地域経済動向(平成10年12月)

平成10年12月21日

経済企画庁調査局


1.地域経済の概況

最近の地域経済の動向を地域別にみると、以下のとおりである。

北海道地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。なお、これまでのところ、拓銀や長銀の破綻の影響は、地元行の対応や諸施策の効果もあいまって、当初懸念されたような混乱は避けられている。

東北地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向に一服感がみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。なお、太平洋側を中心に夏場の低温多雨で米作は「やや不良」であった。

関東地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数では持家が前年並みとなったが、貸家、分譲は不振のため、全体としては低調に推移し、また雇用情勢は一段と厳しくなっているからである。

東海地域では、景気は引き続き低迷している。これは、鉱工業生産が低水準横ばいで推移しており、需要面においては、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢は一段と厳しくなっているからである。

北陸地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

近畿地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向に一服感がみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額や乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

中国地域では、景気は一部には明るさがみられるものの、依然として低迷している。これは、鉱工業生産はこのところ持ち直しの兆しがみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

四国地域では、景気は引き続き低迷している。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

九州地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

沖縄地域では、景気に明るさがみられる。これは、新設住宅着工戸数が低調で、雇用情勢も極めて厳しい状況にあるものの、一方で、主力の観光が高水準で推移し、スーパーの売上高や乗用車新規登録・届出台数等も堅調に推移しているからである。

各地域の最近の経済動向を総合すると、以下のとおりである。

景気は、地域によっては一部に改善を示す動きがみられ、変化の胎動も感じられるが、全国的には依然として、低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。

鉱工業生産をみると、中国で持ち直しの兆しがみられ、東海は低水準横ばいであり、東北、近畿は減少傾向に一服感がみられ、その他の地域でも、減少傾向が緩やかになってきている。

個人消費をみると、沖縄で一部堅調な動きがみられるが、その他の地域では、低調に推移している。但し、直近では大手スーパーの特別セールにおいては売上増加もみられる。

建設活動をみると、公共工事は、ほとんどの地域が補正予算の効果等から増加となっている。住宅建設はすべての地域で低調に推移している。

雇用情勢をみると、すべての地域で依然として厳しい状況が続いている。

企業倒産をみると、すべての地域で高水準で推移している。

地域別にいえば、北海道、関東、北陸、九州では、前回と同様に「景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある」とした。これは、生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、個人消費、住宅建設は低調に推移し、また雇用情勢が依然として厳しい状況にあるからである。東北、近畿では、生産は減少傾向に一服感(前月比での下げ止まり)がみられるものの、総じて「景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある」との感触にとどまっている。

東海、中国、四国は、「景気は低迷している」とした。これは、東海、四国については前回から大きな変化はみられなかったからであり、中国については生産に持ち直しの兆しがみられるからである。

沖縄は、大きな変化はみられなかったことから、前回と同様に「景気には明るさがみられる」とした。


2.地域経済の動向

(1)北海道

北海道地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。なお、これまでのところ、拓銀や長銀の破綻の影響は、地元行の対応や諸政策の効果もあいまって、当初懸念されたような混乱は避けられている。

  • 第一次産業の動きをみると、農業では、水稲の作況指数は「やや良」となり、一等米比率は前年を大幅に上回った。生乳生産(前年同月比)は、9、10月ともに1.9%増となり、増加傾向が続いている。水産業(主要10港、前年同月比)では、10月の水揚量は6.4%増、金額では15.9%増となり、水揚量、金額ともに9月以降増加に転じている。
  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、9月0.2%減の後、10月は0.5%増となり、減少傾向が緩やかになってきている。
    主要業種の生産動向をみると、食料品・たばこは、ウェイトの高い冷凍水産物、塩蔵品が低調であることから、全体でも低調に推移している。パルプ・紙は、依然として前年割れの水準が続いている。窯業・土石は、生コンクリート等が公共工事の発注増により増加していることから、このところ持ち直しの動きがみられる。電気機械は、無線通信装置や監視制御装置が堅調に推移していることから、持ち直しの動きがみられる。
  • 観光では、来道客数(前年同月比)は、9月0.6%増と増加に転じ、10月も0.9%増となった。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、9月4.4%減、10月2.2%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店では衣料品などほとんどの商品で前年を下回る動きが続いたことから、9月7.6%減、10月4.8%減となった。スーパーでは9月1.3%減の後、10月は飲食料品、衣料品などが前年を上回り、0.4%増となった。また、11月の動きとしては、一部のスーパーで実施された特別セールが活況を呈した。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月0.2%増、10月1.3%減となり、基調としては低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、補正予算等の効果により、国、道などの発注増がみられ、9月31.2%増、10月35.4%増と大幅に増加した。また、4~10月累計では1.7%増となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、9月15.6%減、10月19.0%減となり、引き続き低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、9、10月ともに0.38となり、厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、9月6.4%減、10月13.5%減と、減少が続いているものの、引き続き高水準で推移している。

(2)東北

東北地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向に一服感がみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。なお太平洋側を中心に夏場の低温多雨で米作は「やや不良」であった。

  • 第一次産業の動きをみると、太平洋側を中心とした夏場の低温や多雨の影響で、水稲の作況指数(10月15日現在)は「やや不良」となった。
  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、9月0.1%増、10月2.5%増となり、このところ減少傾向に一服感がみられる。
    主要業種の生産動向をみると、電気機械は、9月0.5%減の後、10月は半導体や音響機器の増加から7.0%増となった。食料品・たばこは、9月1.3%減、10月2.0%増となった。一般機械、繊維はともに低水準で推移している。輸送機械は、乗用車の増加から9月15.3%増、10月10.0%増となった。
  • 個人消費をみると、気温が高く、秋・冬物衣料などの季節商品の動きが鈍かったことから、大型小売店販売額(前年同月比)は、9月9.6%減、10月7.5%減と引き続き低調に推移している。
    業態別にみると、百貨店は、ほとんどの商品で前年を下回っていることから、9月7.1%減、10月5.1%減と低調に推移している。スーパーは、すべての商品が前年を下回っていることから、9月11.1%減、10月9.1%減と低調に推移している。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月5.7%減の後、10月は新規格型の軽自動車の増加から全体では1.8%増となったが、基調としては低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、補正予算等の効果により、国、地方共に増加となった結果、9月43.7%増、10月8.9%増となり、4~10月累計でも5.3%増と増加に転じた。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、9月17.9%減、10月11.8%減と引き続き低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、求人数が減少し求職者数が増加していることから、有効求人倍率(季調値)は、9、10月共に0.49と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、9月35.6%増の後、10月は3.9%減となったが、依然として高水準で推移している。

(3)関東

関東地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数では持家が前年並みとなったが、貸家、分譲は不振のため、全体としては低調に推移し、また雇用情勢は一段と厳しくなっているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、9月2.9%増の後、10月0.3%減と減少傾向が緩やかになってきているものの、在庫については最終需要の減少を映じて依然過剰感が高い。
    主要業種の生産動向をみると、最もウェイトの高い電気機械は、パソコン等一部で増加はみられたが、全体では減少となった。一般機械は企業の設備投資意欲の減退を反映して、引き続き減少傾向となっている。輸送機械については、軽自動車の規格改定に伴う生産増を反映してこのところ増加となっている。化学については、汎用樹脂が需要減を映じて弱い動きを続けているが、全体ではこのところ横這いの動きとなっている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は天候不順の影響もあり、9月4.8%減、10月3.0%減と、引き続き低調に推移している。業態別にみると、百貨店では一部の商品で増加となったものの、ほとんどの品目で減少となり、減少傾向が続いている。スーパーについては、主力の食料品で増加となったが、他の品目で減少となり、全体でも減少となった。直近の動きとしては、一部の大手スーパーは、特別セールの実施により、売上高、客数が大幅増加となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月6.7%減の後、10月9.3%減と引き続き低調に推移しているが、軽自動車については規格改定効果により10月大幅増加となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、補正予算等の効果により、国、地方共に増加となった結果、9月34.4%増、10月14.2%増となり、4~10月累計では6.1%減となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)については、持家はこのところ前年並みの動きとなっているものの、貸家、分譲が引き続き減少傾向にあるため、9月8.3%減、10月9.1%減と全体では低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、9月0.48、10月0.47となり、一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、9月8.6%増、10月1.8%減と高水準で推移している。

(4)東海

東海地域では、景気は引き続き低迷している。これは、鉱工業生産が低水準横ばいで推移しており、需要面においては、大型小売店販売額、乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢は一段と厳しくなっているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、9月5.8%増の後、10月3.3%減となり、基調としては低水準横ばいで推移している。
    主要業種の生産動向をみると、自動車では、北米向け完成車輸出の堅調から、輸出は総じて底固いものの、主力の普通・小型乗用車の国内販売が一段と減少していることから、生産は減少傾向にある。一般機械では、金属工作機械は堅調に推移しているものの、電動工具、建設機械が国内販売、アジア向け輸出の不振により低調であることから、全体としては減少傾向にある。電気機械は、カラーテレビ、ビデオカメラ、洗濯機などの家電を中心として持ち直しの動きがみられる。窯業・土石は、陶磁器が低調なものの、ファインセラミックスが堅調なことから、全体で持ち直しの動きがみられる。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、9月3.8%減、10月6.7%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店は衣料品が低調なため9月5.0%減、10月4.4%減となった。11月に入ってから婦人服に動きはみられたものの、全般的には依然として低調で、歳暮商戦も法人需要が一段と減少している。スーパーは衣料品を中心に全品目で前年割れとなり、9月3.0%減、10月8.3%減となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月4.9%減、10月6.1%減と低調に推移している。
  • 建設活動をみると公共工事着工総工事費(前年同期比)は、補正予算等の効果により、国、地方ともに増加となった結果、9月44.3%増、10月34.6%増となり、4~10月累計では10.7%増となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、持家が2か月連続で前年を上回ったものの、分譲が低迷していることから、9月7.2%減、10月3.6%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は9月0.66、10月0.65と一段と厳しくなっている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、9月32.7%増、10月9.6%増と高水準で推移している。

(5)北陸

北陸地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、9月4.4%増、10月1.7%減と減少傾向が緩やかになってきている。
    主要業種の生産動向をみると、金属製品では、アルミ建材は、ビル用、住宅用とも需要が低迷していることから、低調である。繊維では、主力の合繊織物は衣料、非衣料向けとも内需が低迷していることなどから、減少傾向にある。また、染色加工も減少傾向にある。電気機械では、携帯電話用部材、パソコン関連部材が生産水準を引き上げているものの、コンピュータは情報化投資抑制から、やや引き下げている。一般機械では、工作機械は欧米向け輸出が好調なため堅調に推移しているが、繊維機械、建設機械は低調に推移していることから、全体では減少傾向にある。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、9月8.6%減、10月9.2%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店は衣料品を中心にほとんどの品目で前年割れとなり、9月13.9%減、10月9.2%減となった。直近では、衣料品に動きがみられるものの、歳暮商戦は低調である。スーパーは全品目で前年割れとなり、9月5.2%減、10月9.2%減となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月6.4%減の後、10月は軽乗用車の増加により、2.7%増となっているものの、基調としては低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、補正予算等の効果により、9月は国、地方ともに増加となった結果、79.0%増、10月は国が増加となった結果、11.8%増となり、4~10月累計では21.1%増となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、9月13.2%減の後、10月1.2%増となっているものの、基調としては低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、9、10月とも0.61と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、9月6.5%増、10月33.3%増と高水準で推移している。

(6)近畿

近畿地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産が減少傾向に一服感がみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額や乗用車新規登録・届出台数、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、9月2.6%増、10月0.5%増と減少傾向に一服感がみられる。
    主要業種の生産動向をみると、電気機械は、9月5.7%増の後、10月4.0%減となったものの、パソコン関連や携帯電話等の通信・電子部品が堅調であるなど、持ち直しの動きとなっている。一般機械は、9月9.4%減の後、10月は、蒸気用タービンの大型発注があったことから11.8%増となったものの、基調としては減少傾向となっている。また化学は、油脂製品・界面活性剤や汎用樹脂等が、減少傾向にある。金属製品は、建設用金属製品が増加しており、底固い動きとなっている。繊維は、低水準が続いている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、天候不順の影響で季節商品の動きが鈍く、9月5.9%減、10月7.1%減と低調な推移となっている。業態別にみると、百貨店では、9月6.0%減、10月6.4%減となった。直近では、気温の低下により重衣料が動いているものの、歳暮商戦が不振であるなど低調に推移している。スーパーでも、9月5.8%減、10月7.7%減と低調に推移している。直近では、一部の大手スーパーは、特別セールの実施により、売上高、客数が大幅増加となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月7.6%減の後、10月は、軽自動車が大幅に増加したものの、普通車、小型車が減少したことから、7.4%減となり、引き続き低調に推移している。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、補正予算等の効果により、国、地方ともに増加となった結果、9月16.5%増、10月26.4%増となり、4~10月累計で6.7%減となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、貸家を中心に大幅な減少がみられ、9月27.1%減、10月27.3%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、9月、10月ともに0.38と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、9月17.2%増、10月23.3%増と、高水準で推移している。

(7)中国

中国地域では、景気は一部には明るさがみられるものの、依然として低迷している。これは、鉱工業生産はこのところ持ち直しの兆しがみられるものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は9月5.0%増の後、10月2.5%減となったものの、このところ持ち直しの兆しがみられる。
    主要業種の生産動向をみると、化学は、低い水準が続いているものの、直近では、汎用樹脂が中国向けなどで持ち直しの動きがみられる。自動車は、軽自動車の生産増などにより、堅調な動きとなっている。一般機械は、アジア向けを中心に輸出が低迷し、内需も減少していることから、基調としては減少傾向が続いている。鉄鋼は、需要の低迷や在庫の積み上がりを映じ、生産調整が続いている。また、電気機械は、パソコン関連が堅調に推移していることから、増加傾向となっている。繊維は引き続き低調である。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、9月5.8%減、10月4.4%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、主力の衣料品で秋・冬物衣料が天候要因等から低調に推移し、9月6.6%減、10月2.0%減となった。スーパーは、飲食料品などほとんどの商品で前年を下回る動きが続いたことから、9月5.3%減、10月6.1%減となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月7.3%減の後、10月は軽自動車が大幅増となったことから、3.5%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、補正予算等の効果により、国や県などの発注増がみられ、9月26.5%増、10月10.1%増と増加傾向が続いている。また、4~10月累計では12.4%増となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、9月8.0%減、10月22.1%減となり、引き続き低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、9、10月ともに0.69となり、厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、9月36.5%増、10月16.7%増となり、引き続き高水準で推移している。

(8)四国

四国地域では、景気は引き続き低迷している。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、9月3.1%増の後、10月3.6%減となり、減少傾向が緩やかになってきている。
    主要業種の生産動向をみると、電気機械は、北米向けVTRなどは堅調なものの、磁気ディスク、開閉制御装置などが減少したことから2か月連続でマイナスとなった。パルプ・紙は、需要の低迷に加え一部市況対策もあって生産調整が続いている。化学は、品目間にバラつきがみられるが、総じて見れば在庫水準は依然高く、生産調整が続いている。一般機械は、内需低迷などを映じて減産体制が長期化しており、在庫はやや減少傾向にあるものの、水準は依然として高い。繊維は、引き続き低調に推移している。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、9月4.6%減、10月6.3%減と、低調に推移している。相次ぐ大型スーパーの出店により店舗調整前では大幅増が続いているが、既存店は苦戦している。業態別にみると、百貨店は、家電製品に動きが見られたものの、天候不順などにより衣料品が不振で、9月4.9%減、10月6.7%減となった。スーパーは、季節物の衣料品や紳士靴など身の回り品などが不振だったことから、9月4.4%減、10月6.1%減となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月4.4%減の後、10月は軽自動車の規格改定効果に加え、豪雨災害による買い替え需要もあり21.5%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、9月22.9%増の後、10月3.6%減となった結果、4~10月累計では6.5%増となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、貸家を中心に9月25.5%減、10月13.8%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、9、10月とも0.65と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、建設業、卸売・小売業を中心に9月81.8%増の後、10月12.1%減となったものの引き続き高水準で推移している。

(9)九州

九州地域では、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にある。これは、鉱工業生産は減少傾向が緩やかになってきているものの、需要面においては、大型小売店販売額、新設住宅着工戸数が低調に推移し、また雇用情勢も厳しい状況が続いているからである。

  • 鉱工業生産(季調済前月比)は、9月1.9%増の後、10月0.8%減と、減少傾向が緩やかになっている。
    主要業種の生産動向をみると、電気機械は、主力の半導体集積回路で市況の低迷や16MDRAMの減産等により金額、数量とも前年割れが続いている。化学は、内外の需要減により在庫水準が依然として高いことから生産調整が続いている。一般機械は、内外の需要減により減少傾向が続いている。輸送機械は、自動車では新型車の生産が開始されたものの、内需の低迷に加え輸出の伸びが鈍化していることから、ほぼ前年並の水準となっている。造船は、豊富な受注残に支えられ、高操業を維持している。窯業・土石は、セメントでは国内外の需要の低迷により減産が続いている。鉄鋼は、内需低迷の長期化に加え輸出も振るわず、11月に入っても減産体制が続いている。
  • 個人消費をみると、大型小売店販売額(前年同月比)は、9月4.3%減、10月6.0%減と低調に推移している。業態別にみると、百貨店は、気温が高めに推移したため季節衣料が低調だったことなどから、9月4.4%減、10月5.0%減となった。スーパーは、衣料品の不振に加え、主力の食料品では相場高により野菜の動きが鈍く、9月4.1%減、10月6.9%減となり、19か月連続前年割れとなった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月4.0%減、10月0.3%減となり、再び前年割れとなった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、9月62.0%増と大幅増の後、10月11.4%減となったものの、4~10月累計では4.8%増となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、9月11.4%減、10月2.6%減と引き続き低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、9月0.43、10月0.42と厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、建設業などを中心に9月27.1%増、10月1.9%増となった。

(10)沖縄

沖縄地域では、景気に明るさがみられる。これは、新設住宅着工戸数は低調で、雇用情勢も極めて厳しい状況にあるものの、一方で、主力の観光が高水準で推移し、スーパーの売上高や乗用車新規登録・届出台数等も堅調に推移しているからである。

  • 観光では、入域客数(前年同月比)は、9月12.0%増と9月としては過去最高を記録した。10月は、新航空運賃制度下で割引料金適用期間が従来よりも短縮されたことや、団体客の伸び悩みなどから、3.4%減と23ヶ月ぶりに前年割れとなったが、10月としては過去2番目の高水準となった。11月も高水準で推移している。また、客室稼働率は、9月はシティホテル、リゾートホテルともに前年を大きく上回ったが、10月は減少した。
  • 個人消費をみると、百貨店(那覇市内3百貨店)の売上高(前年同月比)は、9月2.7%減、10月は長雨による影響などから10.4%減(沖縄銀行調べ)と低調である。一方、スーパーの売上高(前年同月比、既存店ベース)は、旧盆がずれ込んだ9月が10.8%増、10月も1.9%増(日本銀行那覇支店調べ)と堅調に推移している。また、家電製品の販売額は、9月が7.3%減となったが、10月はエアコン等が堅調だったことから5.1%増となった。
    乗用車新規登録・届出台数(前年同月比)は、9月2.8%増、10月も小型車や新規格型が投入された軽自動車を中心に16.9%増となった。
  • 建設活動をみると、公共工事着工総工事費(前年同期比)は、県、市町村で減少したことから9月8.1%減、10月9.7%減となった。なお、4~10月累計では11.6%増となった。
    新設住宅着工戸数(前年同月比)は、9月20.4%減、10月33.8%減と低調に推移している。
  • 雇用情勢をみると、有効求人倍率(季調値)は、9月0.20、10月が0.19となった。完全失業率は、9月8.7%、10月8.3%と極めて厳しい状況が続いている。
  • 企業倒産件数(前年同月比)は、9、10月とも前年を上回る水準で推移している。