パルプ・紙は、パソコン関連向けや広告チラシ向けの需要の増加により持ち直している。化学は、輸出好調を背景に持ち直している。一般機械は、機種によりばらつきはあるものの、総じてみると減少となった。繊維は、受注低迷により、総じて低調に推移している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月4.2%減、12月2.0%減となり、足踏み状態にある。業態別にみると、百貨店は、気温が高めに推移したことから冬物衣料が不振だったものの、輸入ブランド品を中心とした身の回り品の堅調な動きや一部店舗の増床効果により11月1.3%減、12月0.4%減と前年並となった。スーパーは、前年の特別セールの反動もあって、ほとんどの品目で減少が続き、11月6.0%減、12月3.2%減となった。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、11月3.7%減、12月0.2%減と前年をやや下回った。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車の規格改定効果が一巡したことから11月11.9%減、12月4.0%減となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、11月17.9%減、12月7.0%減となった結果、4~12月累計では16.5%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、分譲は減少したが持家、貸家は増加し、11月0.9%減の後、12月5.9%増と、このところ増勢が鈍化しているものの、総じて前年を上回っている。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11、12月ともに0.60と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月7.9%増、12月38.5%増となった。

(9)九州

九州地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は足踏み状態にあるものの、鉱工業生産が緩やかに増加しているからである。

  •  九州地域では、景気は政策効果やアジア経済の回復の影響もあり、緩やかな改善が続いている。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いており、大型小売店販売額は足踏み状態にあるものの、鉱工業生産が緩やかに増加しているからである。
     主要業種の生産動向をみると、電気機械は、主力の半導体集積回路では、数量、金額ともに前年増が続き、増加傾向にある。化学は、アジア向け輸出の増加を背景に持ち直している。一般機械は、半導体製造装置は高水準で推移し、産業用ロボットもアジア向け輸出が増加していること等から、全体でも増加となった。輸送機械は、自動車では北米輸出向けはおおむね堅調に推移しているものの、小型車が減少したことから前年割れとなった。造船では大手・中堅は高操業を維持しているものの、中小では新規受注低迷から低操業が続いている。窯業・土石は、半導体関連のファインセラミックスを中心に増加している。鉄鋼は、アジア向け輸出の増加を背景に持ち直している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、11月4.4%減、12月2.1%減となり、足踏み状態にある。業態別にみると、百貨店は、気温が高めに推移し衣料や家電の冬物商品が低調だったこと等から、11月2.4%減、12月1.7%減となった。スーパーは、前年の特別セールの反動もあって、ほとんどの品目で減少が続き、11月5.8%減、12月2.3%減となった。
     なお、コンビニエンス・ストア販売額(前年同月比)は、11月3.2%減の後、12月0.6%増となり、総じて前年並に推移している。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、軽乗用車の規格改定効果が一巡したことから、11月は前年並、12月は3.6%減となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、国、地方ともに増加し、11月12.4%増、12月20.4%増となった結果、4~12月累計では1.7%減となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、持家、分譲はおおむね増加となったものの、貸家が減少したことから、11月5.8%減、12月11.4%減となり、水準を下げている。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11月0.42、12月0.43と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月12.3%増、12月48.2%増となった。

(10)沖縄

沖縄地域では、景気は政策効果もあいまって回復傾向にある。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いているものの、主力の観光が引き続き高水準で推移し、スーパーの売上高、乗用車新規登録・届出台数は総じて底固く、公共工事着工総工事費は大幅増となっているからである。

  •  沖縄地域では、景気は政策効果もあいまって回復傾向にある。これは、雇用情勢は厳しい状況が続いているものの、主力の観光が引き続き高水準で推移し、スーパーの売上高、乗用車新規登録・届出台数は総じて底固く、公共工事着工総工事費は大幅増となっているからである。
  • 個人消費をみると、那覇市内百貨店の売上高(前年同月比、沖縄銀行調べ)は、閉店した老舗百貨店の顧客取り込み等もあり、11月7.8%増、12月10.4%増と増加基調にある。一方、スーパーの売上高(前年同月比、既存店ベース)は、11月2.1%減、12月は気温が低めに推移したことから衣料品等に動きがみられ1.0%増(日本銀行那覇支店調べ)と、総じて底固く推移している。なお、全店ベースでは11月2.4%増、12月5.0%増となった。家電製品の販売額は11月9.8%増、12月2.7%増となった。
     乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、11月が普通車、軽乗用車の大幅増から13.4%増、12月は小型車の減少から7.1%減となったが、基調としては底固く推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、国、地方とも大幅増となったことから、11月159.9%増、12月182.3%増となった結果、4~12月累計では23.3%増となった。
     新設住宅着工戸数(前年同月比)は、11月が貸家の増加から1.8%増となり、12月は持家、貸家、分譲とも増加したことから30.4%増となった。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、11月0.23、12月0.22と厳しい状況が続いている。完全失業率は、11月8.3%、12月8.8%と引き続き厳しい状況が続いている。なお、新規求人数は引き続き広範な業種で増加している。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、11月は前年並み、12月は前年をやや上回った。