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産業動向

平成11年1月


産業動向の推移


概 況 

我が国産業の最近の動向について次のような特徴がみられる。

 

(1) 最近の我が国産業をみると、幾分かの改善を示す動きがあり、変化の胎動も感じられるものの、ほとんどの業種で低調または不振が続いており、極めて厳しい状況にある。これは、個人消費で一部下げ止まりの動きがみられるものの、全体としては低調であることや企業の設備投資が大幅に減少していること等を映じて、総じて国内販売の低迷が続き、在庫の過剰感が依然強く、生産調整の動きが続いているからである。

 

(2)製造業をみると、

 素材型産業では、紙・パルプは低調に推移しており、鉄鋼、化学(石油化学)は不振が続いている。

 加工組立型産業では、家電が、出荷が底固く推移していることに加え、生産にも明るさがみられることから、低調から横ばい状況となった。工作機械、半導体、コンピュータ関連機器、通信機器、自動車は低調に推移しており、産業機械、建設機械は不振が続いている。

 

(3)非製造業を見ると、

 情報サービスは堅調に推移し、電力は横ばい状況が続いている。旅行、リース、広告は低調に推移し、建設・住宅、国内貨物は不振が続いている。             

 

 鉄鋼は不振が続いている。これは、国内需要の低迷が長引いていることにより、普通鋼鋼材の国内受注が総じて低調に推移し、国内在庫も高水準であるなか、粗鋼の減産が続いているからである。

 化学(石油化学)は不振が続いている。これは、需要減を映じて汎用樹脂で減産基調が続いており、国内出荷が減少傾向にあるからである。

 紙・パルプは低調に推移している。これは、需要の減少を背景に出荷が低調であり、在庫が高水準であるなか、生産面においても、紙で一部の用紙を除き生産調整が続き、また板紙も低調に推移しているからである。 

一般機械では、産業機械は不振が続いている。これは、受注が内外需の不振により引き続き低迷しているからである。工作機械は低調である。これは、内需の大幅減に加え外需も前年割れとなり、受注の減少幅が拡大しているからである。建設機械は不振が続いている。これは、出荷が内外需の不振により引き続き低迷しているからである。

 産業用電気機械・電子部品では、半導体集積回路は低調に推移している。これは、法人需要等が低迷しているため、出荷額が減少傾向にあるからである。コンピュータ関連機器は低調に推移しているものの、持ち直しの動きもみられる。これは、法人需要等が低迷しているものの、個人需要は底固いことから、生産額の減少幅が縮小しているからである。通信機器は低調に推移している。これは、通信インフラの整備の一巡により、生産額が減少傾向にあるからである。

家電は、これまでの低調な状況から改善し横ばい状況となった。これは、国内出荷(台数ベース)は、AV家電が堅調で、白物家電を含めた家電全体でも底固く推移しており、生産も、全体として下げ止まり感があり、明るさがみられるからである。

自動車は低調に推移している。これは、完成車輸出が底固く推移し、軽乗用車の販売、生産は好調となっているものの、全体の販売、生産は依然として低調に推移しているからである。

 建設・住宅は不振が続いている。これは、公共工事着工が底固い動きとなっているも のの、建設業大手50社の受注額や住宅着工戸数が、引き続き減少傾向にあるからである。

 運輸・旅行は、国内貨物輸送は不振が続いている。これは、国内生産活動及び消費活動の低迷を映じて、ほとんどの輸送形態が減少傾向となっているからである。

 旅行関連は低調に推移している。これは、団体旅行の落ち込み等のため、大手旅行会社の取扱額が減少傾向で推移しているからである。

 情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が、引き続き堅調に推移しているからである。

 リースは低調に推移している。これは、リース契約額が、設備投資の冷え込みを映じて引き続き減少しているからである。

電力は横ばい状況が続いている。これは業務用電力は好調な伸びとなったものの、大口電力が生産活動の停滞状況を映じて11か月連続で前年実績を下回ったからである。

 広告は低調に推移している。これは、企業の広告費削減の動きを映じて、売上高の減少が続いているからである。


1.鉄鋼

 
鉄鋼は不振が続いている。これは、国内需要の低迷が長引いていることにより、普通鋼鋼材の国内受注が総じて低調に推移し、国内在庫も高水準であるなか、粗鋼の減産が続いているからである。

○ 普通鋼鋼材の国内出荷(前年同月比)は、10月14.4%減、11月8.8%減と減少幅は縮小しているものの、依然として低調に推移している。

 これを受注面からみると、普通鋼鋼材の国内受注は、減少幅が縮小し、9月9.5%減、10月9.6%減となったものの、依然として低調に推移している。

 用途別にみると、建設向けは、建築用が依然として低調であるものの、土木用が補正予算等の効果により増加に転じたことから、全体でも、9月10.7%減、10月2.8%減となり、持ち直しの動きがみられる。

 製造業向けは、9月8.0%減、10月10.8%減と低調に推移している。内訳別では、ウェイトの高い自動車用は、9月は軽自動車の規格改定の影響により、やや動きがみられたものの、10月に再び二ケタ減となり、総じて低調に推移している。電気機械用は、白物家電の生産台数が底固いことから減少幅が縮小しているものの、依然として低調に推移している。また、その他の用途でもほとんどの用途で前年を大きく下回っている。

 こうした状況のなか、国内在庫は、10月571万トン、11月562万トンと、減少傾向にあり、直近でも減少となっているものの、依然として高水準が続いている。

○ 鉄鋼の輸出入(全鉄鋼ベース、前年同月比)をみると、輸出数量は、10月8.3%増、11月10.1%増となったものの、このところ増勢が鈍化している。

 これを仕向け先別にみると、米国向けは、10、11月ともに三ケタ増が続いたものの、アンチ・ダンピング提訴の影響などから、増勢が鈍化している。一方、韓国、アセアン向けは経済情勢の影響などから、低調に推移している。

 輸出船積平均単価は、ドルベースでは、円高の影響などからこのところ上昇しているものの、円ベースでは、国際市況の軟化などにより、低下傾向が続いている。

 輸入数量は、国内需要の低迷が長引いていることなどから、10月41.0%減、11月13.5%減となった。

○ 粗鋼の生産は、減産が続き、10月796万トン(前年同月比11.0%減)、11月750万トン(同13.6%減)となった。また、直近では、減産がさらに強まっている。

○ 鋼材の市況をみると、条鋼類では、H形鋼は在庫調整が進んでいるものの、需要の低迷が長引いていることから、反発力に乏しく、このところ横ばいの動きとなっている。また、棒鋼は総じて低下傾向にある。鋼板類では、冷延薄板は、輸入が減少したものの、それ以上に需要が低迷していることから、低下傾向にある。また、厚鋼板は横ばいの動きとなっている。


2.化学(石油化学)

 化学(石油化学)は不振が続いている。これは、需要減を映じて汎用樹脂で減産基調が続いており、国内出荷が減少傾向にあるからである。

○ 石油化学製品の基礎原料であるエチレンの生産は、11月612千トン(前年同月比3.5%減)の後、12月679千トン(速報、前年同月比3.3%増)となった。汎用樹脂の生産については、国内の需要減を映じて減産の動きがみられ、全体的に引き続き減少傾向となっている。

 在庫水準については、全体では依然やや過剰感がみられる。

○ 汎用樹脂の国内出荷については、需要減を映じて各樹脂共引き続き減少傾向となっている。主要樹脂別にみると、低密度ポリエチレンは射出向け等で減少となった。高密度ポリエチレンは主力の射出向けを中心として減少となった。塩化ビニルについては、住宅着工等の減少が響いているため、依然減少傾向が続いている。汎用樹脂最大の需要を有するポリプロピレンも全体で依然減少傾向が続いている。ポリスチレンは用途別にばらつきがみられるが、総じて減少傾向が続いている。

○ 汎用樹脂の輸出は、樹脂によりばらつきがあるものの、中国からの引き合いを背景に全体として底固い動きをみせていたが、最近の動きとしては中国需要にやや一服感がみられる。

汎用樹脂の東南アジア市況については、中国の旧正月における需要減や洪水復興需要の一巡等の理由により、やや弱含みとなっている。欧米市況についても需給緩和を背景に弱含みとなっている。


3.紙・パルプ 

 紙・パルプは低調に推移している。これは、需要の減少を背景に出荷が低調であり、在庫が高水準であるなか、生産面においても、紙で一部の用紙を除き生産調整が続き、また板紙も低調に推移しているからである。 

○ 紙の生産(前年同月比)は、一部の用紙を除き生産調整が続き、10月3.5%減、11月4.3%減となった。出荷は、10月2.8%減、11月2.2%減と前年割れが続いている。一方、在庫は、前月比では減少傾向にあるものの、依然として高水準で推移している。

 紙の生産を品目別にみると、新聞巻取紙は、堅調に推移している。

 印刷・情報用紙では、需要の減少を背景に減産が続いている。非塗工類は、微塗工紙は堅調に推移しているものの、全体では低調に推移している。塗工紙は、カタログ、チラシ向け等が減少していることから、低調に推移している。情報用紙は、ウェイトの高いPPC用紙で減少が続いていることに加え、複写用紙でも二ケタ減が続いていることから、全体でも低調に推移している。

 衛生用紙は、市況対策にはやや進展がみられているものの、依然として生産調整が続いており、前年をやや下回る動きとなっている。

○ 板紙の生産(前年同月比)は、段ボール需要の減少などを背景に10月6.8%減、11月5.9%減と低調に推移している。出荷は、段ボール原紙、紙器用板紙ともに低調な荷動きが続き、10月2.8%減、11月0.3%減となった。こうした状況のなか、在庫は、前月比では減少傾向にあるものの、依然として高水準で推移している。  

 板紙の生産を品目別にみると、段ボール原紙は、低調に推移している。

○ パルプの生産(前年同月比)は、製品需要の減少を背景として、10月6.7%減、11月7.6%減となった。

○ 紙、板紙の輸出入(数量ベース、前年同月比)をみると、輸出は、中国向けなどが堅調に推移していることから、10月30.1%増、11月31.9%増と、増加が続いている。

 一方、輸入は、国内需要の減少を背景に、10月17.0%減、11月27.8%減と、減少が続いている。

○ 紙の市況をみると、採算意識の高まりなどから、低下傾向に歯止めがかかっており、紙、板紙ともに、このところ横ばい状況にある。


4.一般機械

 産業機械は不振が続いている。これは、受注が内外需の不振により引き続き低迷しているからである。工作機械は低調である。これは、内需の大幅減に加え外需も前年割れとなり、受注の減少幅が拡大しているからである。建設機械は不振が続いている。これは、出荷が内外需の不振により引き続き低迷しているからである。

○ 一般機械の生産(季調済前月比)は、減少傾向が続いている。特殊産業機械などの減少により、10月2.9%減、11月4.3%減(速報)となった。増加した機種は、17機種中、10月には5機種、11月には4機種(速報)となった。

 機械受注(原動機・産業機械・工作機械のみ、金額ベース、前年同期比)をみると、10月28.1%減、11月21.8%減と大幅減が続いている。

 輸出入の動向(事務用機器を除く・円ベース、前年同期比)をみると、輸出は10月13.4%減、11月20.7%減と、4か月連続の減少となった。輸入は10月12.0%減、11月10.5%減と、2か月連続の減少となった。

○ 産業機械は不振が続いている。産業機械の受注(日本産業機械工業会調べ、金額ベース、前年同期比)は、10月16.8%減、11月25.8%減となった。需要者別にみると、内需は、非製造業では電力業向けに動きがみられたものの、製造業では設備投資の冷え込みに加え鉄鋼業向けなどで前年高水準の反動もあり、減少が続いている。外需は、冷凍機械などが増加したものの、アジア向けの低迷に加え10、11月ともプラント受注がみられなかったことなどから大幅減となった。

○ 工作機械は低調である。工作機械の受注(日本工作機械工業会調べ、金額ベース、前年同期比)は、10月29.8%減、11月25.7%減と減少幅が拡大している。需要者別にみると、内需は、設備投資の冷え込みにより一般機械工業を始めほとんどの業種で大幅減が続いており、12月に入っても低調に推移している。外需は、欧州向けは引き続き堅調なものの、北米向けが失速してきたことから、10月には10か月振りに前年割れとなり、11月にはマイナス幅が拡大した。

○ 建設機械は不振が続いている。建設機械の出荷(日本建設機械工業会調べ、本体・金額ベース、前年同期比)は、10月27.8%減、11月19.8%減となった。需要者別にみると、内需は、公共工事の発注増に伴い油圧ショベルやトラクタに動きが見られ減少幅が縮小したものの、建築需要の落ち込みを映じて建設用クレーンなどでは大幅減が続いている。外需は、欧州向けは引き続き好調なものの、北米・中南米向けでは伸びが鈍化してきていることに加え、アジア向けは依然として大幅減が続いていることから、引き続き減少している。


5.産業用電気機械・電子部品

 半導体集積回路は低調に推移している。これは、法人需要等が低迷しているため、出荷額が減少傾向にあるからである。コンピュータ関連機器は低調に推移しているものの、持ち直しの動きもみられる。これは、法人需要等が低迷しているものの、個人需要は底固いことから、生産額の減少幅が縮小しているからである。通信機器は低調に推移している。これは、通信インフラの整備の一巡により、生産額が減少傾向にあるからである。

○ 半導体集積回路は、低調に推移している。法人需要等が低迷していることから、出荷額(前年同月比)は、9月16.2%減、10月13.4%減と減少傾向にある。減産の効果もあり、在庫率は減少傾向に転じ、10月0.96となった。DRAMの価格は、需給が引き締まりつつあることから、底入れの状況にある。

○ コンピュータ関連機器は、低調に推移しているものの、持ち直しの動きもみられる。ウインドウズ98等の販売により個人需要は底固いことから、依然として中小企業を中心に法人需要は低迷しているものの、生産額(前年同月比)は、9月7.1%減、10月7.5%減と減少幅が縮小している。内訳をみると、パソコンは、9、10月共に3.0%減と減少幅が縮小している。周辺機器は、10月4.7%減、11月は7.7%減(速報)と低調な動きが続いている。

○ 通信機器は、低調に推移している。通信インフラの整備が一巡していることから、生産額(前年同月比)は、9月2.5%減、10月17.0%減と減少傾向にある。内訳をみると携帯電話は9月17.8%増、10月2.1%増と底固い動きとなっているものの、電子交換機は10月19.9%減、11月26.2%減(速報)と大幅に減少しており、ISDNデジタル専用線に関連する搬送装置は昨年の反動増で9月2.1%増、10月0.7%増となったが基調としては低調に推移している。


6.家庭電器

家電は、これまでの低調な状況から改善し横ばい状況となった。これは、国内出荷(台数ベース)は、AV家電が堅調で、白物家電を含めた家電全体でも底固く推移しており、生産も、全体として下げ止まり感があり、明るさがみられるからである。

○ 家電の国内出荷(台数ベース)は、底固い荷動きとなっている。

AV家電をみると、総じて堅調な荷動きとなっている。品目別では、カラーテレビが、平面ブラウン管型を中心に10月以降、前年比増となり、直近でも前年水準並みに推移している。VTRは、高画質型を中心に引き続き堅調な荷動きとなっている。ビデオカメラは、デジタル機種を中心に堅調な荷動きとなっている。CDプレーヤ(MDプレーヤを含む)は伸び率が鈍化してきたものの、依然、高水準で推移している。

白物家電をみると、底固い荷動きとなっている。品目別にみると、冷蔵庫は10、11月とも前年比増となるなど、特に大型機種を中心に底固い荷動きとなっている。洗濯機は新製品が浸透してきており、10、11月ともほぼ前年水準並みに推移している。電子レンジは11月に前年比増となり直近も底固く推移している。エアコンは、前年の水準を若干上回る荷動きとなっている。

○ 家電の輸出(台数ベース)は、このところ減少傾向にある。カラーテレビは、高水準だった前年の反動から香港向けなどを中心に10、11月とも前年を大幅に下回った。VTRは、アメリカや香港向けの減少から前年を若干下回っているが、基調としては底固く推移している。CDプレーヤは、メキシコや中国向けを中心に10、11月とも大幅に減少した。

○ 家電の輸入(台数ベース)は、カラーテレビが10月は前年を下回ったものの、11月はマレーシアや中国の伸びから大幅に増加した。VTRは、マレーシアを中心に前年の反動から10、11月と増加した。

○ 家電の生産額(前年同月比)は、9月1.0%減、10月3.3%減となったが、新製品が浸透してきたことや、買い替え需要の高まりから、全体としては下げ止まり感があり、明るさがみられる


7.自動車

 自動車は低調に推移している。これは、完成車輸出が底固く推移し、軽乗用車の販売、生産は好調となっているものの、全体の販売、生産は依然として低調に推移しているからである。

○ 自動車全体の国内販売(新車新規登録・届出台数、前年同月比)は、11月4.3%減、12月13.7%減と21か月連続の前年割れとなり低調に推移している。車種別にみると、普通乗用車、小型乗用車はこのところ大幅な前年割れが続いている。軽乗用車は10月の規格改定により多くの新型車が発売されたため、前年を大きく上回っている。トラックは大幅な落ち込みが続いている。

 輸入車販売では、国内市場の低調さを映じて、11月17.1%減、12月20.9%減と前年割れが続いている。

○ 自動車の輸出(完成車台数ベース、前年同月比)は、前年高水準の反動から、10月7.9%減の後、11月1.2%増となり、基調としては底固く推移している。仕向地別にみると、北米向けは底固く推移している。欧州向けは基調としては堅調に推移している。中東向けは好調である。アジア向けは大幅な前年割れが続いている。南米向けはこのところ大幅な前年割れとなっている。

 自動車部品の輸出(日本自動車工業会々員11社分、ドルベース)は、部品の現地調達が進展していることから、海外生産用、OEM用とも減少傾向が続いており、10、11月とも16.2%減となっている。

○ 以上から、自動車の生産(完成車台数ベース、前年同月比)は、10月0.8%増、11月1.3%減と基調としては低調に推移している。車種別にみると、普通乗用車は輸出の増加から前年をやや上回る水準で、軽乗用車は前年を大幅に上回る水準で推移しているものの、小型乗用車、トラックは国内販売、アジア向け輸出の低迷などから前年割れが続いている。


8.建設・住宅

 建設・住宅は不振が続いている。これは、公共工事着工が底固い動きとなっているものの、建設業大手50社の受注額や住宅着工戸数が、引き続き減少傾向にあるからである。

[建設]

○ 建設業大手50社の受注額(前年同期比)は、10月14.7%減、11月21.3%減と引き続き減少傾向となっている。受注の約6割を占める民間工事をみると、10月22.7%減、11月19.7%減と5か月連続で二ケタ減となっている。民間工事の内訳をみると、製造業向けは、主力の電気機械、化学をはじめ、他の業種でも大きく落ち込み、全体で減少が続いている。ウェイトのより大きい非製造業向けは、電気・ガス業、サービス業が底固く推移しているものの、全体では弱い動きとなっている。受注の約3割を占める官公庁工事は、3か月振りに減少に転じた。海外工事は、主力の東南アジアにおいて、引き続き受注元に慎重な動きがみられ、弱い動きが続いている。

 施工高は、8月8.4%減、9月16.4%減となった。また、未消化工事高は、23か月連続で減少となった。

 また、地方大手建設業者470社の受注は、官公庁が再び減少となったため、10、11月と2か月連続で減少となった。

○ 建築の着工状況(床面積)をみると、着工床面積の約9割を占める民間建築の減少が大きく響いており、全体的に減少傾向となっている。内訳をみると、民間建築の大宗を占める居住用建築では引き続き減少傾向となっており、非居住用建築についても各用途別で減少傾向となっている。

○ 公共工事着工(総工事費評価額)は、補正予算等の効果により、10月13.0%増となった後、11月7.2%減となったが、基調として底固い動きとなっている。4~11月累計では1.0%増となっている。

 民間土木工事着工は、9月9.6%増、10月32.6%減となった。

[住宅]

○ 住宅着工(戸数)は、10月12.9%減、11月16.0%減と23か月連続で減少となり、引き続き減少傾向となっている。また、11月の年率換算値は107万戸と15年6か月振りに110万戸を割り込む低水準なものとなった。利用関係別では、持家が底を伺う動きをしているものの、貸家、分譲については引き続き二ケタの減少を続けている。

○ 戸建住宅産業の最近の動きについては、構造別の着工戸数は、ウエイトの約半分を占める木造はこのところ一ケタの減少で推移しているが、非木造については二ケタの減少が続いている。建築単価については、1㎡当たりの工事費予定額では、木造が緩やかに低下している。1戸あたりの面積については、利用関係別ではややばらつきがあるものの、全体では緩やかに増加している。

○ マンション産業の最近の動きについては、着工は首都圏において一進一退の動きを続けていたが、このところ他の都市部と同様に大きく減少となっており、全体では10月35.2%減、11月29.3%減と9か月連続で減少となっている。新規契約率(首都圏)については、11月68.9%の後、低金利等の理由により12月75.4%と再び70%を超えたが、在庫については、5か月連続で1万戸超となっており、依然水準的に高いものとなっている。


9.運輸・旅行

 国内貨物輸送は不振が続いている。これは、国内生産活動及び消費活動の低迷を映じて、ほとんどの輸送形態が減少傾向となっているからである。

旅行関連は低調に推移している。これは、団体旅行の落ち込み等のため、大手旅行会社の取扱額が減少傾向で推移しているからである。

○ 国内貨物輸送は、不振が続いている。国内生産活動及び消費活動の低迷を映じて、ほとんどの輸送形態が減少傾向となっている。

 内訳をみると、一般トラック(前年同月比:トンベース)は、9月7.4%減と大幅な減少が続いている。特別積合せトラックは、機械部品や日用品等の荷動きの不振が続き、10月6.5%減(速報)、11月0.6%減(速報)となり、これまで底固い動きであった宅配貨物にも翳りがみられる。内航海運(貨物船)は、9月4.9%減、10月8.4%減、JR貨物は、10月15.3%減、11月13.2%減(速報)と不振が続いている。航空貨物は、野菜の空輸の増加から、10月0.4%増、11月は0.3%増(速報)となった。

○ 国際貨物輸送は、低調に推移している。航空貨物の輸出は、貨物トン数(全国ベース)でみると、アジア向けが引き続き低迷していることや、米国向けの半導体、自動車部品が低調なことから、10月1.8%減、11月7.1%増となったものの、基調としては低調に推移している。輸入は国内需要が弱いことから、10月6.4%減、11月10.1%減と減少が続いている。外航海運の貨物トン数は、輸出は10月1.8%減、11月0.7%増となった。輸入は10月、11月共に9.2%減となった。

○ 旅行関連は、低調に推移している。大手旅行会社(鉄道旅客協会加盟13社)の取扱額(前年同月比)をみると、10月11.1%減、11月2.3%減、年末年始も曜日配列の悪いこと等から減少傾向で推移している。内訳をみると、国内旅行は団体客やビジネス客の落ち込みにより、10月14.2%減、11月は前年並みなものの、基調として低調に推移している。海外旅行は団体旅行の落ち込みや旅行単価の下落などにより、10月14.2%減、11月7.2%減と低調に推移している。主要旅客輸送機関の実績(人数ベース、前年同月比)をみると、JR旅客は、定期外は10月2.9%減となった。航空(3社)は国内線は10月3.4%増、11月0.5%増(速報)となった。国際線は10月1.4%減、11月0.3%減(速報)となった。


10.情報サービス

 情報サービスは堅調に推移している。これは、主力の受注ソフトウェアの売上高が、引き続き堅調に推移しているからである。

○ 情報サービス業売上高(前年同月比)は、10月0.8%減、11月1.7%増となっているものの、約6割を占める受注ソフトウェアは、引き続き堅調に推移している。

○ 業務種類別にみると、

・受注ソフトウェアは、製造業向けなどで投資抑制の動きが見られるものの、官公庁、金融業、流通業向けは引き続き好調なことから、10月5.0%増、11月8.1%増と堅調に推移している。

・ソフトウェアプロダクトは、汎用コンピュータの基本ソフトやネットワーク関連ソフトの需要減などから、10月14.5%減、11月10.5%減となった。

・計算事務等情報処理は、10月0.8%増、11月3.8%増と底固く推移している。

・システム等管理運営受託は、金融業、製造業などのアウトソーシングの需要増により、10月7.3%増、11月12.9%増と好調に推移している。

○ 雇用状況は、高等技術者は不足感が続いているものの、全体的には不足感は緩和している。


11.リース

 リースは低調に推移している。これは、リース契約額が、設備投資の冷え込みを映じて引き続き減少しているからである。

○ リースは低調に推移している。リース契約額(リース事業協会調べ、前年同期比)は、10月12.3%減、11月9.1%減と引き続き減少している。設備投資の冷え込みを映じて、主力の情報関連機器が低調であるのに加え、このところ多くの物件で減少幅が拡大しており、12月に入っても減少傾向が続いている。

○ 物件別の最近の動向をみると、    

契約額の約4割を占める情報関連機器は、電算機、通信機器ともに低調で、10月8.1%減、11月5.6%減となった。中小企業を中心として設備の更新を抑制する動きが続いており、12月に入っても減少傾向が続いている。

商業・サービス業用機械・設備は、サービス業用機械設備の低迷に加え、商業用機械設備の小規模化傾向も続いており、10月15.3%減、11月9.3%減と引き続き低調で、20か月連続前年割れとなった。

事務用機器は、需要の低迷、物件価格低下などの影響により、10月27.2%減、11月14.8%減と、依然として減少が続いている。

産業機械は、設備投資の冷え込みを映じて、10月22.4%減、11月24.1%減と、2か月連続で大幅減となった。

工作機械は、需要減に加え前年高水準の反動もあり、10月21.0%減、11月27.3%減と3か月連続で大幅減となった。

土木建設機械は、10月6.7%減の後、11月はやや動きが見られ、14.5%増となった。

自動車は、10月14.1%減、11月8.5%減となった。

○ リース料率は、低い水準で推移している。


12. 電力

 電力は横ばい状況が続いている。これは業務用電力は好調な伸びとなったものの、大口電力が生産活動の停滞状況を映じて11か月連続で前年実績を下回ったからである。

 電力需要(9社計、前年同期(月)比)は、10月3.5%増と堅調な伸びの後、11月は0.1%増と低い伸びとなった。これは、10月には大幅増となった民生用電力(電灯、業務用電力)が11月には伸びが半減したためである。

用途別にみると、家庭用電灯需要は11月は2.1%増と低めな伸びとなった。家庭用電灯の契約口数は、このところの住宅着工戸数の低迷を映じて伸び率は鈍化しつつある。業務用電力は11月は5.9%増と高い伸びとなった。小口電力のうち、低圧電力については堅調な伸びとなった。なお、生産活動の停滞状況を映じて、小口電力のうち高圧電力Aはマイナス基調で推移し、大口電力は11か月連続の前年実績割れとなった。

 10~11月期について地域別にみると、北陸、中国の2地域が前年実績を下回った。

○ 大口電力需要を自家発電を含め業種別にみると、11月は全業種で前年実績を下回っており、生産活動の停滞状況を裏付ける形となっている。鉄鋼は、粗鋼生産が前年実績を大幅に下回ったことから、12か月連続して前年割れとなった。化学は、苛性ソーダ、汎用樹脂などの生産が低迷していることから9か月連続の前年割れとなった。パルプ・紙は、内需の不振により生産が前年実績を下回ったため、7か月連続の前年割れとなった。セメントは、内需の不振により生産が減少していることなどから、15か月連続で前年を大きく下回った。電気機械は、半導体などでの生産調整などから、5年1か月振りに前年比マイナスとなった。輸送用機械は、自動車生産の低迷などから11か月連続して前年実績を下回ったが、このところマイナス幅は小さくなっている。非鉄は、アルミニューム圧延品の生産減などにより、8か月連続のマイナスの伸びとなった。

 地域別にみると、11月は全ての地域で前年実績を下回った。


13.広告

 広告は低調に推移している。これは、企業の広告費削減の動きを映じて、売上高の減少が続いているからである。

○ 広告は低調に推移している。主要10社の売上高(前年同月比)をみると、企業の広告費削減の動きを映じて、10月6.1%減の後、11月も広告媒体全てで減少が続き、5.4%減となった。

 媒体別では、ウエイトの大きいテレビは、番組で低調な動きが続き、機動的に運用できるスポットでもこのところ需要が大幅に減少している。雑誌は、女性誌を中心に創刊は活発なものの、主要広告主の化粧品・トイレタリーやファッション・アクセサリー等の減少が影響して伸び悩みがみられる。新聞は、自動車・関連品、不動産・住宅設備、求人等の大幅な減少で低調な動きが続いている。4媒体以外は、イベントや折り込みチラシ等の不振により減少幅が拡大している。

○ 広告量(前年同月比)の動向をみると、テレビはテレビ番組、テレビスポットとも減少が続いている。新聞は、案内広告で低調な動きが続いている他、比較的底固い動きを続けていたカラー広告、全面広告ともこのところ減少している。

 出稿業種別にみると、金融・保険が金融自由化の進展もあって外資系金融機関の活発な広告展開を中心に各媒体で好調に推移している。これまで好調であった飲料・嗜好品、情報・通信は、このところ伸び悩んでいる。自動車・関連品は軽自動車の規格改定効果がテレビでみられたものの、新聞では減少傾向にある。不動産・住宅設備、化粧品・トイレタリーは大幅な減少が続いている。